信州Day156

昨日が156。

朝9時笹原公民館駐車場に集合。
笹原観光まちづくり協議会が主催される荏胡麻栽培の、
最後の段階のお手伝いをば。
先月、刈り取られた荏胡麻が乾燥して並ぶハウスに軽トラで送ってもらう。

脱穀は酷な労働だ。
この夜埋め草で今井さんに訊いたら、雑穀の脱穀はどこもマニュアルで酷な作業だと仰っていた。
お米の脱穀機は使えないのだそうだ。小さな荏胡麻は、紫蘇の実そっくりなのだが、あのさやから黒く細かい荏胡麻は機械の脱穀ではうまく出て来なくて、やはり人間が網に叩きつけるしかないのだそうだ。

乾燥した株1つずつを、鉄製の格子に叩きつけ、実の部分を下に落とす。
さやから枝を取り除く第1のふるいがけ
種からさやを取り除く第2のふるいがけ
種からどろを取り除く第3のふるいがけ

そのあと、とうみ(唐箕と書くらしい)にかけて、ごみをさらに飛ばす。

そして、水洗いを3回する。
3回めは洗濯ネットに入れて、洗濯機で3分洗い、二層式の脱水機にかける

9時から始まって、ハウスに長く2列に並んだ株がすべて脱穀し終わったのがお昼を挟んで午後3時ぐらい。

そこから唐箕にかけ、
水洗いのために再び公民館駐車場に集合した時には、人数は半数以下に減っていて、
女は明治温泉のゆりやん(若い)、やゑちゃん(さらに若い)、私。
あとは普段から笹原で仲良し組の協議会の強豪なおやじさんたちばかり、全部で10人弱で、
協議会事務所の駐車場で水を扱う。でもここはとても楽しかった。
疲れた時には盛り上げなきゃ!と少年のように軽妙な会話を交わすおやじさんたちに笑いっぱなし。みな70代かなとお見受けするけれど、とにかくよい顔で、ユーモアがあり、身体が動いて明るいのだった。

洗うのはコンクリートを混ぜるようなふねなのだけれど、
水を替えるのに、一旦すべての水をこぼしてまた溜める時間がもったいない…とコイズミさんが言うので、漏刻のことを思い出し、サイフォンはどうでしょうか。と提案したところ、採用。「サイフォン作ります!」とホースを手にしたコイズミさんから、イグノーベル賞認定されたけれど、イグがつかなくてもいいと思う。
ただ、これは、むかーし、飼っていた金魚の水を全て替えるのがもったいなくてサイフォンで底にたまったゴミを吸い取らせた、わたしの母のアイディアだった。

サイフォンだけでなく、なんだかいろいろと、作業に、人が楽になる改善の余地がありそうなんですけれど、でも結局このマニュアルが一番うまく行くのだ。というのは、たぶん、雑穀の構造からして種を「落とす」ことが必要で、そのための刺激は枝を棒で叩くか、枝自体を叩きつけるかのどちらかが有効なのだろう。農林水産省のマニュアルにまで、叩くって書いてある。
 
人海戦術なので、人の並びとか作業の経路とかを改善していくことはできそう。例えば、叩く時には、人数が多けりゃよいということでなく、片側2人の計4人が、もちつきのように合間に叩きつけ合わないと、格子をうまく使えない…とか。そういうことを、やりながら気が付いて周りをみていく人と、いっこうに気が付かなくてマイペースの人というのがいて、そういう人には共通したものがあって(詳しくは書けないけれど)見ていて面白かった。きっと共同作業向きじゃないんでしょうけれど、幼いころから農家で共同作業を鍛えられたひとには生き残り能力が叶わないし、お金がなくなったら生きていけないのではないのかしら。

そんなことを考えながら荏胡麻をざるで叩いて洗う。
途中何回かちゃんと水を入れ替えなくてはならない掃除があり、おやじさんたちはふねの水を勢いよくこちらにこぼしながら、わたしの足元を見て「ありゃーふつうの靴じゃん。長靴じゃなきゃー。セブンイレブンあるじゃん?あの堀のT字路から高地はもう長靴で来ないとな」「でも水を捨てる手元を止めないあんたひどいよ」「そうだなーひどいやつだなー」と言いながら全部水をこぼし切るのだった。

長靴買ってこよう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?