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「独立」って言っても、「独りじゃ立てない」

「独立」して、ちょうど3ヶ月。
組織にいた頃とは時空が歪んだかと思うほど、時間の感覚が変わってきた。あっという間だったような、すごく長かったような、不思議な気分。
会社の設立は誰にでもできる。でもそれだけじゃ、スタートラインにさえ、立てない。今まで全然知らなかったことが次々と押し寄せる。私はまるで、目の前に広がる海の広さに驚いて立ちすくむ子供のように、戸惑った。
独立を考えている人たちの参考になるかどうかわからないけど、まったくの素人でビジネス初心者の私が体験したこととは…

独立して最初に必要なアイテムは?

ズバリ、ハンコです。
実印、銀行印、角印、ゴム印、できれば割印も。

私は幸いなことに、会社の登記をしてくれた古いお付き合いの司法書士さんがお祝いにと、実印と銀行印と角印の3本セットをプレゼントしてくれた。嬉しすぎる!!ありがとうございます!

自分で作ったのは、割印とゴム印。
細長いのが割印で、契約書を何部か作成した時、ずらして重ねて押す。
会社の名前や住所や自分の肩書きが一度に押せるのがゴム印。封筒の差出人のところに押したりする。
増えるハンコ。なんだかとっても嬉しいぞ。
嬉々として、ハンコボックスと朱肉、朱肉の補充インクに、ハンコパッド、さらに「請求書在中」と「領収書在中」のハンコも購入。ボックスをどう区切ろうかな〜なんて考えて遊んで、楽しくて。でも、経理の電子化が進めばこうしたハンコたちが要らなくなるようになるのかしら。
あぁ、愛しのハンコたち。

愛しいハンコたち

少なくとも今の日本は、まだまだハンコ社会。この子たちがいてくれて助かることが、山のように出てきた。

ハンコの次は?

私の場合は、「履歴事項全部証明」と「印鑑証明」
リレキジコウゼンブ・・・って何?というほどのド素人でした。ワタクシ。
履歴事項全部証明は税務署への届けや銀行の法人口座開設などに必須。
要は会社の戸籍謄本みたいなものと今は理解しています。
会社の実印も印鑑登録して、印鑑証明も数部持っておくと口座開設手続きなどで求められた時にすぐに提出できるので、いいと思います。
税務署で発行してもらうのですが、お金かかります。収入印紙でお支払い。
印紙が手元にない?ーでも、大丈夫!
印紙がなくても〜、税務署で大丈夫!
税務署の印紙窓口でお金を払って印紙を買い、隣の窓口で購入した印紙と発行してもらった書類を引き換え。へ〜、こういう仕組みなんだ…
ちょっと不思議な初体験。

行政書士さん、とっても大切

私の事業はコンテンツ事業なので、著作権に詳しい行政書士さんが必須だと考えていました。そして事業を行うにあたって、NDAや個人情報、暴排を保障する文書に加え、適切な契約が欠かせません。
特に、コンテンツ産業で働くクリエーターたちを大切にした契約を結びたいという思いがあります。ディレクター、カメラマン、編集マン、ナレーターにデザイナー…それぞれが高いスキルを持ちながら、巨大な組織をトップとしたピラミッド構造の中で、フリーランスの場合特に、正当なギャラや地位が保障されているとは言い難い現状を知っているからです。

必要なのは、権利に精通した行政書士さんでした。

そこで、ご協力をお願いしたのが、放送業界で著作権や契約の仕事をしていて今年の春、独立された行政書士さんでした。

組織を辞めた直後の私は、走っていないと不安で、とにかく現場を動かし始めました。取材して撮影して編集しなくちゃ、と。
がむしゃらに走る私を支えてくれたのが、行政書士さんです。次から次へと必要になる契約関係の書類を的確に素早く作成してくれました。

そして、愛しのハンコたちが大活躍
捺印する度に、嬉しくなる。

行政書士さんのおかげで、立ち上がったばかりの会社でも、ちゃんとした契約を結べる会社として第一歩を踏み出せました。

そして、素敵な税理士さん!

会社が取引を始めるためには、愛しいハンコと税務署で発行してもらった文書を携えて、法人口座を開設しなくちゃいけない。

キーパーソンは、税理士さんでした。

私は退職前から、行政がやっている創業支援の窓口などをいくつか訪ねましたが、どうやったら信頼できる税理士さんに出会うことができるのか途方にくれていました。最後にたどり着いたのが「創業手帳」という会社が行っている無料の相談サービスでした。

WEB面談をしてくれた創業支援アドバイザーの女性が素晴らしかった。実に的確に、いま私がすべきことを指摘してくれて、具体的な対策をご提案いただきました。そして、ITにも銀行にも詳しい税理士さんをご紹介いただきました。

ご紹介頂いた税理士さんとお会いしてすぐピンときました。
この方にお願いしたい!!!
それが、税理士の野口仁さんでした。

30年近くメディアで働いてきた人間の勘で…などというと、「おいおい、ベテラン刑事のセリフかよ?」と思うでしょう。でも結構、私はこうしたフィーリングを大切にしています。

野口さんにはまず、銀行の法人口座開設を手取り足取りご指導いただきました。WEBで行う口座開設の申請も一緒に進めてくれました。WEB申請はなかなかに複雑で、とても独りではできなかったと思います。

どの銀行にする?メガバンク?ネット銀行?など、決断すべきことがいくつかありますが、それぞれのメリットとデメリットも的確にご教示いただき、無事にミッションコンプリート!

ちなみに、履歴全部事項証明や印鑑証明のほか、運転免許証とかマイナンバーカードのコピー、交わした契約書のコピーなどもデータで持っていると、申請がスムーズになります。いろんな書類がアップロードや現物提出を求められるので、事務能力が試されている気分になります。

そして次は、4時間もかけて事業計画書を一緒に作成。やっと私は数年先の具体的な目標や計画が見えてきました。申請できる補助金の情報、資金調達のノウハウも丁寧にご指導頂き、だんだん気持ちが落ち着いてきました。

「これでようやく会社としてのスタートラインに立てましたね。おめでとうございます!」
そう言ってくれた野口さんの笑顔、絶対、忘れません!

Photo by Nattanan Kanchanaprat

独立は、独りじゃ立てない

法人設立の手続きだけはなくハンコまでプレゼントしてくれた司法書士さん、契約業務の一切をお任せできる行政書士さん、的確な指摘をくれたアドバイザーの方、そして会社をやっていく時に一緒に歩いて背中を押してくれる税理士さん。彼ら彼女らの支えがなくては、「独立」したって、独りで立つことなんてできません。

私の会社は、もうすぐ生後3ヶ月。
赤ちゃんなら、まだハイハイもできないですよね。

大きな怪我などしないよう、
焦らず一歩一歩、
いい子に育てていきたいものです。

Photo by Andreas Wohlfahrt

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