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気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案✨国民は、優れた予報・情報を自由に選択したいです! R5.4.4

感謝してます!かわさき減税会🎵です!今回の記事には、【筆者のつぶやき】を所々に挟んでみました。一般国民の素直な気持ち、疑問なので、そこだけでも分かり易いかと思います!

目次

はじめに(背景・調査の主眼・ブログ構成)
本改正案の理由
気象業務法(昭和二十七年法律第百六十五号)について
水防法(昭和二十四年法律第九十三号) について
新旧対照表から 
 
気象業務法の改正について
 水防法の改正について
おわりに 筆者のつぶやきからの感想と意見
 
もし自分が議員なら 採択/不採択


          ★★★

はじめに(背景・調査の主眼・ブログ構成)

  人類は、常に過去に例のない自然災害を経験する可能性があります。今の時代も、大地震、局所的豪雨による水害、土石流、火山の噴火、など近年でも思い出せる災害は枚挙にいとまがありません。世間ではこれらを「異常気象」「二酸化炭素」を原因とする言説が主流です。
 一方、科学技術の進化は予報、予測の世界でも同様です。予報については、現在では様々な気象予報サイトが存在しています。本法律は、そのような状況に合わせた改正案だ、とのことです。
 この改正案は、気象業務法水防法一括して、部分的改正する案です。本当の意味で、国民にとって歓迎すべき改正なのかどうか、問題意識をもちながら、この法案を調査していきます。
 まず、今回の改正の理由を示します。次に、気象業務法と水防法について、その目的および概要と、新設される条文を一部紹介します。続いて、残り新設条文を、新旧対照表に基づきみていきます。最後に、この法律案についての私見を記します。

本改正案の理由

自然災害の頻発等により、洪水等の予報の重要性が増大していることに鑑み、気象業務に関する技術の進展に対応した洪水等の予報の高度化を図るため、予報業務の許可の基準の見直し等を行うほか、噴火等の一 定の現象の予報の業務については、利用者への説明を義務付け、当該説明を受けた者にのみ利用させることを目的とした業務に限り許可を行うこととするとともに、都道府県知事が行う洪水予報に資する国土交通大臣による河川の水位又は流量に関する情報の提供等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出 する理由である。

【案文・理由】気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案p14(太字は筆者編集によるもの)

 ざっと読んだだけでも規制が強まった感じがしませんか? 何がどう変わるのか、後述しますが、ここで法律案文面には書かれていない言葉が概要の中にあったので、それを示しておきます。(※)の部分をみてください。

【概要】気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案

この法律案改正のきっかけのひとつが、予想技術の進展にあるのですが、その進展とは、民間のコンピューターシミュレーションによる予測技術、であることが分かります。繰り返しますが、法律案自体にはこのような記述はありません。
 では、予測技術の進展により、どのような改正がなされたのでしょうか。まず、対象になっている二つの法律、気象業務法と水防法について概要と、一部改正される部分について調べたことを書いていきます。

気象業務法(昭和二十七年法律第百六十五号)について


「気象業務」とは何か。
気象業務法第一章を参照し、意訳すると、
地球の大気、地震火山、海洋、磁場や雷などの現象について、観測、調査研究すること、またその情報を発表すること。となります。ほかにも、気象長官の任務について規定があります。
 第二章観測にも、技術や方法、調査機関に規定があります。これを読んでいると、国土交通省と気象庁長官が全責任を負っている(と同時に権限を握っている)、と感じます。観測の技術は国土交通省が定める基準に従い、気象庁長官に報告することが大前提。ただし、研究と教育の目的だったり、省令による場合などは例外とされています(第六条)。
 船や飛行機も気象状況を報告する義務があります(第七条、第八条)。
 今回の法改正で新設されたひとつは、第九条(観測に使用する気象測器※)の2です。※気象測器の定義は第二条8を参照。

第十七条第一項の許可を受けた者は、気象庁が行つた観測又は前項の検定に合格した気象測器を用いた観測(以下この項におい て「本観測」という。)の成果に基づいて同条第一項の予報業務 を行うに当たり、本観測の成果を補完するために行う観測(以下 この項において「補完観測」という。)に用いる気象測器につい ては、前項の検定に合格していないものであつても、国土交通省 令で定めるところにより、本観測の正確な実施に支障を及ぼすお それがなく、かつ、補完観測が当該予報業務の適確な遂行に資す るものであることについての気象庁長官の確認を受けたときは、 同項の規定にかかわらず、当該補完観測に使用することができる 。

新旧対照表p3より 第九条の2

第九条では、気象測器について気象庁長官の登録を受けたものが行う検定に合格していないと使用できない(一部例外あり)とあります。測定方法の統一性を確保するため、という理由です。
 今回の法改正では、2 として以下のことを付与したいようです。新旧対照表から、意訳して述べます。
 ”気象庁長官が許可した、予報業務を行う気象庁以外の者(第17条より)が、本観測(検定に合格した気象機器を用いた観測)の成果を補完するための観測(補完観測)に用いるなら、検定に合格していない測器でも使える。(ただし、本観測に支障を及ぼさないで、補完観測が適切にできることを気象庁長官が認めたときに限る。)”
 概要のポンチ絵ではこの部分になります。

