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Women Negotiating 読書メモ 2. 良い結果を導くプロセス

第2章では交渉プロセスの重要性を再確認する。どれだけ昇給するか、契約条件はどうするか、誰がお皿を洗うか、といった交渉の内容だけに集中してしまい、交渉のプロセスを軽視することはリスクが大きい。調査結果では交渉プロセスにおいて、交渉にあたる当事者同士の人間関係の構築が最も大切であることが明らかになっている。
 
人は交渉の結果が満足かどうかを、交渉のプロセスが満足のいくものであったかどうかで判断する。このため、この章では交渉プロセスを向上する方法を検討する。例えば昇給の交渉をするとして、実際に昇給を得ることができたとしてもそのプロセスで議論を重ね、上司を辟易とさせて関係を損ねてしまった場合には私たちは結果に満足することができない。一方、あまりに簡単に要求が受け入れられてしまった場合にも要求が低すぎたのだろうかなどと考えたりする。
 
調査によると、交渉の結果どのような利益配分が行われたかよりも、人は交渉のプロセスの公平性を重視することが明らかになっており、プロセスが公平であったと感じている交渉人ほど合意内容に従う可能性も高い。プロセスと合意内容がどのように全ての当事者にとって建設的なものとなるかに焦点を当てることによって、交渉当事者全員にとって満足感があり公平な合意を作り出せる可能性が高まる。

交渉にあたる当事者が、交渉をゼロサムの奪い合いではなく、相手と一緒により多くを得るためにアイデアを出し合い、合意に至る機会であると捉えることができれば、より建設的なプロセスを進める地固めとなる。
 
交渉にあたり良いプロセス、建設的なプロセスとは感謝と尊敬のコミュニケーションが全てと言える。このため、以下が重要となる。
• 議論より傾聴(敵対的な議論で良い交渉結果は導けない)
• 会議のために心地よい環境を準備するなど、コミュニケーションの取り方
• お互いの利害関係を全て話し合うことのできる十分な時間をとり、お互いの話を聞くこと
• お互いの要求や利害に気づいて正当に評価すること
• 良い合意に至るために合意内容を検討する時間をお互いに与えること
• 自分の要求を譲歩するのは交渉の最終段階で。見返りを得られる場合に何かを与えればいいのであって、多くを与える必要は無い。
交渉にあたる当事者が会うたびにお互いに無意識の信号を送り合うことは軽視することができない。
 
私たちは皆、それぞれ自分の人生の経験に基づいて主観的に色づけられたフィルターを通して世界を見ている。これを「枠組み」と呼び、交渉はこの厚いフィルターを通して行われることを理解しなければならない。年齢、どこに住んでいるか、物理的な見た目、教育のレベル、声のトーンとアクセントなどなどから私たちは相手を判断・分類し、交渉する相手を位置づける。中でもジェンダーはフィルターの主要な要素であることが明らかになっており、次の章ではこの点のみを検討する。このように相手にフィルターをかけるプロセスは、人が本来持っている可能性に影響を与える。

実践練習

交渉のプロセスで何が上手く行くのかに気づいて書き出してみる。
→あなたのコミュニケーションの取り方
→どのようにお互いの話を聞くか
→お互いの要求と利害に気づいて正当に評価したか、した場合はいつ
→良い合意に至るために合意内容を検討する余地をお互いに与えたか

自分自身のフィルターを確認する。
あなたは交渉相手を一定の規定概念に基づいて位置付けたか?その枠組みはあなたの交渉相手の見方にどのような影響を与えたか?その枠組みは交渉の助けになったか、あるいは逆か?

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