推しが好きすぎて推しのことを考えているうちに読解力や文章力、発想力の低下など自分の頭の悪さに気づいてしまった件《推しとの出会い編》

2019年11月、私はあるコンテンツに出会った。音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』である。
8月にwebデザイナーとしてフリーランスになったばかりの私は仕事中に音楽を聞きたいなと音楽サブスクリプションサービスを利用することにした。
それまで音楽はよく聞いていたが、基本的にヴィジュアル系しか聞いてこなかった私である。もういい大人なんだし新しいジャンルを開拓しようと、何気なく「最新J-POP特集」という音楽リストを再生した。そこに、「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-+」が入っていた。

テンポが早くていい。どうやら声優がラップしているらしい。若い女性オタクに人気らしい。はぁ、そうふーん。漫画アニメは学生時代から嗜んでいたが、ここ昨今はジョジョの奇妙な冒険しか興味なかった。かつては腐女子だったが、今はジョジョの公式のイベントに親友と行くぐらいで、そんなことより仕事(WEBデザイン)が楽しかった。そんな状態でヒプマイの楽曲と出会った。
ヒプマイの曲はどれもテンポが早かった。ノリがよかった。ノリが良いので仕事中に聞くことにした。頭が活性化される気がした。そして聞き続けると歌詞が聞き取れるようになってきた。だんだん歌っているキャラクターに興味を持ってきた。ここではじめて公式サイトに飛んだ。そしてあるキャラクターに興味を持った。名を躑躅森盧笙という。

躑躅森盧笙
教師。
簓とは過去、お笑いコンビを組んでいたが、
簓の才能に自分が釣り合っていないと感じ、葛藤の末、解散を選ぶ。
出典:ヒプノシスマイク公式

衝撃を受けた。なぜなら私は長い間お笑い芸人のオードリーが大好きだったからである。『もうめちゃくちゃ好きでぇ!5年ぐらいオードリーのことだけ考えて生きてたかな!!!!本当にオードリーのことしか考えてなかったの!』…と今もアツく語れる程私はオードリーが大好きだった。
なのでこのプロフィールに衝撃を受けて、インターネットで色々検索をした。そして複雑な世界観があることを知った。舞台は第三次世界大戦後の世界というトンデモナイ設定であること。キャラたちは三人一組のチームになり、ラップバトルで日本の領土争いをしていること。今、6チームあること。…うーんよくわからない。なんでラップで領土争うんだ?詳しい設定わからないし、ドラマパートはCD買わない聞けないだろうし?(※後で知ったのだがドラマパートもサブスクリプションに配布されている)あ、漫画化してる。買おう!…と《元芸人が挫折して教師になったが元相方とチームを組んだ》という情報に踊らされリサーチ15分。そこから10分かけて近所のアニメイトにレッツゴー。どれ買っていいかわからないので綺麗な表紙のヤツの一巻を買って、そこから家に帰って読んだ。

そして沼に落ちた。ヒプノシスマイクに興味を持って30分の出来事である。

伊弉冉一二三。
それが私の推しである。


なんか曲で「ウェーイ」な人がいるなあ、シャンパンシャンパン言ってるからホストかな、ぐらいな認識だった。
私が買ったコミカライズは ディビジョンラップバトル(作中のラップで領土を争うバトルのことである)第一回目のシブヤチーム VS シンジュクチームのコミカライズであった。これを読むまで全然キャラの性格なんて知らなかった。
今もはっきり覚えている。
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伊弉冉一二三の幼馴染である会社員の観音坂独歩が仕事で疲れ果て、トボトボと肩を落とし陰鬱な顔をして自宅に帰宅する。すると、テーブルには手の込んだ夕飯と置き手紙があった。それを見て観音坂独歩は顔をほころばせる。
その次のページ、”チャラそう”、”いかにもホストっぽい”伊弉冉一二三が明け方、職場のホストクラブから帰ってくる。『ただいま、今日も俺っちお疲れ〜』と自分をねぎらう。そして、炊飯器を開け、『おっ、おかわりまでしてんじゃん〜!』と独歩がちゃんとご飯食べたことをとてもうれしそうに喜ぶ。
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堕ちた。

・自分もバリバリ働いているのに、幼馴染の為に手の込んだ料理を毎日作っている
・しっかり相手を気遣った手紙を添える
・接客業、しかも高難易な技術レベルを求められる「ホスト業」から帰ってきたのに他人がただ「ご飯をしっかり食べた」というだけで喜んだ

