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新たな音楽との出会いを。exPOP!!!!!

梅雨明けも発表され、いよいよ夏本番と迫った7月27日。渋谷O-nestでは、Eggs×CINRA主催の『exPOP!!!!!volume87』が開催された。毎回、次世代ブレイク必須のアーティストが出演し、多くの観客が押し寄せる。騒がしい渋谷の街並みに負けないくらい、ライブハウスは熱気に溢れていた。

この日、オープニングアクトを飾ったのは北海道出身のシンガーソングライター“CLOW”。怪しげな空気感とともに登場した彼女に、会場からは自然と拍手があがる。繊細なアルペジオと、穏やかな歌声により『Good Night』から既に空気を作りだす。柔らかなギターの音色の中には、何物かはわからない激情が存在していて、それが時折垣間見える。現代へのアンチテーゼのような『みんな同じ恋の歌ばっか つまんない』を力強く歌い上げ、胸が苦しくなるニュースを歌詞に落とし込んだ『スクロール』では淡々とした面を覗かせた。ラストの曲となったのは『Cry from』。アルペジオと穏やかな和音が響く曲で、彼女のしゃくりあげるような歌い方がとても際立つ。どこか狂気を孕んだ声や胸にささるリリックを観客に届けると、深々と頭を下げてステージを去った。自分が生きる”今”という時代を、冷静に一歩引いて見ている彼女。その独特な世界観は、今後も多くの人を魅了し唯一無二の存在へとなっていくことだろう。

クールなギターのカッティングで始まったのは京都出身の“SATORI”である。ギター・ベース・ドラムがカッコいいインストを披露する中、YKOとハノトモが登場。会場は、クラップで溢れた。YKOの「1,2,3,4!」というコールでスタートしたのは『愛しのゾンビ~ナ。』。キョンシーのような振付が特徴的な曲で、後ろまで埋まった会場が一斉に踊っていた。メンバー紹介も兼ねたジャジーなリズムの『ときめき地蔵盆』、アダルティなDISCO調の『数学』と多彩な曲を演奏し会場を魅了する。『NO NO NO』ではフロアが彼らの音楽に促されるままに踊り狂い、『トゥー・マッチ・ラヴ・ウィル・キル・ユー!!』ではギターのカッティングが気持ちよく響いた。彼らのラストソングとなったのは、新しいアルバムのリードタイトルになっている『よろこびのおんがく』。マラカスや鉄琴も交えた最高にHAPPYな曲で、フロアからあがる手がサンバのリズムに合わせて、左右に揺れていた。“SATORI”という大きな花火を渋谷のど真ん中に打ち上げて、彼らはステージを去った。

誰しも耳にしたことのある『オブラディ・オブラダ』をSEに登場したのは“杏窪彌”。おしとやかに手を挙げると、POPでメルヘンなチャイナタイムはスタートした。1曲目の『歴史DEDANCE』から、かわいいらしいダンスと声で会場を虜にし『トムヤムクンに片思い中』に繋げる。目を見開き1点を見つめ『チャイナタウン抗争恋愛沙汰』を歌う姿は、なぜだか目が釘付けになる。有名なアニメソングをアレンジした『はじめての中華』、メロディーが耳に焼き付く『キョンシーがやってくる』とアンアミン・ワールドを展開する。直立で表情を変えずに歌いあげる姿は、人形が歌っているようで不思議な存在感を醸し出していた。昭和の夏を想像させるような、懐かしいサウンドの『夏天』ではギターソロがとても甘美に歌っていた。最後の曲となったのは『ジャイアントパンダにのってみたい』。最近販売したシングルのリードソングで、コミカルな振付がとてもかわいらしい。この日、彼女の横にはスクリーンが設置され、絶えず歌詞やメッセージが表示されていた。スクリーンに「拍手した人は、買ってくれるんだよね?」などと表示しイタズラに笑う彼女は、とても茶目っ気たっぷりで多くの人を骨抜きにしたことだろう。

"澤部渡(スカート)"が現れると、会場には大きな歓声が響いた。1曲目の『ストーリー』から、全力でギターをかき鳴らし言葉を1つ1つ丁寧に紡ぐ。数日前に出演が決まったとは思えないほどの堂々としたステージングは、日ごろから人々の前に立ち表現を続けている証に他ならないだろう。『おばけのピアノ』では高音を伸びやかに響かせ、『ストーリーテラーになりたい』では深い低音を鳴らした。「弾き語り向きじゃない曲をやります。」と宣言して演奏したのは『回想』と『CALL』。華麗に動く左右の指により生み出される伴奏の豊かさによって、ステージにバンドメンバーがいるかのような錯覚に陥った。続いて披露したのは、まだ名もない新曲。どこか変態性を含んだ少年っぽさは、これぞ澤部といった感じで観客が満足そうに頭を振っていた。アルバムからの抜粋である『ワルツがきこえる』、ロマンチックなバラードの『シリウス』と合計8曲を披露。盛りだくさんなステージに、フロアには満足そうな表情が溢れていた。

とりを飾ったのは、清浦夏実と沖井礼二によるロックバンド“TWEEDEES”。『速度と力』から一気に音の波が押し寄せ、空気が彼らの音楽に染まる。沖井の唄うようなベースラインも、すでに冴えわたっていた。王道POPミュージックである『STRIKERS』、清浦が旗を振る姿が愛らしい『Boop Boop Bee Doop』とエンターテイメントを体現して魅せる。『Rock’n Roll is DEAD?』ではJAZZのリズムが刻まれ、ステージが揺れた。ラストを飾ったのは2nd.アルバムに挿入されている『BABY,BABY』。猫が鍵盤の上でステップを踏んでいるようなピアノソロは、とてもリズミカルで軽やか。観客のクラップも完璧で、一体感の溢れるステージングとなった。彼らがステージから消えたあとも、歓声はなりやまずアンコールとなった。ザ・シンセという懐かしい音色が響く『The Sound Sounds』と清浦の色気が存分に発揮された『Crosstown Traffic』を演奏した。クオリティの高いライブアクトだけでなく、夫婦漫才のようなMCも楽しい“TWEEDEES”。最高峰のSHOW・ビジネスを届け続ける彼らの躍進に注目しない理由はないだろう。

終演後も熱は冷めやらず、各物販がとてもにぎわっていた。ただでさえ入場料が無料で、2ドリンク1000円と破格なのだが、Eggsアプリを落としていると2ドリンク500円になる、このイベント。これは物販で好きなアーティストのグッズを購入するほかないだろう。実際私も、チケット代にかこつけて何かしらCD等を購入してしまう。結果として、チケット代より使ってしまうことばかりなのだが。

ジャンルの枠を越えて良質な音楽を聴くことができるexPOP!!!!!。こちらのイベントが8月も開催される。気になるバンドがある人はもちろんだが、そうでない人にもぜひ参加してみてほしい。きっと新たな素敵な音楽との出会いが待っているはずだから。

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