概要「気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案」

【筆者のつぶやき】少なくとも規制が緩和された、と解釈できる内容なので、否定はしない。けれども、そもそもこの「検定」がどのようなものかがわからないので、この検定に 合格した/合格していない のレベル差がどれくらいのものなのかが判断できない。大した差が無いのであれば、このような検定自体が不要。検定=規制、と考えられなくもない。いやむしろ、合格していない測器のほうがレベルが高いことだってあるかもしれない。民間の優れた技術で観測した結果は研究は許されるが、予報に用いることは許されない、というのでしょうか。

水防法(昭和二十四年法律第九十三号) について

「水防法」とは何か。水防法全体に目を通し、意訳すると、
”水の災害(洪水、雨水出水、津波、高潮)を警戒、防御したり、被害を軽減することを目的とする。防御の計画や、防御する団体・組織などを規定し、都道府県や各自治体に通知、設備設置、訓練、避難場所、防災計画などについても様々な規定がなされている。”

といった法律です。
今回、新旧対照表P3をみると、気象業務法の新設された中に「水防法」がでてきます。

第14条の2  気象庁は、水防法第十一条の二 第二項の規定により影響を受けた情報を活用するに当たって、特に専門的な知識を必要とする場合には、水防に関する事務を行う国土交通大臣の技術的助言を求めなけれならない。

新旧対称表p3より              

 この文章からは、「国土交通大臣の技術的な助言を求める」規制が新たに加えられています。

【筆者のつぶやき】「特に専門的な知識」とは、かなり専門的な調査分析による知識と考えます。この文面通りなら、国土交通大臣自身は専門家ではないはずであり、省内に関りのある学者、研究者の助言ということだと考えます。たとえ民間にもっと優秀な研究者がいても、国交省に認められなければ水防法には適用されない、ということなのでしょうか。

新旧対照表から

以下、上記でとりあげた以外の「新設される」法律を順次、適宜、筆者でも分かる日本語に要約してお伝えします。

気象業務法の改正について


第17条の3 

噴火、火山ガスの放出、土砂崩れ、津波、高潮又は洪水の予報(新設) の業務(以下「特定予報業務」という。)をその範囲に含む予報 業務の許可については、当該特定予報業務に係る予報業務の目的 は、第十九条の三の規定による説明を受けた者にのみ利用させる ものに限られるものとする。 

新旧対称表p4より

要約すると ”火山現象に関係する陸水海の現象を予報業務に追加し※、それができるのは、気象予報士だけとする。”
ということになります。   
※これを特定予報業務という。

【筆者のつぶやき】いままでは火山現象の予報が法律上できなかったのか!という驚き。そして、今まで火山現象に関して予報はしていなかったでしょうか?!噴火の危険レベルなどが発信されていた記憶はありますが、そういえば「予報」まではしていなかったかもしれません。

第18条の三 (第18条の一と二は、この三の特定予報業務、の意味に含まれるので省略されている)

特定予報業務を行おうとする場合にあつては、第十九条の三(新設) の規定による説明を適確に行うことができる施設及び要員を有 するものであること並びに当該説明を受けた者以外の者に予報 事項が伝達されることを防止するために必要な措置が講じられ ていること。

新旧対称表p4より

要約すると、 ”特定予報業務をちゃんとした設備がある場所で気象予報士が行うこと。それ以外の場合では予報はできないようにする” ということになります。

第18条の六のイとロ 

六気象関連現象予報業務を行おうとする場合にあつては、次の(新設) イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれイ又はロに定め る基準に適合するものであること。
イ 当該気象関連現象予報業務のための気象の予想を行わない場合 当該気象関連現象予報業務に係る土砂崩れ、高潮、波 浪又は洪水の予想の方法がそれぞれ国土交通省令で定める技 術上の基準に適合するものであること。
ロ 当該気象関連現象予報業務のための気象の予想を行う場合 当該気象関連現象予報業務のための気象の予想を行う事業所につき第十九条の二前段の要件を備えることとなつていること及び当該気象関連現象予報業務に係る土砂崩れ、高潮、 波浪又は洪水の予想の方法がそれぞれイの技術上の基準に適 合するものであること。 

新旧対称表p5より(太字は筆者による)

要約 
 ”気象予報のために気象予想しない場合は、気象予想の方法が省令で定める基準をクリアしていること”
 ”気象予報のために気象予想する場合は、気象予報士が居て(第十九条の二前段の要件、気象予想の方法が省令で定める基準をクリアしていること”