前述したが8月からフリーランスになった私である。正直なところめちゃくちゃしんどかった。運が無いといったらそれまでだが「オトモダチ価格」「女だから価格」「独立したて価格」で横暴なクライアントばかりと仕事をしていたのである。こっちが尽くしても頑張っても収入に何一つ繋がらない。向こうは無料でアレヤレ、コレヤレと日々連絡が入る。セミナーや交流会に行けば、あっという間にマルチ商法の話になる。会社員時代だってそうだ。あれこれできるからと、関係ない仕事を振ってくる。頑張って応えたら社長・上司に色目を使ってんの!?とお局サマにしょうもない嫌がらせをされる。プライベートだってそうだ。私の家族は私のことを家政婦としか思っていなかった。友達だって「聞いて聞いておごって付き合って」と強要ばっかりしてくる。(親友は別だが)
…正直なところ、生きれば生きるほど精神は摩耗され続け、人間というのはどいつもこいつも『利己主義のいきもの』だと思っていたのだ。
それを貴方。
他人がご飯食べただけで喜んでくれるとか神様か。

しかしすぐ思い直した。
「いや、そんなのフィクションでよくある話だし。こんなんで喜ぶとか、すげえと思うとか、だったら子供向けのアニメでも見てろよ」と。

が、伊弉冉一二三がすごかったのはソレだけではなかったのだ。

伊弉冉一二三は女性恐怖症で、女を見ると恐怖で足がすくみ、怯え、使い物にならなくなる

ホストをやっており、シンジュクのナンバーワンホストである。

…は?
と思った。
理由はまだ明かされないが、彼は過去に女性にひどい目に合わされたらしい。だから女性を見ると「お、女…!」と女児にすら怯える。泣いて、震え、逃げ惑う。
が、それではいけないと決心し、ホストになる。
そしてホストを続けるうちに己に強烈な自己暗示、戦闘服であるスーツを着れば、女性に甘い夢を見せる究極のナンバーワンホスト「456」という人格を作り出す。

…いや、めちゃくちゃすごくないですか?

これまたさっき前述したのだが、私は家族と仲が良くない。
というか、実は、私は家族から失踪している。分籍もしたし、市役所に行って捜索願不受理届も出している。
毒親、機能不全家族、AC…まぁそういうカンジ。
特に母親がダメ。私が成人してからは過度な暴力は減ったが、過干渉、人格否定といった精神的DV、ビンタなどの軽度の暴力は続いていた。母親が水商売やってるとかイカニモな人だったらまだわかりやすくて良かったのだが、私や妹が幼稚園〜高校の間、PTAや民生委員を務め、地域活性やお年寄りへのPC講座など人のために尽くすボランティアばかりしていたのだから、もう誰にも助けてもらえずしんどかった。またご多分に漏れず、父は仕事と趣味の読書で無関心。妹は頭が良かったので勉強で家におらず、父に似てADHD気味な私は格好の彼女のオモチャであった。
…ま、それもあり、私は母親が本当にダメだ。声を聞いただけで吐いてしまう。そのせいで50代の女性もダメだ。私を全否定し、説教する生き物だと思っている。子を想う母親も苦手だ。どう接していいか分からない。怖い。だからそういう人と避けて今まで生きてきた。子どもを産んだ友人とは絶縁したり、クライアントも50代の女性はお断りしたり。怖いのだ。いつ怒鳴られるか分からない。母親はきっと今でも『私が生きている、それだけでムカつく』スタンスのままだ。

なのに伊弉冉一二三君は。

彼になりたい、なんて恐れ多いことは言わない。

せめて彼にふさわしいちゃんとした人間になりたいと思った。今も強く思っている。


↓ちなみに伊弉冉一二三くんってこういう人です。↓

伊弉冉一二三
ホスト。
あけすけでチャラチャラした口調だが、実は極度の女性恐怖症。
それを克服するためにホストになり、努力の末、
「スーツを着ると女好き」へと変貌するようになった。
手先が器用で、インドア系からアウトドア系まで趣味は多岐にわたる。
独歩とは小学生からの付き合いで、独歩の破れたスーツを直す事もしばしば。
座右の銘は「今日という日は、残りの人生の最初の日である-Today is the first day of the rest of your life.-」
出典:ヒプノシスマイク公式




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