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卒業を見届けた帰りに予期せぬ出来事が…!!


あぁ…ついに終わってしまった…。


山下美月卒業コンサート…


僕は彼女のきらきらした姿がとても好きで
乃木坂にハマったのだが


彼女の最後の晴れ舞台を見るチャンスを与えられる事は無かった。


まぁ…チャンスは平等だし仕方ないよね…




で済まされる程、こちとら温い推し方はしていない



客席で見れるわけでは無かったが


なんとかライブスタッフとしてお手伝い出来る事が決まったのだ。



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白いドレスを着た美しく可憐なあの人は
最後に月に帰っていった。


本当に終始感動していたなぁ……


美月さんの乃木坂人生を振り返ってるライブという感じがして、段々とこちら側も卒業の実感が湧いてきてしまって……


もう泣きすぎて頭が痛くなるくらい


ずーっと泣いていたライブだった。



僕は今日という日を一生忘れないだろう


しばらく会場を眺めて余韻に浸る。


・・・・・・・・


ずっとここにいたい気持ちがあるのだが、もうそろそろ帰らないといけないので最寄りの駅に向かうと…



小さな女の子がうずくまって道の端に座り込んでいた



通り過ぎる人達は横目でチラチラと女の子を見ているが
声をかける気配は無い。

厄介事には巻き込まれたくないみたいだ…

はぁ…俺だって見て見ぬフリしたいけどさ?


美月さんだったら絶対見捨てないよなぁ…


そう思うと、自然に足が動き出していた。


○○:ねぇねぇお嬢ちゃん、お母さんお父さんは?

すると女の子は泣きながら答えてくれた


「ぐすっ…ママとはぐれちゃったのぉ……どうしよう…」


○○:そっか、お母さんとはぐれちゃったんだ…
お母さんの電話番号とか分かったりする?


「ううん…わかんない…」


○○:そっか…じゃあ一緒にお母さん待とっか?


「一緒にいてくれるの…?」


○○:1人じゃ危ないし、寂しいでしょ?
お兄さんと一緒に色々食べながら待ってようね!


「うん!ありがとうかっこいいお兄ちゃん!」


この子…この歳にして人の喜ばせ方を分かってやがる…


素晴らしい逸材だな! 乃木坂に入って欲しいくらいだ。


○○:じゃあとりあえずコンビニでご飯買いにいこー!

「おーっ!」


○○:あっ、そうだ!お嬢ちゃんのお名前は?


「私、しおりって言うの!」


○○:おおっ!しおりちゃんか!
君は僕の大好きな人の隣にいそうな名前だ!


しおり:大好きな人?


○○:うん!
お兄さんの好きな人は山下美月さんって言うんだよ〜


しおり:お兄ちゃんも美月ちゃん好きなの?
しおりも美月ちゃんの事大好きなんだー!


○○:そっかそっか!
美月さん推しに悪い人はいないからねー!
しおりちゃんもすごい良い子なんだろうね!


しおり:えへへ…しおり良い子?


○○:うん!すごい良い子!


しおり:やったっ…! しおりこれからも良い子にする!


この子本当可愛いなぁ…

そういえばしおりちゃんからなにかいい匂いするな…

これは…香水の匂い?


なんでこんなちっちゃい子が香水を?と思ったが
大人びた子なのだろうという事で納得することにした。


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2人でご飯もたらふく食べて時間は23時を迎えた。

人通りも段々と少なくなっていく


本当にしおりちゃんのお母さんは来るのかな…?


しおり:ふわぁぁ…しおり眠くなってきちゃった…


○○:そりゃあもう子供はお眠の時間だよね
お兄ちゃんのお膝の上で寝てていいよ?


しおり:んっ…ありがとお兄ちゃん…


僕はしおりちゃんに上着をかけてあげて
頭をゆっくりと撫でる


数分後にはもう可愛い寝息が聞こえてきた。


とりあえず一旦Xで
しおりちゃんの事をポストしてみよう

もしかしたらお母さんが来てくれるかもしれないし…


自分の場所としおりちゃんの情報をネットに上げ
この子起こさないように僕も少し仮眠をとる事にした。



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ん…やべ…結構寝ちゃってたかな…?

時間確認しないと…


ちょっとずつ目が覚めてきてある違和感に気づく


○○:あれ!? しおりちゃんがいない!!?


