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Women Negotiating 読書メモ 1. 交渉とは何か

交渉の定義は次のようなものだ。
「異なる利害を持つ二人以上の当事者が合意のためのプロセスを経るとき」

いつ自分が実際に交渉をしているのかに自覚的になることは交渉を戦略的で効果的なツールとして利用する基本条件となる。
 
例えば職場で自分が長く関与してきたプロジェクトに最近担当となった同僚が、自分がプロジェクトマネージャーになりたいと上司にアピールし、あなたは庶務担当のアシスタントをして欲しいと言われたとしたら?あるいは家庭で、あなたが子供たちに食事をさせ、宿題を見て、風呂に入れなければと思っているときに配偶者がスポーツクラブに行ってしまったら?予定の無い週末を楽しみにしていたら、昔の友人が家族と一緒にあなたの家に泊めて欲しいと提案してきたら?

こうした突然の場面でも交渉に意識的になることができれば、結果をより望ましいものに変えることができる。優れた交渉人になるための第一歩は、あなたの周囲で起きる交渉に気付けるようになることだ。
 
突然の事態にも対応できるようになるには、「自分との交渉」で自分は何が欲しいのかを明らかにしておくことは重要だ。「自分との交渉」では自分の要求に対して周囲から予想される反対意見や社会的な規範に譲歩して要求を下げすぎ、自分を偽った内容にしてしまわないことが大切だ。

私たちが要求を切り下げる理由のひとつが、もし交渉を高いレベルの要求で開始しようとしたら交渉相手に「欲深い」と思われるかもしれないという心配がある。私たちは交渉相手と良好な関係を保ちたいと考えており、このため要求に相手がどう反応するか予め考慮する。あまりにも大きな意見の相違を避けるために最初の要求を切り下げてしまうことは、交渉結果に影響を与える。この事実に直面すると、多くの人は自分の戦術としてより控え目な要求の方が「現実的な」選択肢であると言う。しかし「現実的な」要求とはしばしば単に私たちが対立や欲深い人だと判断されることへの恐れを偽るものでもある。
 
私たちは自分のアイデンティティーさえ交渉していて、他からどういう立場の人と評価されるかは交渉にも影響を与える。例えばあなたが50代半ばの地味な服装の女性で、会議室の隅で静かに作業をしていたら、本当はあなたがこれから始まる会議の意思決定者であったとしても、実際に会議が始まってあなたが自己紹介をするまでは、他の参加者からそうは見られないかもしれない。
 
何が交渉となりうるのかと、実際に起きている交渉に意識的になれること、またそこでの自分の要求は何かを明らかにしておくことで、交渉をツールとしてより戦略的に利用することができるようになる。

実践練習
- 自分が交渉を始めることによって、交渉しなかった場合には得られなかったものを手に入れることができるか考えてみる。

- 誰かがあなたに何かを要求したら、交渉の機会だと覚えておく。「はい、もし〜ならやります」と返答することで、バランスの取れた合意への第一歩を踏み出すことができる。

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