2024.01./短歌
見出し写真は白子ちゃん日記様(https://note.com/debupinoko/)よりお借りしました。ありがとうございます。
全55首
01.03
みそか越えアルコール抜けぬまま入る風呂は龍神さんが先客で
お題:竜が水面に浮かんでいるイラストを見て
01.03
ドラゴンを掴んで見えた暗闇に火花の中にベテルギウスに
お題:花火の写真
01.06
今もまだトラップ探す通勤路白線の上しか歩けない
お題:初句「今もまだ」
01.06
抽象の中にほんとうを閉じ込めた探してみてよあなたは言った
一輪の薔薇を花瓶に挿すこれはあなたのついた嘘の具体化
未分化のほんとと嘘の囁きはひとかたまりの砂礫に似てて
テーブルの角砂糖より甘かったあなたのついた嘘と虚飾は
ドライアイスのようだったちりちりとあなたの声は崩れ落ちてく
ゆらゆらと室内履きをつま先で揺らすあなたは機嫌が悪い
手のひらに崩れて落ちたこの欠片かつてはあなただった確かに
かけられたままのコートに積もりゆく埃は解けぬふたりの定理
ひと欠片ほどであろうとも嘘のあるあなたを許せぬわたしであって
穢れないあなたは自明の顔をし白いばかりの部屋に住んでる
お題:十首連作「抽象と具体」
01.07
再婚はたぶんしないよこれからはわたしがわたしの主人になるの
お題:再
01.07
どうしてかまた店先で巡り合うこれは運命ですか?ペコちゃん
お題:再
01.07
草叢の土管の腹に耳を当てドラえもんの胎動を聞く
お題:なし
01.08
月の裏まで跳べるほど超絶の小籠包を食べてみたいよ
お題:夢
01.08
バースデーケーキよりもさ愛してる1年分で祝福してよ
お題:大人(おとな)
01.09
変わりゆく指導要綱らと共に記念時計の影萌ゆる春
お題:連想短歌「学校」、NGワード「学校」
01.10
ビル群も新陳代謝されてゆくカリスマという人らのごとく
お題:カリスマ
01.10
スパイスの香り回廊LDKガンジス河は遠くなっても
お題:食べ物の名前を使わずに食べ物の短歌を詠む
01.11
負けを抱き生きているのか抱かれてか判らぬままに初春は過ぎ
お題:新年
01.12
もののふの面で男らは始発の快速に乗りまた戦場へ
お題:なし
01.12
土鍋から立ち上る湯気それだけで世界を捧げたくなる睦月
お題:湯
01.13
マラソンの後に現文4時間目時計は徐々にバームクーヘン
お題:時計
01.13
山脈のようだな君の背の骨その脊椎の中に埋もれて
お題:背中
01.14
平成あたりの恋の歌のエモに納まる程の好きを持ち寄り
お題:恋愛短歌
01.15
卓上の牡丹の尖る切り口が刺さってるのだいつかの罵声に
お題:刺さる
01.16
ノンアルのビールで酔えるもしや君は魔法を使える人なのか
お題:魔法
01.16
エモとして背丈ほどあるキャンパスに白とブルーのペンキを流す
エモいってすぐに略してイージーな君はなんだか夕焼けのよう
メロンソーダは黄色四号青色一号、少しばかりのエモでできてる
クリームは溶けて落ちてく定型に弾き出されるエモと同じだ
普遍性に分解される日常をエモで胡麻化し手帳に書いた
毒でしかない煙吐いてる君は死後の世界から来たようなエモ
炭酸の泡は弾けてまた一つ終わり近づきエモに刺される
ペンを挿す君の仕草が美しいことをエモと言うのだとおもう
星のない空でも月は綺麗です嫌いになりたいエモーショナル
君が脱いだばかりのコート身にまといエモは指の隙間に落ちた
お題:十首連作「エモ・エモ・エモ」
01.17
そんなつもりないけれどいつもサークル壊してるあの子になりたい
お題:クラブ活動・サークル活動
01.17
臍下に蛇のタトゥーがあることをクラスメイトは誰も知らない
お題:詠み込み「誰も知らない」
01.19
教科書にたまごの五段活用を強いられている五限の国語
お題:詠み込み「おでんの具」
01.19
あたたかいのと冷たいの早く決めろと圧られるうどんカウンター
お題:初句「あたたかい」
01.21
冷え切った庭の小石もだんだんと花開いてく杉花粉の日
お題:初句「冷えきった」
01.21
午前二時牛乳プリンに溺れる夢を見ている寝袋の中
お題:詠み込み「午前二時」
01.23
しらんけど。って言葉が靴を片方失くしたような顔で浮いてる
お題:詠み込み「しらんけど」
01.24
伸びかけの青白い豆苗の芽の「もういやだ」とどもる断末魔
お題:詠み込み「もういやだ」
01.25
ごりごりと削られてゆく鉛筆は指でテストで刃先で回る
お題:回
01.26
水溜り浮かぶ街頭ほどけても泡になるにはまだ遠すぎて
お題:泡
01.27
ごめんねもう二度としません割り箸を割ってから君に渡すことを
お題:詠み込み「もう二度と」
01.27
透明の意味の証明ベーリング海わたる獅子座流星群
お題:透明
01.28
おにぎりを野菜ジュースで流し込むデスクとチェアに張り付く修羅場
お題:連想短歌「昼食」、NGワード「昼食」
01.29
白湯沸かすふつふつと泣く片手鍋おまえは月明かりのようだね
お題:オノマトペを詠み込み
01.30
階段の足音でだいたい判るさんじゅうにん中にじゅうし判る
お題:階段
01.31
信号も全部青だったし幸せはこわいテッテレーください
お題:詠み込み「テッテレー」
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