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フランスから、食関連ニュース 2020.01.28

フランスにおける旬でコアな食関連のニュースを、週刊でお届けします。

1. 今週の一言

日本のメディアでもすでに火曜日の早朝から、パリに9年前から「レストラン・ケイ」を構える小林圭シェフが、2020年のミシュランガイド仏版で3つ星を獲得したことが大きく取り上げられていたようです。それはフランスのメディアにおいても同じことで、日本人初の3つ星シェフの登場は、大きな話題となっており、注目を集めています。ずっと彼を追ってきた私としても誇らしい。ミシュランとしても、日本におけるフランス料理業界としても、大きな事業を成し遂げた人物として歴史に名を残すことでしょう。この発表会に立ち会えなかった、日本の料理界を牽引してきた先人たちが、圭シェフの偉業を知って、喜びを湛えている顔も思い浮かばずにはいられません。特に競争の激しいパリで3つ星を持つ面々を並べれば、それは相当なものです。

グランメゾン東京のロケ地ともなった、ベルナール・パコーさんが30年以上3つ星を守る「ランブロワジー」、野菜の魔術師アラン・パッサールの「アルページュ」、ラ・リストで常に首位を守る「ギー・サヴォワ」、フランス料理界の王様アラン・デュカスの「アランデュカス・オ・プラザ・アテネ」、ルドワイヤンのシェフとして3つ星を12年守り、「フォーシーズンズ・ホテル ジョルジュ・サンク」に1年以内に3つ星をもたらしたという、クリスチャン・ル・スケールの「ル・サンク」、エリック・フレションが率いるブリストル・ホテル内の「エピキュール」、世界的なビックシェフ、ヤニック・アレノの「パヴィヨン・ルドワイヤン」、そして「ピエール・ガニエール」に、故ジョエル・ロブションの弟子フレデリック・アントンの「ル・プレ・カトラン」。その中に、小林圭の名が刻まれるということは、個人店のオーナーシェフとして漕ぎ着けた、奇跡にも近い快挙でもあるのです。生半可では得られない、本物の3つ星。どんな誘惑にも負けず、自分とスタッフの価値を安売りせず、しっかりと守り導いてきた彼の精神力に、心からブラボーと言いたい。彼の初めての師となったジル・グジョン氏が、まだ3つ星を得ていない頃にキッチンに入り、グジョン氏が必ず自分の店に3つ星をもたらすことを豪語して、それを実現したという姿を今も心に刻んでいるといった圭シェフ。彼も同じように、それを成し遂げました。ミシュランガイドのあり方は、広告も入りましたし、昔とは大きく変わりましたが、世界的な美食の都であるパリの3つ星に関しては、人々の思いや夢を裏切らない場所であって欲しいと信じています。そして圭シェフと3つ星を成し遂げたスタッフたちの涙も、多くの人々に感動をもたらす未来となって欲しい。高級レストランで働いてきたが、初めて客室責任者として3つ星を得ることになったという僥倖を、「明日からが怖い」と告白しながら、体いっぱいに表現していたルイ・マリ・ロベールの初々しさ、あるいは圭シェフを支えてきた、その場に立ち会っていたシェフ・パティシエの高塚さん、スーシェフの稲沢さんをはじめ、何かがここから始まったような気がしてなりませんでした。

2. 今週のトピックス【A】培養肉に続き、植物性発酵ヨーグルトを開発したイスラエルの精鋭。【B】自由に食べ物を受け取れる冷蔵庫の設置のための寄付金集金を、写真競売で実現。【C】リヨン市の歴史的建造物「Tour Rose /バラ色の塔」内にフードコートが登場。【D】マルク・ヴェイラ氏、ドパルデュー氏からレストラン「ラ・フォンテーヌ・ガイヨン」を引き継ぐ。3.日本@フランス【A】ミシュランガイド仏版、日本人初の3つ星が登場。

2. 今週のトピックス

【A】培養肉に続き、植物性発酵ヨーグルトを開発したイスラエルの精鋭。

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