アイディアの発生条件に関する覚書

ハローハローこんにちわ!

今日は、流れをぶった切って最近調べていて面白かった、毒占いの話。

ベンゲ〜ザンデ族の毒占い〜

ザンデ族は南アフリカの南スーダン、中央アフリカ、コンゴのあたりに分布する民族です。
主に狩猟、漁労、焼畑農業を営む民族とのこと。

さて、このザンデ族の中で人気がある占い方が「ベンゲ」と呼ばれる毒占い。

これは毒餌を鶏に食べさせて、鶏が死ぬかどうかを見る占いです。

ここで使う毒のこともまたベンゲと呼ばれる訳ですが、
このベンゲ毒は効果で抽出も難しく、管理も難しいものだそうです。
(実際は、どんな植物から抽出される成分なのかを今調べてる最中です)

なので、「禁忌を犯せばベンゲの託宣は失敗する」とかいうタイプの言い伝えがあるんだとか。
男が占う必要もあるそうなんですが、これも、毒という危険なものを取り扱うからなのかなーなどと思ったり。

さて、そんなわけで、ベンゲ毒、結構貴重なわけですね。

そして、都合の良いことに、鶏がベンゲ毒を摂取した場合の死亡率はだいたい50%なんだとか。

ベンゲの手順

さて、どんな風にベンゲで占うのかというと、以下のような感じ。

1、鶏にベンゲを混ぜた餌を食べさせる

2、「〇〇がイエスならベンゲは鶏を殺す!ノーなら鶏を生かす!」みたいな感じで、イエスノーで答えられる質問をする。

3、鶏が死んだらイエス、生きていればノー。

4、別の鶏にベンゲを混ぜた餌を食べさせる。

4、「〇〇がイエスならベンゲは鶏を生かす!ノーなら鶏を殺す!」みたいな感じで、イエスノーと生死を入れ替えて再度質問をする。

5、それでも1度目と同じ解(イエスノー)が得られたら占い成立。

つまり、
鶏が1度目で死に、2度目で死ななければ答えはイエス。
逆に1度目で死なず、2度目で死ねば答えはノー。

ベンゲ毒では大体半分の確率で鶏が死ぬため、
死ぬ死ぬ、死なず死なずと同じ事象が発生する場合には、なんらかの不正があったり、不備があったりしたとみなされるわけですね。

また、このやり方だと一回の占いで2羽の鶏を殺す可能性があるわけですが、
複数の占いを一度に行うという荒技もあるそうです。

この場合、例えば、
イエスノーで答えられる質問A、質問B、質問C、質問Dを同時に問いかけ、
鶏1、鶏2、鶏3、鶏4に順番に毒餌を食べさせます。

そして、鶏1の生死は質問Aの解に、鶏2の生死は質問Bの解に・・・といった具合に割り当ててやります。

ここでもやっぱり、全てがイエス、全てがノーなら占い不成立となりますが、50%を何度も連続で引く確率は、試行回数が多くなれば低くなりますよね?
(4連続は6.25%くらいです)

本来ならば、4回の占いで8羽の鶏を使用して、4つの質問の回答を得ていたところを、
このやり方ならば、1回の占いで4羽の鶏を使用するだけで、4つの質問の回答を得ることができます。

これで、4羽の鶏の命が救われました!

毒餌を作る量も手間も軽減できるため、考え方が面倒くさい以外はメリットだらけですね。

原始的な考え方と現代的な考え方と

さて、ベンゲが面白いところは、比較的原始的な民族の占いであるにも関わらず、
非常に現代的な考え方で占いが構成されている点です。

まず、1回の占いで2羽の鶏を使って占うという点。

これって、独立した試行を何回も繰り返すことで、信頼性を保障するタイプのテストと同じことをやってますよね。

選挙会場の出口調査とかを思い出して貰えば、かなり近いですね。

出口調査では、
無作為に選んだ有権者(鶏)がどこに投票したのか(生死)を聞く、
というのを何度も行なっているわけですよね。

この実測値が50%に近ければ、ベンゲ毒の影響だろうと保証できるわけですね。

さて、もう一つの面白い点は、あの荒技のところですね。

まず、一回の占いを複数の質問の論理式として構築しているところが面白いわけですが、
それに加えて、ベンゲ毒と鶏を稀少な資源として扱って、複数の質問で活用できるように工夫していますよね。

これって、ファミコン時代のプログラミングみたいに限られたリソースを最大限に活用するための工夫と大体同じですよね。
使用できるリソースが限られているので、一つの情報に複数の役割を持たせたりするやつ。

例えば、ダンジョンの入り口を落石で潰してしまえば、中の宝箱の開封情報とかを管理するフラグの情報は別のところで再利用できる、みたいな。

こういった工夫や考え方って、非常に現代的で知的教養が必須なのかなと思ったりもしますが、
意外にも、こういった原始的なコミュニティの中でも生まれうるものなんですね。

(ひょっとしたら、現代的な考え方を教えられたから生まれたものなのかも分かりませんが・・・)

この例に限らず、原始的なアイディアの中には現代でも通用するアイディアがあったりするので、
なかなか侮れませんね。

それではまた!

アディオス=アミーゴ!!

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