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Aoyama Flower Marketのマーケティング分析

皆さん普段お花買いますか? 個人的には野に咲いている花の方が好きなんですが、花があると部屋が明るくなるので最近私も買うようになりました。カフェにしても、緑やお花をうまく使ってるところはやっぱり雰囲気があっていいですよね。

母の誕生日に花束を買ったこともあって、花屋のマーケティングってどうなっているんだろうと思い、(株)パークコーポレーションのAoyama Flower Marketのマーケティング分析をすることにしました。黒澤友貴さんの#マーケティングトレースを参考に、他のフレームワークも合わせて分析します。

Aoyama Flower Marketとは

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(Logo写真: Aoyama Flower Market ウェブサイトより)

「Living With Flowers Every Day」をコンセプトに、海外含め109店舗展開(2019年12月地点)するフラワーショップ。花や緑に囲まれたゆたかなライフスタイルを提案しており、法人、個人向けに販売を行っています。新鮮さを大事にしており、国産の産地からの仕入れが9割を占めています。Aoyama Flower Market含める(株)パークコーポレーションとしての売り上げは2013-2019年まで増加傾向にあります。

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(数字で見るパークコーポレーションより引用)

オンラインショップもありますが、コロナの影響でリテールの売り上げは厳しいと思っていました。が、2020/07/15時点で、売上対前年比約130%。理由としては、コロナでおうち時間が増え、家で花を楽しみたいという需要が増えたからだそう(PRTimes参照)。こういう需要を瞬時に察するブランドは強いでしょうね。

業界分析

では続いて花業界はどうなっているのか見ていきます。農林水産省の調査(2017年)によると、B2CとB2B合わせて1.1兆円の国内市場があることが分かります。

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ちなみに私が住んでいるイギリスはガーデンニング含めた花関係の個人消費は約6兆円です(2019年地点, statistaより)。やはりこちらは花はもっと身近なのでしょうね。

PEST分析

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一人当たり購入額が減少する一方で、コロナの影響もあり、自宅に花やグリーンを取り入れたいというニーズがあるようです。暮らしの中に花を取り入れるという取り組みもされています。

SWOT分析

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続いてAoyama Flower MarketのSWOT分析。駅チカ中心に店舗を構えつつ、オンラインショップも運営しているというチャネルの多さは強みと言えそうです。需要もUpする一方、市場参入者が多くなることも考えられます。実際、生活用品を展開する無印でも、グリーンやお花関係の商品は手に入ります。

ブランドポジショニング分析

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価格帯と、使われるシーン別を軸にポジショニングマップを作成しました。花屋というくくりだと、独立店舗も多く存在するので、3店舗以上構えていることを条件にしています。生活用品を展開する無印は花屋ではないので直接の競合ではなさそうですが、「日常生活にもっと花を」をコンセプトとしているAoyama Flower Marketに取っては脅威になりえるので、マップにも加えました。拙い私のリサーチでは、安い日常シーンのフィールドは競合が多く、レッドオーシャンと言えそうです。逆に、安価で特別シーンむけに提供しているブランドは見当たりませんでした。

4P分析

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続いて4P分析。「Living With Flowers Every Day」のコンセプトのもと、普段使い用の花と、ギフト用のブーケを、店舗、オンラインで販売しています。1番安いライフスタイルブーケが¥495〜、その他のブーケが約¥3000〜、予算に合わせてのオプションもあります。オウンドメディアでの発信では、#1/31の愛妻デー #バレンタインなどイベントごととうまく絡めているなという印象を受けました。また、興味深いのは他社企業とのコラボレーション。GODIVAやサッポロなど業界の異なる企業と共同して、商品開発やパッケージ開発を行っています。(ちなみにニコライバーグマンもクリスマスにゴディバとコラボしていました)。

ターゲットカスタマー分析

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大学生以上の、主に女性がターゲットでしょう。特徴としては、部屋に緑をおく習慣があったり、あるいはそうした精神的に豊かな暮らしがしたいなと思っていることが挙げられそうです。

Aoyama Flower Market 成功要因まとめ

2019年までの会社全体としての売り上げは好調ですが、まとめるとその理由は以下のように考えられます。

グリーンをもっと家庭に取り入れたいという社会的な需要が事業の後押しとなっている

・海外、全国各地の店舗+自社ECサイトで、地域に根ざしつつ、店舗に通えない顧客にもアプローチする体制が整っている

・花のある豊かな生活を提供する、というコンセプトのもと¥500以下の手に取りやすい価格からの商品展開

私がCMOだったら

ターゲット層の日常に合わせて商品を動画やイメージで演出
現状は、女性の顧客が多そうですが、「Living With Flowers Every Day 」に性別の差はありません。何となく花は女性が買うもの、男性が花を買うのは特別な時、という印象がありますが、男性女性関係なく「花を買うことは当たり前だけど、素敵なことなんだ」というメッセージを出せたらさらに良いと思います。
例えば、カップルや家族を主体にして、サブスクリプションで日常的に花を楽しんでいる様子のイメージを流したり、独身女性、男性がライフスタイルブーケで部屋を飾っている様子を流したりなど、Aoyama Flower Marketのこの商品を使うと日常生活がこんなに豊かになりますよ、といったイメージを出していきたいです。

花や緑が持つ効用をPR
また、花や緑が心や体に与える良い影響をAoyama Flower Marketの方からもっと発信しても良いのではないでしょうか。すでに他業種とのコラボでメディア露出もされていますが、地域社会にもっと緑を取り入れようという行政の動きも考慮して、デイケアサービスやメンタルヘルス系の組織とのコラボなど、少し違う形でPRに力を入れていくのも良さそうです。

まとめ

今回はAoyama Flower Marketのマーケティング分析を行いました。フレームワークを使って分析してみて分かったことは、思っていた以上にリサーチが多く、大変だということ。同時に社会の動きを数字でみる良い機会にもなりました。特に「私がCMOだったら」の部分は読んだ本の内容を思い出す機会にもなりましたね。今回は特に池田純さんの『空気の作り方』を思い出しました。

また、この分析をしていて、海外展開のマーケティング分析をしてみるのも面白そうだな、と思いました。Aoyama Flower Marketの海外戦略は日本市場のそれとは違うんじゃないかと。例えばイギリスでは高級デパートのSelfridgesにショップを構えていて、パリでは中心街(ルーブルやオルセー美術館から徒歩圏内)にお店を構えているので、日本の駅チカな立地とは異なります。今後やってみたいと思います。

【参考文献】
・青山フラワーマーケット ホームユースの『観葉植物』『フラワーベース』の売上が対前年比130%で推移!販売好調につき、フラワーベースフェア開催及びスターターキットを限定販売。PR Times 
Aoyama Flower Market ウェブサイト
・ニコライ バーグマン×ゴディバのクリスマス限定ボックス、4粒のトリュフとプリザーブドフラワーのセット Fashion Press



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