払えないのか、払いたくないのかの差からの相棒の価値

数日前、相棒のこんなツイートを見かけた。

すけぶ。値下げた途端リクエストが来だしたのでその価格帯で描いてくれる人探してたのかな……というよりも、自分の価値がその価格帯なんだろうなとふと思ってしまった

商業でも何度かあった価格帯だったし別に気にしてはいない。むしろそんな値段でも払わない人は払わなかったし。なんで支払いそのものが確実なすけぶのみ今受け付けてるって感じなんよな
(引用:@drinch)

正直、悲しかったし悔しかった。
守りたいと思っているものを守れない無力さとか、君は唯一無二なんだと証明できない弱さとか、今の自分の状況とか。

これは何もひものに限った話じゃない。
乙SUN俱楽部としても実情はそうで、セールになると売り上げがそれなりに跳ね上がる。
生活のためにセールに参加しているのだけど、本当は値段を下げたりなんかしたくない。
自分達の価値を自ら下げる行為もいやだし、何より定価で買ってくださった方に申し訳ない。
よそ様にしても苦渋の決断でセールに参加してる方は多いのでは、と推察する。

値下げすることによって購入する心理には大まかに二通りあって「本当は定価で買いたいけど懐具合が許さないからセールで買う」と「セールなら買ってもいいかな(定価を払う価値がない)」という心理。
かくいう私もsteamのセールにはお世話になっているので人のことはさっぱり言えないのだが、それでも作り手としては複雑である。
steamなどは「どうせセールがあるのだからその時買おう」と底値を狙う層も少なくはないので、本数が売れても開発費が回収できないなんて問題もあるんだがユーザーには関係がない話なのだろうな。なんせ、「その値段で売ってるから買う」だけのことなのだから。
95%OFFなんて、名刺を配ってるようなもんだ。定価は、かけた時間、手間をコストと考えてそこに外注費を入れて計算する。だから「インディーズなのにどうしてこんなに高いの?」と思われるかもしれないが、それにはそれなりの事情があると理解していただけるとありがたい。

skebの話に戻るが、ひものの絵は3000円なんかじゃない。
商業でお願いしたころだってたくさん払えたわけじゃなかったけど、それにしたってそんな価値じゃない。
ふとした表情、体のライン、動きさえわかる服の皺。
世の中にひものよりうまい人はたくさんいるかもしれないが、私が好きな唯一無二の絵はひものなのだ。
人物だけじゃない。
うちのゲームをやった方は是非背景にも注目してほしい。観察と研鑽の結晶。小道具にまでこだわったそれらは素材集なんかでは決して出せない代物なんだ。
かば牧に出てくる珍妙でかわいらしい生き物たち。そのセンスは唯一無二だ。言い切るけど、唯一無二だ。

私の相棒はそんなに安い女じゃない。
唯一無二の世界を生み出すことができる絵描きなんだ。

読んでいただくだけでも十分嬉しいですが、サポートいただくとおいしいものを食べたりして幸せになれます。私が。