茶々門 綾

茶人。金魚と漫画と自販機が好き。あとラーメン。 たまに文章を書きます。

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    通勤時間や入眠前などの空き時間、片手間に読めるショートショートを不定期であげていきます

  • 猫マフラ【短編まとめとそれに関連する記憶、断片】

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猫マフラ【短編まとめとそれに関連する記憶、断片】④

小説を書いている。 そのうちいくらかをnoteに連載している。 そもそも昔書いたものの供養という形で始めた投稿だが、こうやって世間に公開する以上、それにまつわる雑多な諸々も一緒に置いておこうと考え、短編まとめとそれに関連する記憶、断片シリーズを記してきた。 毎回十本ずつちょっとした裏話や書いた時の心境(覚えていれば)などを書いてきたが、早いものでもうパート4になる。 極めて自己満足に近いコーナではあるが、少しだけお付き合いいただけたら幸いだ。 ①とある日の午後悪夢と

    • 窓【短編小説】

      幽霊だったり妖怪だったり、そういう不思議なものに遭遇する人は得てして心身のどちらかに問題を抱えている。或いはどちらにも問題を抱えている。もちろん全ての怪異を枯尾花だと片付けるわけではない。恐ろしいものは、弱った隙というかなんというか、そういうところに付け込んでくるのだ。動物も人間も、お化けも変わらない。勝てる相手とだけ戦う。実に正しい在り方だ。しかしながらそれに行き逢ったとき、私は心身ともにすこぶる健康であったのだ。 細い脇道だった。脇道といっても大通りから一本入っただけで

      • 区切り/意図的な『意図しない執筆』とその帰結

        イントロ無我の創造、という概念が存在する。小説にしろ絵画にしろ音楽にしろ、そこには理論や秩序が存在し、その理論の中で正しい発見と選択を繰り返していくことによって作品が出来上がるという考え方だ。登場人物が嫌な思いをすれば怒るし、涙を流す。ここで大爆笑をするという行動に至ることは(その人物が正気を保っているのであれば)起こり得ないのだ。膨大な数の選択肢の中から、より正しいものを選びとっていく行為が創造なのであって、作者の頭の中で一から十まで作り上げているわけではないというのだ。い

        • 炭酸を飲むとしゃっくりが出る【日記】

          友達と飲んでいる時にふと質問。 「炭酸飲むとしゃっくり出るよね?」 「出ないよ?」と友人。 自分にとっては当たり前のことだったので特に疑問に思うこともなかった。調べてみるとどうやら体質によるものらしい。 サンプルが少ないのでなんとも言えないが、大体1/4くらいか? 私の周りだけ炭酸しゃっくり病の人が多いだけかもしれないけれど。 いくつかネットの記事を読んでみたけれど原因はよく分からず。炭酸で横隔膜が刺激されるとか、血中の二酸化炭素濃度が上がるからだとか、なんとか。

        猫マフラ【短編まとめとそれに関連する記憶、断片】④

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          悪夢【短編小説】

          「ねぇ、そろそろ授業はじまるよ」 肩を叩かれ、私は目を覚ました。 目をこすりながら時計を確認する。 10時27分。 あと3分で三時限目が始まる。 「寝不足なの?」 隣の席の女子が、私に尋ねた。 「ちょっとね、最近眠れてなくて」 夜眠るのが怖い。 頻繁に悪夢に魘されるからだ。 肝心な夢の内容は覚えていないのだが、いつも同じ夢。 夢を見たくない。 しかし私はその術を知らなかった。 眠れば決まって夢を見る。 なるべく寝ないようにする以外に抗う方法はない。 けれどもやは

          悪夢【短編小説】

          実際何番煎じまでいけるの?【日記】

          二番煎じ、という言葉をご存知だろうか。 薬草・茶などで、一度煮出したものを、再び煮出すこと。また、煮出したもの。 そこから転じて、以前にあったものの模倣や繰り返しで、変わり映えのしないもの。(Wikipediaより引用) 既存のアイデアや商材を(ほとんど)そのまま模倣したもの、と言ったような意味合いで使われることが多い。 どちらかというとマイナスよりな印象として使われる事の多い表現だが、一番煎じが最も良いとは限らないだろう。 例えば日本最古のフリマアプリはフリル(現在

          実際何番煎じまでいけるの?【日記】

          猫マフラ【短編まとめとそれに関連する記憶、断片】③

          小説を書いている。 そのうちいくらかをnoteに連載している。 過去作のアーカイブという意味合いが強いのだが、こうやって形にして世間に公開する以上、それにまつわる雑多な諸々も一緒に置いておこうと、そういう趣旨で短編まとめとそれに関連する記憶、断片シリーズを記してきた。 要するに、私の備忘録だ。 興味があるという稀有な方は是非おつきあい願いたい。 ①井の中タイトルと本文を読んで頂ければお分かりだとは思うが、井の中から井の中を観察しているという構図になっている。決して学校

          猫マフラ【短編まとめとそれに関連する記憶、断片】③

          リンゴ【短編小説】

          騒がしいファストフード店内。 私の原稿を読み終えた彼は、突如こう言った。 「なぁ、今日中にそれぞれ一本ショートショートを書き上げないか?」 私は二つ返事で同意をする。 「自分が一番描きたい題材をお互いにあげて、相手の言った題でショートショートを書く。それでどうだろう?」 「いいんじゃないかな」 面白そうな趣向だ。 さて、奇怪な題にして彼を困らせてやろうか。 「決まったか?」 「うん、問題ない」 せーので題を発表する。 私は「クロワッサン」と言った。 特に理由

