荊の道行き

「人は、愛に生きるのです。人が神を愛するとき、神の愛は永遠の人のものとなります」

 きらびやかな壇上で、男は朗々とまるで詩でも読み上げるかのように語った。

 男の足元には人々が跪き、男の口から語られる教えを涙さえ浮かべて聞いている。

 その様を、簡素な修道衣に身を包んだ少年が、どこか冷めた視線で見つめていた。

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