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惑ふ



日記



休みの日、家で夜中まで勉強をしていた頃に指名のお客様が来てくれたらしい。
店長が電話をくれたけれど机に向かって集中していたから全く気づけなかった。

次に出勤したときの送迎が店長で、そのときの話を聞きながら家まで送ってもらった。

そのときの雰囲気や様子を聞いているとふと、「そういえば他に席に着ける子おらんくて◯◯(他の女の子)指名でつけといたわ〜」と言われた。

あ!全然大丈夫ですよー!場内ですよね〜って聞いたら「いや、まぁA指やねんけど〜、」の返事が来て、それが急にモヤモヤしてきょとんとしてしまった。


キャバクラには本指名(A指名)と場内指名(B指名)があって、簡単に言えばいつも来てくれるリピーターの人からのものはA指名、フリーで来た人のお席に着きそのまま最後まで居させてもらえるのが場内指名。

本指名はバックが発生するけれど、場内指名ではバックは入らない。


お客様が来てくれたとき、着ける女の子が居なかったのと、唯一着けそうなその女の子は少し着くのを拒否していたこと。
だからA指名扱いで反映させるからといって着いてもらうことにしたらしかった。


元々店長の古くからのお客様で、店長にもお客様にも指名を変えた意識は全くないらしいのと、お客様はそもそもその金額を把握していないことを説明されて、だから今まで通り指名は変わらないからと言われた。


けどなんだかモヤモヤしてしまってずっとはてなが浮かんでくるばかりで困ってしまった。


今までに同じような例があれば、そういうパターンですね〜となったかもしれないけれど初めて聞く状況だったから脳が処理するのに時間がかかった。


だから家に帰ってから聞いたことを全部整理し直して、何が理解できて何が腑に落ちなかったのか考える時間が必要だった。

本指名で伝票につけたほうが単価が上がるのはわかった。着ける女の子が居なかった状況と、唯一着ける子が少し嫌がっていて(誰にでも苦手なお客様は居ると思うのでそれもわかる)場をおさめるにはそれが最適解だったのもなんとか理解した。


でも本当にA指名にする必要ってあったのかなって考えてしまった。

店長に尋ねたときには、まぁおれで来てくれてるしー、の言葉はごにょごにょしてたけど
途中でセリフを止めようとその人が今何が言いたかったかなんて私にはすぐわかってしまう。

おれの知り合いで、おれできてくれてるわけだから裁量はおれに任せてほしい、ということなんだと思うきっと。


わかるけれど。それならばなおさら私は悲しかった。おまけなんだよって言われたようなもんだ。


それに、どうしてその女の子はそれを受け入れてしまったんだろうって思ってしまった。


本指名の女の子がいるお客様が、たまたまその子が休みのときにふらっと来てしまって今日だけ私をA指名で、となっても私は困ってしまうし受け入れられないと思う。

お客様が言い出しても、お店が言い出しても、よくわかんないなってなる。


車の中できょとんとしてしまって会話に上手く返事ができなかったわたしに店長が、「怒ってるみたいなのやめてや」って言ってきたけれど

私は怒っていたわけじゃなくてどちらかと言えば傷ついていたに近い。
ショックを受けていたとか、悲しかったのほうがニュアンス的にはちかい。


理解できるかどうかと納得できるかどうかは違うと思うんだ。


その子にも席につきたくない気持ちと、でも仕事だから着かなきゃいけない状況があって、気持ちを汲み取って本指名扱いで反映させたなら、

私がお店の利益や状況を考えるとそれが正しい答えだったことを理解しなきゃいけないのと併せて、胸に抱いたもやもやしたやりきれない気持ちは一体誰が汲み取ってくれてどこに向けたらいいんだろう?って思っちゃった


遊びに行っていたわけでもなくて、寝ていたわけでもなくて、ただ勉強を頑張っていただけだから、休んだ自分がわるいな〜なんて思うことすらできなくて、頑張っていたことを否定することはしたくないからただくやしい気持ちだけが膨らんだ。


半年ほど私が控えめな出勤だったとき、その人の足はお店から遠のいていてこの前の来店で久しぶりに会えたって、店長が教えてくれたのに。

店長との絆のほうが深いことを私だって当然理解しているし、だからこそ、いつも私が出勤していることを伝えて本指名につなげてくれていたことが嬉しかったのに。



数日経った今でもよくわからないけれど、わからないからもう考えることをやめにすることにした。

私はどうやって自分を納得させたらいいんだろうと悩んだけれど、私がお店で一番信頼しているのは店長だから、店長が決めた決断ならそれが一番よかったのかもしれないなと思うことにした。


スケジュールを知ってくれているから、夜中の電話を控えめにしてくれたのにそれに対しての感謝は示さずに、なんでもっと電話して呼んでくれなかったんですかって言い返したことを後悔している。
過ぎてしまったことを問い詰めたとて、そこからはなにも生まれない。
家に帰って状況を整理して自分が子どもみたいなわがままを言っていたことに気づいたから、電話をかけてごめんなさいを伝えたしその次の日出勤したときにも謝った。



勉強しているうちにもうなんでも良くなっていったし受け入れられるようになったけれど、そうやって自分がまたすこし嫌になった。

自分が傷ついたからと言ってそれを誰かのせいにしたりなんかしちゃいけないし、それを盾に誰かを攻撃していい理由にはならないのに。


いろんなことをすぐに悩んでしまう自分のことや、ふつうなら気にしないであろうことを気にしてしまう性格がきらいだ。

自分のもつ想像力や共感力がいい方向に働けば強い力になるのに、きっと悪い方向に働いてしまったんだと思う。


でもやっぱり今でもちゃんと納得できたかわからなくて、なにが正解かとか間違いかとかはもうどうでもよくなって、悲しかった事実は消えなくて、人と自分の考え方の違いにだけ気づいて、自分だけが悩みを引きずることに気づいて、あぁやっぱそういうところだよなぁ私が生きるのが苦手でへたくそなのは、と思ったりした






人間ってむずかしいや















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