          リンゴ【短編小説】

          2017年の日記

          2017年に書いていた日記を発掘したので載せます 以下、原文ママ 2017・10・23 私は人一倍記憶力に優れないらしい。 詰め込むだけの暗記科目は得意だが、食べたものや行った場所などの抜け落ちている記憶が多い気がする。 それだけ色々な経験をさせてもらっているという事でもあるのだが、なんだかとても勿体無いので、体験した事、思った事などを書き留めておく習慣をつけたいと思う。 文章にまとめる事で記憶にも定着すると思うし、いつか読み返して、この時こんな事をしたな、こんな事を考

          2017年の日記

          薬物依存症【短編小説】

          少女は棚から小瓶を取り出した。 中には小指の爪ほどの錠剤が入っている。 いわゆる劇薬というヤツだ。 3粒も服用すれば死に至る薬。 瓶の蓋を開け、5粒全部を手のひらに出す。 少女はそれを口に放り込むと、水で無理やり喉に流した。 次第に意識がボゥっとしてくる。 眠い。 息が早く、浅くなってゆく。 ねむい。 少女はよろよろと立ち上がると、洗面所に向かった。 喉の奥に手を突っ込む。 少女を襲った激しい嘔吐感は、せっかく胃に入った薬を、全て洗面所にぶちまけてしまった。意識が

          薬物依存症【短編小説】

          マインドコントロール【短編小説】

          そこは、とある雑誌の編集部だった。 メガネをかけた神経質そうな男は、タバコの匂いに顔をしかめる。 「録音、やめてもらってもいいですかね」 向かいに座っている太った男が、渋々とレコーダーの電源を切った。 「それで、お話というのは?」 男は神妙な面持ちで語り出した。 「脳がハッキングされているんです」 太った男はため息をついた。時たまいるのだ、こういう輩が。 編集部にやってきて、ありもしない妄想を喚き散らして帰る。正直言っていい迷惑だ。適当なところで切り上げて帰ってもらおう。

          マインドコントロール【短編小説】

          不幸の結末【短編小説】

          二人組の男、全身黒い衣装を身にまとい、夏だと言うのに手袋とニット帽を着用している。一目で察しがつくであろう、良からぬ者共。 彼らは今、窓ガラスを破り、その敷居を跨ごうとしていた。 所謂、豪邸。そこはとある宝石商の邸宅であった。 その宝石商はこの街で一番の富豪である。 特に顔が効く訳でも、商売が上手い訳でもない。しかし彼は宝石商であり、富豪であったのだ。何故かはよく分からないけれど、そういう星のもとに生まれたのだろう。 二人の盗人達は、家にあるものを片っ端から袋に放り込んでい

          不幸の結末【短編小説】

          死体を探しに、東京へ行った

          夜、東京に来た。 ふと、死体を探そう、と、そう思い立ったからだ。 東京の事情にはあまり詳しくない。 銀座、六本木、渋谷、新宿、どこにいけば死体を見られるのか。 私は知らなかった。 とりあえず、東京駅に赴く。 東京に死体がある事だけは事実なのだ。 この国の総人口の、およそ三割は東京に住んでいる。 自ずと死体の数も多いだろう。海よりも、山よりも、東京にこそ、死体はある。 死体、ではない。 極めて生を感じない彼らも、生きる人の為のディスプレイとして存在している。 死

          死体を探しに、東京へ行った

          クロワッサン【短編小説】

          チリン、と客の来店を告げるベルが鳴った。 30人も入れば満席になってしまうような、小さな喫茶店。お気に入りの場所だ。 私はカウンターから一番離れた席に座ると、珈琲とクロワッサンを頼む。 それらは5分と待たずに運ばれてきた。 コーヒーカップを引き寄せるとミルクを少し入れ、角砂糖を3粒落とす。 珈琲とミルクが混じり合い、オーロラのように渦巻いた。暫くその景色を眺めた後、クロワッサンを手に取る。 若干大きめの、シンプルなクロワッサン。 芳醇なバターの香りが鼻をくすぐる。 素

          クロワッサン【短編小説】

          ピチピチ20代の帯状疱疹レポート【日記】

          ※この記事には帯状疱疹の症状に関する生々しい記述や写真が含まれます。苦手な方はお控えください。 はじめにこんばんは、茶々門綾です。 皆さんは帯状疱疹という病気をご存知でしょうか? 体内に潜伏している水痘(水ぼうそう)ウイルスが活性化し、激しい痛みを伴う水膨れが発生する病気です。この症状が左右どちらかの半身に帯状に発生するため、帯状疱疹と呼ばれているそうです。 さてこの病気、免疫力の低下によって引き起こるため、50代以降の発生例が半分以上を占めます。しかしそれ以下の年齢で

          ピチピチ20代の帯状疱疹レポート【日記】

          異物【短編小説】

          例えば一人の子供が甲虫を採りに行ったとする。 彼が捕まえてきたクワガタムシの中に、ゴキブリやシデムシが混ざっていた。 勿論彼はそれに気がついていないからそのままカゴに入れて飼育を続けるだろうね。 でもいつかはその事実に気がつく。 自分の虫達の中に、おかしなものがいることに気がつくだろう。 彼がその存在に気がつく事さえなければ、それは罪でなかった。 しかし見つかって仕舞えばそれきりだ。それは排除されるべき対象になる。 きっと、潰されてしまうだろうね。 男は怒りに震えていた。

          異物【短編小説】