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生薬アレンジで、目的にあう薬膳スープ作り

薬膳カフェ ファルマシーは家庭薬膳スープカフェ。
コロナ以前に薬膳スープランチで賑わっていましたと、過去のことになろうとは思いもしませんでした。

カフェのランチは、家庭薬膳をモットーに母が薬膳スープを毎日仕込み、そのスープから薬膳お粥、薬膳うどん、薬膳ワンタンスープなどが、心と身体を温めていくメニューとしていました。

併設の漢方薬局 綾心で生薬レシピをアレンジして薬膳スープの素を作り、カフェ担当の母が味の調整をしてくれていました。

コロナ時代になると同時に、母の癌が分かり、カフェ営業を一旦休止しました。薬膳スープランチをお出しするスペースは、1組ずつの漢方相談スペースと変わり、ゆったりお茶を飲みつつ、漢方相談をしています。

薬局は今まで通り、商品、パンフレット、血流測定機器がありますが、その一角で娘の遊び場&昼寝コーナーを調剤室の前に設置して、勝手ながら育児しながらの営業を許していただいております。

公私混同かもしれませんが、来年度の保育園に入るまで、娘は薬局で皆さまにあやしていただき、温かく見守っていただいております。

カフェ休止中、母秘伝の薬膳スープは毎週生薬レシピを変えて試作して、なるほど!と思うことがありました。

野菜の旨みは皮や芯、葉など切れ端から

薬膳スープのお野菜は、定番のスープの具材で、
キャベツ、人参、タマネギ、ネギ、生姜です。

皮や切れ端も一緒に使います。キャベツの芯、人参の葉の根本、タマネギの茶薄皮、青ネギのところ、皮付き生姜といった具合。

通常のお料理で使いきれない部分を入れます。

しっかり、野菜の栄養をいただくには、こういった切れ端や皮にエネルギーがあります。

日本の出汁の旨みを鷄スープのコクと合体

日本は旨みたっぷりの出汁の文化があります。

出汁の旨みと野菜の甘みを合体させた優しいスープは、五臓六腑に沁み渡ります。 

出汁がよく出る椎茸、昆布など、
やはり良い出汁が出ます。

更に、中華の鷄スープのコクと合わせ、和と中の折中、まさに日本の中医薬膳スープが出来上がります。

生薬で味も効能も、方向性が様々に

五臓六腑に染み渡る薬膳スープを目指して、生薬を配合してきました。

生薬レシピを考えるのは、漢方薬剤師である私が得意とするところ。

漢方薬は苦くてまずいのは当たり前ですが、薬膳スープはそうは行きません。

まず、ベーシック薬膳スープの生薬レシピのコンセプトは、滋養、滋潤の配合。

さらに五臓(肝心脾肺腎)に分け、それぞれの方向性を付ける生薬をベーシックレシピに合わせます。

例えば、腎に良い生薬を加えて、9種配合したレシピ(処方)。

ベーシック薬膳スープはかなりさっぱりした癖のない味。そこに五臓のそれぞれの方向性の生薬を入れたら、それぞれに全く違う味に変身します。

塩や醤油などの味付けがなくても、生薬が鷄と野菜から引き出す味は、生薬レシピにより、それぞれの味わいが出てきます。

これは試作してみて、よく分かりました。
材料は同じでも、配合生薬でかなりビックリするほど変わります。

なので、主婦としては嬉しいこと。
スープ材料は同じだから、沢山作っておいて、気分や体調で、家族の健康を守る色々な薬膳スープができるのです。

最後は合わせる旬野菜を選ぶ

旬野菜はパワーフード、地産地消で栄養を損なわず、身体に取り入れましょう。

夏は青梗菜、トマトを小鍋に移した薬膳スープに入れて一煮立ち。

紫蘇の葉を入れると美味しくて、味わいが変わり、さらに気持ちや胃腸もスッキリします。

この時、野菜の薬膳的な意味を知ることがとても役立ちます。

私の定番のパワーフードは、長芋と黒キクラゲ。
補腎と健脾で、これはどの薬膳スープにも入れておきたい具材です。

母親の味は、記憶に残ります。家庭での食事を大切にしたい。

母の台所での姿を思い出し、母のように気持ちを入れて薬膳スープを作っていきます。薬膳スープが家庭の元気をつけてくれるメニューのひとつになってほしいと思います。

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