第1章 基礎知識

20世紀最高の魔術師との呼び声も高いアレイスター・クロウリーが作り上げたのがトートタロットである。カードキャプターさくらに登場するクロウカードの作者クロウ・リードの原型と紹介すれば、その名を知らずともクロウリーの存在を間接的に知っている人も多いのではないだろうか?
数あるタロットの中でもトートタロットは難解だとか、特殊だとか評されることが多い。
この章では、そういった先入観を払拭するために、トートタロットを勉強する上で欠かせない基礎的な知識や、他のタロットとの違い、また、理解のためのコツに関して解説していく。
タロット初心者の方はじっくりと、熟練者の方は理解に行き詰まった時などに再確認の意味を込めて読み直してほしい。

★他のタロットとの違い
逆位置がないのがトートタロットの特徴である。逆位置自体をどう捉えるかは色んな流儀があるので、しっくりくるものを選ぶと良い。
作者である魔術師アレイスター・クローリーのこだわりが細部にまで行き届いているが、クローリー自身はトートタロットの完成を見ることなくこの世を去りました。ある意味、未完成なタロットとも言えるかもしれない。
トートタロットの最大の特徴は、カバラにおける生命の樹との完全な対応にあると言える。マルセイユタロット等の古典タロットは、大アルカナの数が生命の樹の枝の数と等しいという偶然をもってその対応が主張された。有名なライダータロットは、既存の古典タロットへカバラやオカルトの要素を少し追加したものである。一方のトートタロットは、生命の樹との対応に基づいてゼロから再構築されたタロットであり、カバラの勉強のための教材的側面が強いのが特徴であると言える。
簡単に表現すれば、以下のようになる。
マルセイユ、ライダー→生命の樹
生命の樹⇄トートタロット

ここから先は

2,444字
この記事のみ ¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?