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マルタンマルジェラな時代


背中に四つのステッチが入った服

仲間はそれを
リスペクトをもって
着ていた


2000年前後

わたしは学生で
文化服装学院というところに
通っていた。

ファッションでは
一番有名な専門学校。

その中でも花形、
数多くの国際的デザイナーを
排出している

「アパレルデザイン科」を専攻していた。


ファッションが大好きな少女は
その学校に入り

個性的すぎるメンバーに
囲まれて

毎日を刺激的に
過ごしていた。

1年生のとき

後ろの席の
おしゃれだけど神経質で
シニカルなメンズの友人は

いつもマルジェラを
着こなしていた

学校で、マルジェラを
着こなすひとは複数いたが

かっこいいのはもれなく
中性的な男の子。

あ、先生にも
がっつりマルジェラしか着ない
人がいて

「マルジェラ先生」って
呼ばれてたっけ。


ごつごつした人には
なんか似合わない

そんな

雰囲気がある服

それが
メゾン マルタンマルジェラの服
だった。

わたしはその時
そこまでお金のある学生では
なかったし

そもそも
服への考え方や
取り入れ方のベクトルは
違ったのだけれど

そういう
いわゆるデザイナーに
リスペクトのある

服の選び方をしている
学友のことを

とてもかっこいいと思っていた。

みんな、お金持ちの子というのは
間違いない

だから憧れも
ジェラスもあったんだろうね。

その頃は
アントワープ6と呼ばれる

ベルギーのアントワープ出身のデザイナー
が大注目されているころ。

ファッションギークたちは

彼らのクリエイションに
鼻息荒く、興奮しつつ

リスペクトしまくっていた。


時は流れ、

マルタンマルジェラは自ブランドを去り
現在は

ジョンガリアーノが
メゾンマルジェラをメジャーに押し上げ
日本で一大ブームを巻き起こしている。

2024年。

アントワープ6の、
最後の大物であり

本物のアーティスト
ドリスヴァンノッテンが

自ブランドを去ると言うニュースが
流れた。

時代は変わっていく。

でも、本物の服を作る
デザイナーというのは

人の心に、
大きく残っていく。


あの時代を
経験できて良かった。

後ろの席で
いつもわたしの服のタグをめくって

ブランドをチェックしていた
マルジェラ男子、栗ちゃん


その後衣装デザイナーで
ブイブイ言わせてたな


元気かな。

過去はあんまり
振り返らないほうだけど

いい思い出は、
たまに振り返ることもある


さてと

来週は
ドリスヴァンノッテンの表参道にでも行って

アントワープ感じてこようかしら。


服っていいよね。





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