イとロの比較により、
イの場合は、かならずしも気象予報士が居なくてよい、ということです。

ポンチ絵で表現された概要の、この部分が新設された部分の説明にあたります。

【概要】気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案

【筆者つぶやき】あらたに範囲が広がったり、緩和されたりしている規定があると同時に、新たな規制がかけられている。気象予報士、という資格がないと、気象の予報ができない状況。国が予報の基準を定めるのは、緊急事態に国民の混乱をさけるため、という理由が妥当か否かは、「予報の基準」が分からないのでなんともいえない。民間の優れた観測技術や予報情報を国民が自由に選べばよいのではないか。優れた情報は国民に支持され、競争原理によって精度が磨かれるのではないか。情報に規制をかけず、自由にさせたほうが良い結果になると考えます。

水防法の改正について

第11条の二 について解説する前に
前条である、第十条第一項を示します。

第十条 気象庁長官は、気象等の状況により洪水、津波又は高潮のおそれがあると認められるときは、その状況を国土交通大臣及び関係都道府県知事に通知するとともに、必要に応じ放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(以下「報道機関」という。)の協力を求めて、これを一般に周知させなければならない

水防法 第三章第十条第一項                

つまり、気象庁長官→国土交通大臣→都道府県知事 という通知の順序が規定されているのです。

次に、第十条第二項を示します。

 国土交通大臣は、二以上の都府県の区域にわたる河川その他の流域面積が大きい河川で洪水により国民経済上重大な損害を生ずるおそれがあるものとして指定した河川について、気象庁長官と共同して、洪水のおそれがあると認められるときは水位又は流量を、はん濫した後においては水位若しくは流量又ははん濫により浸水する区域及びその水深を示して当該河川の状況を関係都道府県知事に通知するとともに、必要に応じ報道機関の協力を求めて、これを一般に周知させなければならない。            

水防法 第三章第十条第二項

つまり、二つの都道府県区域をまたいでいて大きい河川、についての洪水時の情報の通知を、大臣&長官→都道府県知事 とすると規定されています。

 今回の改正案では、 ”この第十条第一項があった上で、都道府県知事は、必要だと判断したときは国土交通大臣に(第十条第二項で規定された)河川の水位や水量の情報を求めることができる。”
という意味の条文を新たに新設するようです。
そして、この新規約が改正後の気象業務法と矛盾しないように、
”気象業務法の十七条(気象庁以外の者は気象庁長官の許可を得る)と二十三条(気象庁以外の者は警報してはならない)は適用しない
という条文も新設されています。

 つまり、都道府県知事→(情報の要求)→ 国土交通大臣→(通知)→ 都道府県知事 という情報のあらたな流れができた、ということかと思います。

ポンチ絵でいうとこの部分になります。

概要「気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案」より

このポンチ絵に書かれている「国指定河川」とは、国土交通大臣が指定した河川、ということと同義と思われます。ポンチ絵が分かり易いです。

概要「気象業務法及び水防法の一部を改正する法律案」より

本ブログ冒頭の、本改正案の理由、の章の概要で示した、民間のコンピュータシミュレーションの進展により、この本流と支流一体予測が可能になったことで、このような改正になったとのことです。

【筆者のつぶやき】河川が境界線で国と県での管理が分かれているなんて驚きでした!緊急時に情報の伝達経路を法律で決めておくことは、現場の混乱を防ぐためには大事だと思います。しかし、今後も予想外の自然災害が起こった時はこの定めに限らず臨機応変に対処する、といった意味の法律案があってもいいのではないか、と思います。

おわりに 筆者のつぶやきからの感想と意見

 とにかく法律は細かいです。言葉の定義を一つ変えると、それに伴って他所にも変更部分が生じます。緊急事態に際し、法律が足かせとなって臨機応変な対処ができず、国民の生命財産が犠牲となった例も過去に聞いたことがあります。そしてそれが改正案のきっかけとなり、新たな規制がつくられる。。。。このようなパターンが繰り返されているのではないでしょうか。
 テレビで夫と天気予報をみていて、ふとこの法律案を思い出し、水防法の改正案について話してみました。夫は、「法律があろうがなかろうが、住民が危険に晒されそうになったら、情報を取りに行くものじゃないのか?!」と。河川が氾濫するかもしれないとき、知事は政府から情報が来るまでただ待っていたのでしょうか。
 また、気象予防法についても、規制が強まり、政府の権限が強まった感じがします。民間の進化した技術があるなら、国民が自由に情報を選び、優れた予報が支持される、という市場原理を働かせたほうが、国民にとって有益なのではないでしょうか。

もし自分が議員なら 採択/不採択


 採択します。

 とても悩みました。本改正案は、水防法に関しては知事から政府へ情報を求められるようになった、という点においてのみ賛成です。もし、この法律が無くて、県民が困ってしまうなら賛成、ということです。気象業務法においても火山現象が予防の対象になったことは一歩前進、と言えるとは思います。
 しかし、全体的には規制(許認可)が強化されています。これは、そもそも法律の在りかたがホワイトリスト(ポジティブリスト)になってしまっているからだと思います。
 気象変化による緊急事態に対して臨機応変に対処するにはどうしたらよいか、を話し合った上での改正案なのか、を確認する必要がありそうです。そして、法律の在りかたそのものの議論、規制を減らしていくための議論をしていただきたいです。
 参議院での採択は令和5年4月7日に予定されています。

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