僕は急いで辺りを見回すと

黒いパーカーを着た人が
しおりちゃんを連れ去ろうとしていた。


僕は急いで体を起こし、その人に飛びかかった


○○:おい!しおりちゃんを返せっ!!


押し倒して手を拘束すると…


「いったいなぁ…何すんのっ!」


と聞き覚えのある声がフードの奥から聞こえてきた


○○:えっ…今の声って…


「女の子にこんな酷いことしないでよー!」


聞き間違いでは無い…今のは僕の推しメンの…


○○:み、美月さん…!?


美月:あれ…私の事を知ってる人?


ゆ、夢じゃないよな…?


あの憧れの推しメンが目の前にいるのだが…!?


○○:そ、卒業コンサートもスタッフとして
手伝わさせていただきました!!


美月:あ、そうだったんですねー!!
私の為に色々働いてくださってありがとうございました!




近距離で見る推しの笑顔にノックアウトされそうになる


美月:じゃあ…私はこれで…

そそくさと立ち去ろうとする美月さんを止める。


○○:ち、ちょっと待ってくださいっ!!
しおりちゃんをどこに連れていくんですか!?


美月:い…いやぁ…お母さんの所に返してこようと…


○○:しおりちゃんのお母さんの事知ってるんですか!?


美月:う…うん!知ってるよ!


○○:じゃあ僕にも最後まで見届けさせてください!
しおりちゃんをお母さんの元まで届けたいですっ!

美月: …分かった。じゃあ着いてきて


○○:はい!ありがとうございます!


もう少し美月さんと一緒にいたいという邪の気持ちもあったが、何よりお母さんに一言言いたかったという気持ちの方が大きかった。


今回は僕が一緒にいたから良かったが
変な人にこんな可愛い子が捕まる可能性もあったわけで…

そんな危険な目に合わせたお母さんには
ガツンと一言いわないと気が済まなかったのだ。


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タクシーに美月さんと一緒に乗り、
着いたのはかなり高級そうなマンション


○○:こ、ここにしおりちゃんのお母さんが?


美月:ううん、違うよ。ここは私の家。


○○:え…えっ!!?  美月さんのお家なんですか!?


美月:そうだよ。まぁあんま綺麗じゃないけど入って?

○○:失礼します…

美月:ちょっと最近忙しくてあんまり掃除できなかったから
汚いけど…まぁ気にしないで?

○○:は…はい…

憧れの人の家にいるというだけで緊張が止まらない

美月:それで…このしおりの事なんだけど…
ここからは他言無用でお願い出来る?




真剣な顔の美月さんを見て、コクンと首を縦に振った。


美月:実はこの子…本物の史緒里なの…


○○:えっと…本物っていうのは…?


美月:さっきまで一緒の舞台に立ってた久保史緒里!
久保がちっちゃくなっちゃったの!!


○○:えぇぇぇっ!!?


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美月さんの話を要約するとこうだ。


まずライブ終わりに皆で最後にお話していると…

久保さんが机の上に置いてあった水を飲んだらしい


そしたら次の瞬間子供になった久保さんの姿が……


子供のように小さくなっていたみたいだ。


なぜか美月さんの事をお母さん認定したみたいで
「ママー!」といって離れなかったみたい

(ちょっとその場面見てみたかったというのは秘密)

皆でどうするか話し合っていたらいつの間にか
久保さんがどこかに行ってしまい……

そして僕が見つけた。

これが一連の流れみたいだ


○○:ど、どうするんですか!!?
久保さんだって沢山お仕事あるだろうし!
子供になったなんて他の人には……


美月:色々考えたんだけど……
もうどうしようも無いから私が育てる!!

○○:美月さんが育てるんですか!!?

美月:だってそれしかないじゃん……
久保をこのまま放置しておく訳にはいかないし…


○○:そ…そうですか…
じゃあ僕は明日学校があるのでこれで失礼します…


大変な事になりそうだったので
美月さんと離れるのは名残惜しいけど
急いでここを離れることに決めた。

そして玄関の方を向いた時


ズボンのふくらはぎ辺りを引っ張られる


後ろをむくと…

眠そうに目を擦りながらちいかわ久保さんが
ズボンを引っ張っていた。


しおり:お兄ちゃん帰っちゃやーや……


寝起きで舌足らずな子供久保さん可愛い…!


