見出し画像

毛細血管の観察から見える体質

漢方薬は体質改善が目的とされ、漢方相談は体質の判断と原因を究明をするのが目的です。
不調の原因となる気血水や五臓のバランスの状態把握をするため、生活習慣や食習慣を根掘り葉掘り聞きます。

漢方相談で、血管を顕微鏡で観察しています。
毛細血管から生活の状況を垣間見ることができるからです。

毛細血管がゴースト血管になっていくことが老化や病気に繋がります。
よろしければ前回のnoteをご覧下さい。

血管の形や血流の早さを傾向を分析して、体質診断の参考にしています。

毛細血管を観察すると、正常なヘアピンのようにまっすぐと伸びている方は、本当に少ないことが分かります。

ただ、高血圧のお薬などを服用中だと、見た目がすごく綺麗なヘアピンの形になるそうで、カルシウム拮抗剤などを服用されていると、血管の収縮を防いで血管拡張するため、まっすぐに伸びて見えるようです。

服用中のお薬により、毛細血管に影響を与える物がありますから、観察前に服用中のお薬の確認が必要です。

毛細血管の形を6タイプに分類

  • ノーマル(まっすぐきれいなヘアピン形)

  • 少ない(となりの毛細血管との距離がある)

  • 濁り(もやがかかって血管が見にくい)

  • 短い(血管の伸びが短い)

  • ねじれ・ゆがみ(変形し短くなりやすい)

  • 太い(流れがわるく渋滞している)

以上6タイプに分けて、さらに血流の早さも見ます。

それぞれの形になる原因や生活習慣について考えてみました。

①毛細血管の数が少ない

毛細血管は直径は約8μmほどで、なかには7~8μmの赤血球がやっと通るほどの細いもの、直径30~40μmの太いものもあります。

赤血球の直径より細い毛細血管に入るため、赤血球は変形能があるので細くても通過できます。そして赤い血の色は血色素(ヘモグロビン)の量が少ないと毛細血管に流れてくる量が減ることで、赤くみえる血管の本数が少なくなり、毛細血管の間隔が広く見えます。

臓器内部の毛細血管の間隔は100-200 μmであり、この間隔がさらに広がってしまうと、すべての細胞に十分な酸素や栄養素を供給できずに、健康を維持することができません。

中医学の体質として、血虚(血の少ない)タイプです。
形がノーマルであれば、良いのですが、短く、ねじれがあると、血虚と気虚、瘀血(おけつ)などのタイプと合わせもっていると想像します。後でご説明します。

②濁りで観察しにくい毛細血管

毛細血管の壁には小さな穴が開いていて、一日に約20Lの水分が漏れています。この漏れ出る水分はリンパ液と呼ばれ、血液の中の血漿(けっしょう)と呼ばれるものとほぼ同じです。

血漿は血液の55%を占める液体成分です。
含まれる成分は、たんぱく質(アルブミン、フィブリノゲン、免疫グロブリン)・脂質・糖類(グルコース)・無機塩類(カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、鉄、銅、リン等)などになります。
以下のサイトを参考にさせていただきました。

血管壁から漏れた血漿中に糖、脂質、電解質が増えることで、毛細血管が、もやに掛かったようで、見にくい状況になります。

生活習慣の中でも食事内容の見直しが必要です。
甘いもの、塩辛い物、脂っこい物など摂りすぎのサインが毛細血管の周辺から分かってしまいます。

濁りがある場合、毛細血管も短かったり、ねじれ、太っていたりします。
睡眠不足や疲労が溜まり、老廃物がリンパ管へ回収されず、むくみや血色の悪さとして出てきます。

中医学の体質としては、痰湿(水分代謝低下)や気虚や瘀血も考えられます。気虚については、③短い血管の説明で出てきます。瘀血はねじれの血管の説明で出てきます。

③短い毛細血管


毛細血管を観察すると、スーと伸びたヘアピン形の毛細血管が理想ですが、とても短くヘアピンの先しか見えない場合や、毛細血管の根元に横向きの血管が観察できる場合があります。

利き手の反対の薬指の爪の根元で見ていくのですが、爪の甘皮に向って伸びてくる血管が短くしか観察できない状況です。

これは中医学的には、気虚、血虚、陰虚が関係するのではと考えています。
血管に栄養が行きわたらせる力がない、あるいは血液自体が少なく栄養不足、あるいは体液不足で脱水状態になっていると考えることができます。

気虚はエネルギー不足の状態で、疲労が溜まっていたり、睡眠不足が気虚を誘発させます。もともとの胃腸虚弱やアレルギー体質の方も気虚タイプに多いです。

血虚は栄養たっぷりの血が不足して血管を通して、隅々まで渡らせることができず、細胞の栄養失調がおきます。
身体がだるい、肌が乾燥する、爪周辺のささくれなど、身体の潤い成分が足りません。
血以外に水も足りない陰虚も同じような症状が出ますが、陰虚はほてりが感じやすくなります。

実際の毛細血管の写真を上記サイトではご紹介しています。

④ねじれた毛細血管


身体が錆びる原因に活性酸素が挙げられます。

活性酸素が溜まってくると、血管内皮細胞に傷害を与えます。
毛細血管の壁を守る壁細胞が老化や酸化で弱ると、構造が劣化して、血管から水分や老廃物が漏れ出てきます。

血管の老化を防ぐTie 2という受容体が注目されています。
詳しくは以下のサイトを参考にされて下さい。

濁りやねじれが出やすく、ゴースト血管へと進みやすくなります。

血管の老化に関係しますので、最終糖化産物のAGEsが増えることが血管の老化を導くとされています。

⑤太い毛細血管

毛細血管が太るというのはどういった状況か?
いわゆるドロドロ血液の状態です。

血管に流れる赤血球が渋滞してくると血管が太くなって見えます。
食事が糖質、脂質の摂りすぎ、いわゆる高血糖、高コレステロールの状態で、生活習慣病に直結します。

詳しくは以下のサイトが参考になります。


中医学では痰湿、瘀血のタイプです。
毛細血管を観察すると、太さだけでなく、ねじれや濁りもあることが多いです。

以上、5タイプの毛細血管について、簡単に解説しました。

中医学は望・聞・問・切という四診という重要なチェックで、体質を診ます。

毛細血管の観察は、望診や切診という観察し触れて判断する中で、ひとつの観察材料として捉えています。

これで全ての体質が分かりませんが、体の中で何が起こっているのかを垣間見るには、とても参考になります。

漢方相談では、全ての方に血管測定をしていませんが、必要だと思われる方、ご希望の方にしています。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?