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柿田さんのマンゴー

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宮崎県綾町宮原地区。
綾北川を渡った先のちょっと小高い丘の上。

少しだけ出てきた雲とさっきよりも涼しくなった風に「こりゃ曇るかな」と柿田さん。柿田さんは綾町のマンゴー農家だ。

23歳から17年間、国家公務員として昼夜を問わず働いてきた柿田さん。
40歳を機に退職、綾町に移住し、マンゴー農家へと転職したのが15年前。

どうしてマンゴー農家なのか。

「熱帯果樹の雰囲気が好きなんだよね。ジャングルみたいで。」

ジャングルのような雰囲気。
それは柿田さんの前職での経験が影響している。
3年間職務に就いたカンボジアでの生活。

カンボジアではマンゴーの木は町のいたるところに自生していて
春先(といっても1月)に霧のように降る雨を「マンゴーシャワー」と呼ぶそうだ。それを機にマンゴーの木は一斉に花を咲かせ、やがて実をつける。
町中にひろがる甘い香りを想像し、さぞかし美味しいんでしょうねと尋ねると「それがね。すっぱいのもあるんだよね。熟したのは甘いけど。日本のマンゴーとは種類が違うんだろうね!」

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柿田さんのマンゴーもアーウィン種。ここからまだまだ大きく育つ

マンゴーの種類は世界中でざっと数えても500以上といわれている。
宮崎や本州で育てられているマンゴーのほとんどは、卵型で果皮の赤いアーウィン種。沖縄ではアーウィン種に加えてキーツ種。こちらの果皮は緑色でア―ウィンよりも大きく、ねっとりとした食感で糖度も高い。

宮崎のマンゴーの特長といえば、きっちりと基準が設けられ管理されているところではないだろうか。昭和59年から県内での生産が始まり、昭和62年には完熟して自然落下する果実をネットで受けて収穫するという技術が確立した。その中でも味、見た目ともに最高とされるマンゴーが「太陽のタマゴ」だ。

「太陽のタマゴ」はマンゴーの種類ではない。品種は同じア―ウィンだがその中でも県独自の髙い基準をクリアしたものだけが「太陽のタマゴ」として出荷される。

糖度12度以上で自然落下で収穫されたものが「宮崎完熟マンゴー」
その中の糖度15度以上、重さ350g以上、
さらに見た目の美しいものが「太陽のタマゴ」

宮崎県全体の収穫量の比率から見ると「太陽のタマゴ」になれるのはわずか10%以下。その厳しい基準のクリア率をあげるべく、最近は地植えではなく水や肥料の管理がより緻密にできるポット栽培をしているところも。綾町ではポット栽培をしているところも多い。

毎年6月は木の剪定をし、冬を待つ。
他の木と一緒で、寒い時期があり、温かくなる事で花が咲く。
1月に花芽がつきはじめ、2月には満開を迎える。

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これがマンゴーの花。
実が大きいから大きな花なのだろうと思いきや、ぶどうの房ように枝先に小さな花をたくさん咲かせる。

この花のひとつひとつが実になっていくのだが、すべてが大きくなるわけではない。たくさんの実の中からいちばんいい実を探すべく摘果を繰り返していく。最終的に一本の枝から収穫する実はひとつ。もしくはゼロ。
全て手作業だ

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くぼみがあったりするのは受粉がきちんとできていない実。受粉がうまくいっていないと種ができないので容赦なく切り落とされていく。

”この作業は1ヶ月以上続くからね。
夢にまでマンゴーがでてきたよって主人が言うのよ。
あの実は落とすべきじゃなかった。残しておけばよかった~~ってね。” 
と一緒に作業されている奥様が笑う。

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摘果をしている様子。たくさんの実の中からいちばんいいマンゴーになる実を選んでのこしていく。夢にでないように…

残す実を全て選び終えれば、あとは熟すのを待つのみ。
といっても何もしないわけではない。
日差しと湿度のコントロール。日が当たりすぎても日焼けをおこすし、当たらなすぎてもよろしくない。朝晩の冷え込みで実が結露すれば表皮が黒ずんでしまう。天気に応じたハウス内の細やかな調整が収穫までつづく。

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ハウスの天井から下がった紐を調整し、光の当たり具合を調整していく。

そうして5月。
ようやく自然落下した実が「宮崎完熟マンゴー」そして「太陽のタマゴ」として出荷されるのだ。

”娘を嫁にやるような気持ちよね。
おいしく食べてもらうのよ~って。”と奥様。

本当に、たくさんの花の中から選ばれた果実は、美しく見事に育った娘たちだ。柿田さんの愛情をたっぷりと注がれた娘たち。

完熟マンゴー

箱を開けたとたんに部屋中に広がる南国の香り。
鮮やかな色彩と上品で洗練された甘さは、果物とはいえ、もはや感動体験である。

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15年やっているけど、満足のいったことがないよ。と笑う柿田さん。

成功しているうちはなにも分からないよね。
毎年小さな失敗をたくさんすることで、少しずつ分かっていくんだ。

ネットの細かさ、ハウス内の冷え込む箇所、実のなりにくい木。
それぞれの問題に真摯に向き合い、その都度答えを出してきた柿田さんの言葉は説得力がある。

つきない探求心と木への愛情。
それが、人に感動を与える美味しいマンゴーをつくり上げている。

2021年綾町産「太陽のタマゴ」「宮崎完熟マンゴー」の出荷が開始となりました!ふるさと納税でも申込受付中です。
順次出荷となりますので楽しみにお待ちください(^^)

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