見出し画像

脳動静脈奇形②

初めての意識障害

ある日、学校の給食中にいつもと同じように右手が痺れ出しました。けいれん発作が出ると箸を持つことが出来なくなるので、私は箸を置いて左手で牛乳を飲んでいました。
「いつもと一緒で、数分でおさまるだろう。」
そんなことを考えていました。
でもこの時はいつもと違いました。いくら待っても痺れが治まる様子がない。いつもよりもけいれん発作も強いような気がする。
「なんだろう?」
そう思った瞬間、手指だけでなく、右腕全体が拍動するような感覚に襲われました。腕の筋肉にマッサージ器で電流を流されているような、変な感覚。下に降ろしていた腕が、自分の意志に反して肘が曲がり上に上がってきました。
「いつもと違う!!何かおかしい!!」
これはやばい、そう思うのと同時に、私は椅子から転がり落ちました。

気が付いたら天井を見上げていました。保健室の天井でした。
状況を察知するのにしばらく時間がかかりました。椅子から転がり落ちたことはなんとか覚えていました。隣の友達の怯えた顔も。
「あぁ、私、教室で倒れたんだ。それで保健室に運ばれたんだ。」
しばらくぼーっとしていると、仕切りのカーテンが開き、担任の先生が顔を出しました。
「・・・気が付いた!?良かった!!」
給食中に泡を吹いて倒れたこと、(これは牛乳を飲んでいたから)
意識が無かったので男の先生が担架で保健室まで運んでくれたこと、
母親に連絡して、今学校に向かっていること。
そんなことを涙目で早口で話してくる担任の先生の顔を見ながら、
「泡吹いて意識なくなったら、まず動かさずに救急車じゃない・・・?」と冷静に考えていました。きっと先生方も動揺していたんだろう。

母と共に病院に

学校に着いた母も、私の意識が戻っていることに安堵していました。
でも大事を取って、そのまま近くの総合病院に向かいました。
状況を見ていた担任の先生も付いてきてくれて、お医者さんに説明してくださり、学校に戻っていきました。
そのまま病院で色々な検査をしました。血液検査や脳波など、全てに異常はありませんでした。
お医者さんから「おそらく、てんかんだと思います。」と診断を受けました。それに加えて、「万が一、という事もあるので、念のため脳外科でCTも撮っておきましょう。CTは予約制で今日は空きがないので、また来週に予約をいれておきますね。」と。
その日はてんかんの内服薬を数種類処方されて帰ってきました。

母は、大きな病気では無さそうだと安心し、ただ、親族にてんかんを患っている人がいたので、「綾にもてんかんが出たのね・・・。」とショックを受けていました。
私も、今までずっと感じてきた痺れに「てんかん」という原因があったこと、薬が処方されたことで、もう今日みたいな事はおきないんだという安堵が大きかったです。

このあと、お医者さんの言っていた「万が一」が現実になるとは思っていませんでした。(続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?