正さで裁き合うような世界

ハローハローこんにちわ!

前回は刀剣占い展の話でしたが、

前々回の更新に話を戻しまして、因果と認識の話。

カントって?

最後にちょっとだけ触れたカントは、哲学を人間について考える学問として再定義した人

それまでは、物について考える学問だったわけですね。

そして、科学は、数字で表せて、実験できるものだけだよね~みたいな定義をした人ですね。

なので、カント以前と以降で哲学と科学の指してる範囲が変化しているわけですね。

さて、人間について考えるのが哲学……ということなので、人間が物事をどのように認識するのかという話ももちろん哲学。

カントは人間の認識に関して、「対象は認識に従う」、つまり「人間中心の観点だと、人間の認識している因果関係が先に存在しており、世界にはそれが存在しているかのように感じられる」という主張をぶち上げました。

それまでは、物があってそれが認識に影響を与えている……「認識は対象に従う」という考え方が主流だったので、

この発想の転換は「コペルニクス的転回」だと声を上げたわけですね。

「対象は認識に従う」といっても、よくわからないという人も多いかと思いますが、

要するに、

人間ってなんだかんだ言っても主観を排除できないよねという話。

意識的にフラットに何かを見聞きしても、無意識のうちに色眼鏡をかけてるみたいに情報を歪めてしまうよねってことです。

そういった、色眼鏡的な考えが先天的に備わっているんじゃないかという。

果たしてこれが正しいのか……というと、少なくとも脳はそういう感じで機能をしていると考えられています。

因果関係とベイジアンな脳

さて、では脳はどんな具合に情報を認識をするのかというと、大雑把にいえばこんな感じ。

1、情報を取得する(例えば、視覚とか聴覚とかから情報を取得)
2、取得した情報が予測モデルと合致するかを確認する
3A、予測モデルと合致していたら、低いレベルの予測モデルを修正し、反応する
3B、予測モデルと合致していなかったら、1つ高いレベルの予測モデルへ予測の誤差情報を送る(2へ)

この図では予測モデルを3個経由する形式になっていますが、実際にはもっと多くの予測モデルを経由するんじゃないかな?
(詳しくはまだ勉強しきれてないです)

感覚器に近い、低いレベルでの予測モデルでは刺激に対してシンプルな反応を返す部分。

夜に草むらからガサガサっと音がしたら(正体を確認する前に)ビクッとするようなやつですね。

そこから、レベルが高くなればなるほど、複雑な判断……音の正体を判別したり、行動を選択したりといった処理をするようになります。

そして、最高レベルに到達すると、ようやく感情とか精神だとかそういったものによる判断が行われるようになるわけですね。

つまり、最初は大雑把に処理して、そこで処理できなければ徐々に複雑な処理をしていくようになるわけですね。

それでは、この予測モデルというのは一体なんなのかということになりますが、これこそが我々の感じる因果関係の正体なんじゃないかなと思います。

予測モデルを形成する1つ目の要因は、生物として生まれながらに持っている基本反応セットです。

先天的に持っている色眼鏡、「あらゆる経験に先立って持っている認識」というやつです。

例えば、赤ちゃんの感じる好き、嫌いの反応ですね。

2つ目の要因は、生きている中で得られるあらゆる経験です。

さっきの処理を思い返して貰えば、「予測モデルと誤差があった場合、予測モデルが修正される」ことがわかりますよね?

これが何度も何度も積み重なるたびに、予測モデルの精度が上昇し、自分の中でのその予測に対する信頼が増加し続けます。

バグは起こるよ

ところで、この予測処理にもバグがありまして、

毎回正しい原因と結果を結びつけて予測モデルが構築されるわけではないのです。

間違った原因と結果を結びつけられてしまうことも十分にあります。

わかりやすい例だと、生存バイアスとかですね。

生き延びてきたから言えることじゃろがーい!というのも、その人の経験が正確ではない偏った予測モデルを構築してしまっているわけです。

もっと踏み込みますと、ジンクスというのもこれのせいです

無関係なはずの原因と結果を誤って結びつけちゃったわけですね。

特に、予測通りになると、その予測モデルの信頼性をグイグイ上げるように脳が働きますので、「試してみた→当たった!」の成功体験を一発目で引くとそのまま盲信モードに入ることも少なくありません。

そういった、誤解の積み重ねが占いや魔術に対する信頼を生み出しているパターンも多く存在します。

予測モデルって、要するに、自分の経験上あり得そうなことを予測して期待するシステムなんですよ。

自分の中で印象的な出来事同士を結びつけて、因果関係に仕立て上げれちゃうんです。

漫画で同じコマに居ただけでカップリングしちゃうようなことをやるヤツなんですよ、あいつは。

なので、厳密に言えば当たってない占い、無意味なおまじないなんかでも、

当たっているかのように、意味があったかのように「印象的だった部分」だけに注目して反応してしまいます。

しかも、言葉通りの解釈をせずに、自分に都合のいいように解釈をしちゃうことだって多いわけです。

そうやっているうちに、大雑把な部分で判断しちゃって当たったと思い込む癖がついちゃうわけですね。

シンプルブレインシリーズ

THE 沼

まぁそういうもんだからというちょっと冷めた目で自分の予測モデルを見直す日がたまにはあってもいいんじゃないかなと思います。

それではまた!

アディオス=アミーゴ!!

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