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束の間の想い出

会うたびに目の下のくまが酷くなる君
そんな君を見て私はわかりきった質問をする

「また寝てないの?」
「いや、寝てるよ、、あ、でもうん、寝れてないね、すぐ起きる」
「少しは休んだりしてる?」
「うーん、、うん、散歩とかしてるよ」
「どうせ仕事のこと考えてるんでしょ」
「そうだね、でもリフレッシュはできるよ」
「遊んだりはしてる?」
「してないかな?興味ないかな」

仕事ばっかりの君
新しいオフィスはとても綺麗で、君がオフィスが移転する時は事業拡大か仕事を新しく始める時

「あの仕事はどうなったの?順調?」
「や、売却した。今は別のことやってるんだ」
「相変わらず早いね笑 今度は何をするの?」
「今こういうのを考えていてー」

私達が会う時は基本的に仕事の話をする

同い年の君
でも全然届かないところにいる君

「三回目の起業だから、いい加減最後まで行きたいな、もうちょっと疲れたし」
「満たされない、何してても満たされない」
「満足できるところまで行ってないからこのままだとずっと満たされない」

「私からしたら充分すごいんだけど、でもわかるよ」

多分寄り添うことはできるし、理解もできる
私自身も何処かいつも俯瞰して見てて、楽しいその瞬間も満たされない
近くの空からもう一人の私が自分を見てて、呆れてるのも知ってる

会う時はいつも夜遅いから眠くて
会いたいと言われてもやだって言ったり
1時間で私は帰るからねって言うんだけど

仕事の話をし出すとやっぱり楽しくて
1時間のつもりが気付いたら3時間とか経ってしまう

「今まではITサービスばかりで形のないものをやってきた、今回は初めての物販だ、物があるってすごいことなんだよ!それでさー」

止まらない、話し出すと止まらない
君の話は学びしかない

「オンラインとオフラインの融合、目に見える事業をやるんだ」

さっきまで私よりも年上に見えてたのに
いつの間にかカブトムシを見つけた少年の笑顔になっている

その笑顔に人はやられてしまうんだろうな
今なら剛力彩芽の気持ちが分かるよ

このまま独り占めしてあれこれ聞きまくってしまいたいんだけど
目の下のくまに気付いて、この体は君に返してあげないといけないと思った

人はみなお金持ちになりたいと思う
お金が多くの選択肢を与えてくれる
経験も豊かにしてくれる

でもお金で買えない楽しみがここにはある
お金に替えられない空間がここにはある


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