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Women Negotiating 読書メモ 0.はじめに

誰もが日常的に交渉をしている。
私たちは皆、経験豊富な交渉人なのに、その能力は常に意識的・戦略的に使われてはいない。

交渉スキルを持っていると気づかないまま、人は常に交渉している。日常生活の中でどれほどの時間を交渉に費やしているのかに目を開くことは素晴らしい気付きとなる。

私たちは皆交渉をする、上手く交渉できる、という気付きを得ると交渉というツールをさらに戦略的に利用できるようになり、交渉のプロセスからより多くを得られるようになる。

交渉とは何かについては、1章で述べる

人は誰かに賛成できないと感じた時、自分が正しくて相手は再考する必要があると説得しようとすることが多い。

それよりも、自分と相手は見解が異なるという事実を尊重した上で、どのように一緒に前に進むことができるかを話し合い、答えを見出す方がずっと合理的だ。
すると交渉はドライで退屈な終わりのない議論と権力闘争ではなく、創造的でワクワクする有益な選択肢になりうる。
自分が欲しいものを手に入れるために、必ずしも誰かと戦い、誰かが勝って、誰かが負けるということではない。

交渉のプロセスは重要だ。交渉アドバイザーとして会社を二つに分ける案件では、私は将来に目を向けるよう顧客にアドバイスする。どのようにベストな移行を実現できるのか考え、二人の顧客のどちらが正しくてどちらが間違っているかを決めようとするのではなく、彼らのエネルギーを双方にとって可能な限りベストな合意とすることに集中できるようファシリテーションする。またお互いの要求と、そこに潜在する利害に耳を傾けるよう促す。合意に至るためのアイデアと可能な解決策を尋ね、双方がその合意から何かを得ていると必ず感じられるようにした。

私のフォーカスは彼らが合意に向けてどのように交渉をするかというプロセスだ。そして顧客が話し合う内容だけを見ているのではなく、二人がどのように話すのかも注視する。

交渉のプロセスについては2章で述べる。

「交渉」という言葉は形式的すぎて、特に家族や配偶者との日常的なやりとりには不向きな表現に感じる。しかし交渉という言葉を使うかどうかが必ずしも重要なのではなく、今までより多くの状況の中で交渉の可能性を意識的に見出せるようになることが大切だ。

このような理由で、この本は4章で述べる職場で行う交渉に限定せず、交渉を個人の生活にどのように活かすことができるかについても5章で述べる。

私たちが家庭で行う交渉、特に配偶者とのキャリアに関する交渉は職場で行う交渉に大きな影響を与えることは、調査で明らかになっている。例えば家事分担が平等でないことは、女性がキャリアでどこまで上昇するかという自身の理解に影響を与える。この場合女性は家庭での責任と今後のキャリアの全てを完璧にこなすことができるだろうかと考えるからである。

このため、女性は家庭で行う交渉を重視する必要がある。不可能とも思える両立を可能にする一つの方法は、このチャレンジに「自分との交渉」によって真っ先に取り組んでしまうことだ。どのように自分の願いを生活に組み入れることができるだろう?この交渉は次に、一緒に生活する人、仕事で関係する人たちを巻き込み、そしてもしかしたら組織レベルの交渉となることさえある。職場はどのように職場と家庭の両方において社員のニーズや願いを受け入れる場所となれるだろう?

私たちの交渉はまた、私たちがお互いを通してみるフィルターに深く影響を受ける。フィルターの一つは年齢だ。「彼女は経験のある女性だ。だから彼女は騙せないだろう。」文化かもしれない。「私は中東の男性と契約交渉をする。取引して自分の要求は変えないことだ。相手は良い価格を引き出すことが上手いだろう。」職業かもしれない。「彼女はフリーランサーだ。だから彼女は仕事が欲しいだろう。要求をかなり下げさせることができるだろう。」
これらのフィルター自体も無意識に、実際の交渉に並行して水面下で交渉されている。

フィルターの中でジェンダーは特筆すべきだが、古典的な例としては、女性は自分より他者を気遣い、思いやりがあるべきだと周囲から期待される。一方、男性は自己利益に集中し、他者にはそれほど意識を向けないことが一般的な期待値であるため、女性が自分の同僚よりも多い給与を交渉しようとするときに、この女性は彼女の男性の同僚よりも自分勝手に見えてしまう。

ジェンダーのフィルターについては3章で述べる。

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