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「言葉は身体は心は世界」往復書簡〈2022.7.6 石崎詩織宛〉

てがみの前のまえがき

7月9日に東京・洗足池のAOI COFFEEで行われる「言葉は身体は心は世界」BOOK LAUNCHシリーズ企画の一環として、ゲストに〈Chai Apothecary〉石崎詩織さんをお招きしたトークセッションを行うことになりました。

詩織さんはAOI COFFEEに縁が深く、さらに紐解くとさまざまな共通の人や場所、事柄を介して、まさにご縁が繋がるべくして繋がっている(た)方と私は感じています。

洗足池からもほど近い荏原のkonomadにて5月に開催したBOOK LAUNCHにも詩織さんは来てくださって、編集者・西山萌さんとのトークセッションを終えた直後に「AOI COFFEEでも開催したらどうか」という話がすぐに挙がりました。私自身もAOIの常連ですし、自分が縁を持ち、さまざまな「コミュニティの広がりが既にある場所」を足場とし、書籍の内容を軸にしつつその時々までに培われた経験や視点を「はなし」として展開していったら面白そう、と感じていた矢先でした。
だからトーク相手をお願いするなら詩織さんほぼ一択、そして〈Chai Apothecary〉の活動にも触れようと思いました。彼女とコミュニケーションを取ったり、同じ空間に居合わせていると不思議な化学反応が起きるから。「化学」なんて方程式にはまるようなものでもないかもしれません。

詩織さんからのおてがみ

トークセッションを開催するにあたり、おはなしの予告も兼ねて詩織さんとnote上で往復書簡をすることになりました。この往復書簡はトークセッション前後に何往復するか未定です。もしかすると後にたくさんやりとりが発生したり、ともすれば他の人も巻き込んだ交換日記のようにもなるのかもしれません。

詩織さんが本を読みながら感じたことを絵にしてくれました。すでにこれまでのBOOK LAUNCHトークセッションで感じた感触がはからず描かれてると思いました。

というわけで、まずは詩織さんが綴ってくださったこちらの素敵な記事からどうぞ。

詩織さんにとっての「自分はこんな人間だ」(と言うのはまさに本書の大枠の内容でもあるわけですが)を成してるものごとを振り返ったあとに、そこに私の言葉をいくつか引用して照らし合わせてくださいました。こんな素敵なまとめ方に落とし込むまで読み砕いてくださった詩織さんの真摯さと聡明さに感謝!そして自分の言葉が他者の人生(現在進行中)をとおして編纂されたような、不思議な喜びにあふれた感覚です。

やっと本題:詩織さんへのおてがみ


拝啓 詩織さま

さて、とても丁寧かつ、すぱっと涼しい風が切られるような潔い構成で手紙をくださりありがとうございます。文章を書く仕事をしているのに時折顔を出す自分の冗長さを反省したくなるほど・・・詩織さんはやはり直感と論理の両立というか、絡め合わせ方が魅力だと感じます。それは時に、他者からすると前後左右のつながりを見出しにくかったり、突飛なように感じられることもあるようですが、当の本人としては至って『理にかない腑に落ちた選択』だったりするのですよね。
その感覚を携えて具現化されたのが、まさに〈Chai Apothecary〉のチャイシロップやグラノーラなのだと、改めて唸りたくなる気持ちになりました。

以下、お返事のような、トークセッションの伏線のような、飛躍した所感も含まれている私からのテキストです。

これまでに詩織さんは、私と会話をしたあとに何度か

「話さなくともコミュニケーションできている気がする」「実体だけでなく、魂もコミュニケーションしてるように活性化される感じがする」

といった趣旨の言葉をくれたことがありましたね。「気配」は決して非科学的なイメージの世界の話でなく、科学でも証明されるものだそうで、肉体の延長にもその人の「からだ・実体」があるとすれば・・・詩織さんは、もしかすると相当に感覚の研ぎ澄まされた人なのでしょう。