じゃなくて!

これ以上僕が関与してもいい事ないし
大人しく帰ってこの事は忘れた方がいい!

久保さんの手を解き、再び歩き始めると


しおり:びぇぇぇーん!!帰っちゃダメなのぉっー!!


と大声で泣き始めてしまった…


美月:あーあ!子供泣かせたー! いけないんだー!!

子供みたいに煽ってくる美月さん

○○:だって…これ以上僕に出来ることないですし
帰るのは当たり前じゃないですか!!

美月:えーっ、私の事好きなんじゃないの〜?

○○:そりゃ…好きですけど…
って僕美月さんが推しメンなんて事言ってないですよね!?

美月:あぁ、えっと…!
久保のポスト見つけた時に一緒にプロフィール見ちゃった! 私アイコンにしてたし気になってさ!

そういえば久保さんと僕の場所ポストしたな…

それで場所がわかったのか…。

○○:推しがこんなに近くにいるなんて思っただけで
今も緊張で死にそうなんです…
早く自宅へ帰ってのんびり卒コンの事思い返したい…

美月:じゃあ卒コンの裏話とか色々話してあげるから…
今日は一緒に久保の面倒見てっ!お願い!!


断ろうと頭では思っているのだが…


○○:ぜひ!

と勝手に口から出てしまっていた。

騙されて面倒事に巻き込まれた気もするが
今日はこの推しと話せるスペイベを楽しもう


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ちっちゃい久保さんと美月さんと出会ってから3日経過した


無事家に帰れたと思いきや……


美月:○○君!砂糖とって!

○○:はい、どーぞ

美月:ふふっ…ありがとっ…!


なんとまだ僕は美月さん宅にいる。

そりゃ何度も帰ろうとしたさ


その度に久保さんが

「行っちゃやぁ……」


と泣いてしまうもんだから帰るに帰れず…


結果3日も美月さんのお家に居座ることになってしまった


料理や掃除を一緒にしていくうちに
段々とこの生活に慣れてしまっている自分が怖い……


・・・・・・・・・・


美月:ほらー久保ー!○○君寝るよー!

しおり:はーい!!


僕は久保さんを抱き抱えベットに向かう。

美月: …なんか私たちって…夫婦みたいだねっ!



この人はこういう事を恥ずかしげもなくいうからずるい…

思ってはいたけど言わないようにしてたのに…



美月:じゃあ寝よっかー! おやすみっ!


○○:おやすみなさい

しおり:おやすみー!!


皆が目を閉じた瞬間……


"わっ…! ここどこっ…!?"


としおりが騒ぎ出した。


美月:えっ…!!?

○○:久保さんが元に戻ってる……!?


そう、なんの前触れもなくしおりが本来の史緒里に戻ったのだ。


史緒里:な、なんで美月が隣に!?
あとこの人誰っ!!?


久保さんが暴れ始めたので急いで事情を説明する。


史緒里:私が子供に…?
全然覚えてないけどとにかく迷惑かけてすみません…


美月:それよりさ!今日久保ラジオの日じゃない?


史緒里:あっ、そうだ!!
後日また謝罪させていただきますので今日失礼します!!

久保さんは急いで荷物を纏めて出ていった。


○○:はは…なんかすごい出来事でしたね……


美月:ほんとだねぇ……


○○:あ、あの…美月さん?

美月:ん?

○○:なんか距離近くないですか…?


美月:せっかく2人っきりになったんだし…
本当の夫婦になっちゃおっか♪


○○:ち、ちょっとどういう意味なのかが…

美月:こういう事だよーっ!

美月さんに僕のお腹の上に馬乗りする


○○:美月さん…こういうのは良くないですって…!


美月:もう卒業したから関係ないよ!!
それじゃ…いただきますっ…!♪



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時は遡り卒コン当日


美月:この薬本当に効果あるのかなぁ……
まぁいいや!とりあえず久保に飲ませちゃお!


美月:○○君ならきっと困ってる子見逃せないだろうし…
変な人に拾われたら私が助けるし大丈夫でしょ!


美月:えいっ!3粒くらい入れちゃお!


美月:小さくなったら久保をこっそり外に解放して…ふふっ…


全ての黒幕は作戦があまりにもずさんすぎる美月の仕業でした。


美月:えへへ…成功したら○○君と暮らせるー!♪


END

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