その感覚をつくったものとして、たとえば自然に囲まれた出雲で、五右衛門風呂に浸かって過ごした体験があるかもしれません。
(余談ですが、五右衛門風呂の製作所が広島に1軒あり、年間50個生産されているのだそうです。そして大抵注文する人は家の所有物が少ないのだそうです。)
(さらなる余談ですが、先日島根にゆかりのある方が「島根と静岡の人はのんびりしてるところが似てるらしい」と話してくれました。静岡はまさに私が東京との緩い二拠点ライフを送っている場所なわけですが、何かつながりがあるのでしょうか)

または異国・異文化を移動/生活した者として、自分とは異なる身体を持ち、共有しきれない言葉のシステムを持った存在を(同じ国や文化にいる人間ですらそうだけれど、やはり異国ではそれが顕著です)「名前」をつける手前で見つめる力が養われたから、というのも可能性としてありそうです。

「言葉が繋がる背景に、移動生活者としての共感がある」

https://note.com/weaving_poem/n/n9295171d0a3f

最近私は久しぶりにダンサーとして人前で踊りを披露する機会があったのですが(詩織さん、ご来場ありがとうございました!)ダンスと舞踏はやはり似て非なるものですね。どちらも最終的には自分の動きに嘘があってはいけなくて「踊りたい感情や現象を宿した身体にならなければいけない」のは確かですが・・・といっても舞踏をちゃんと舞う側として経験しておらず、一瞬書きかけたことは責任を持って書けないので、そのあたりはトークセッションでぜひお聞かせください。

6月26日池上会館にて開催されたダンサー皆川まゆむさんディレクションによるワークインプログレス公演に踊り・言葉・演出で出ていました。この話もトークセッションでします。
photo. 大洞博靖

Chai Apothecaryの夏至のチャイシロップは「無自覚に集めてきたものが、ふとしたきっかけと縁で形になり」と書かれていましたが、食・料理ってまさに直感と論理のバランスを取る教科書のような行為なのですよね。こと詩織さんの場合は、味ではない感覚や記憶までも味に集約してしまう。味わい香りながら、景色が広がり、風の心地や土を踏む足裏に伝わる凹凸すら感覚として呼び起こされます。優れた料理家の方、に限らず表現者は、誰もが共感覚的だと感じます。詩織さん自身の言葉で、チャイの背景にあるものをお話しいただきながら、参加者の皆さんのチャイを味わった体から出てきたフレッシュな言葉も伺いたいものです。

もとい人間は、誰しも共感覚的な潜在能力を持っていると、「言葉は身体は心は世界」を読んだ友人知人たちからの感想を頂戴して改めて感じているこの頃です。ものすごく面白い個人の体験談をいくつかシェアしていただいたので、それについてもお話しする予定です。

「トークセッションの手がかりにしてみたい」と引用くださった箇所は、ぜひおさらいしましょう。「巫女的心身」もなかなか話し甲斐がありそうです。でも、実はあの章に書かれた内容は、自分自身「そんなふうに葛藤していた頃もあったな」と昔話を読んでいるような、今となっては遠い感覚のおはなしも多いのです。脱稿から現在に至るまでの変遷についても触れましょうかね。

と、ひととおり書いて気づいたのですが、トークセッションは7月9日13:00〜と16:30〜の2回あるので、どちらで何を話すかは全く未定です。これはもう人と時間のご縁ということで、トークセッションにお越しになる皆さんもサプライズに出会う気持ちで楽しみにしていてください。!

瀧瀬彩恵「言葉は身体は心は世界」
BOOK LAUNCH EVENT トークセッション

7月9日(土) 13:00-14:30 / 16:30-18:00(1時間半程度予定)
会場:AOI COFFEEの同じ建物にあるイベントスペース
ゲスト:〈Chai Apothecary〉石崎詩織
参加費:2000円(チャイ付き / 各回定員8名 要予約)
*各回10分前までにご入場ください / 参加費は当日現金精算をお願いいたします

ご予約は下記フォームよりお願いいたします
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScWldqiSOrntTQTw99ojiGlGDPKuRrAt9Yc95zr3MKEWdnntg/viewform


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