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"Mr.Unreasonable"J1第7節 鹿島(A)vs福岡(H)マッチレビュー

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鹿島 1 ー 0 福岡

 前節の清水戦も逆転勝利を飾り、リーグ4連勝中の鹿島。とはいえ、清水戦は試合後も様々な物議を醸しました。ピトゥカの愚行に始まり、上田綺世の交代成立の是非、清水GK権田が発した鹿島選手による侮辱的発言問題などなど。試合後のわずか数日で調査やクラブ間での合意によりほとぼりは冷めたものの、悪い意味で話題を攫ってしまった鹿島の風当りは現在ちょっと厳しいかなと。

観客席にボトルを蹴りこむ、という前代未聞な愚行を犯したピトゥカにも処分が下り、リーグ戦4試合・ルヴァン2試合の計6試合にわたる出場停止となりました。過去を遡ってもかなり重い部類の処分だと思いますが、本人も公式サイトや自身のSNSで反省の念を述べており、今後の行動を見守るしかないと思います。今期は副将として腕章を巻くこともあるだけに、その行動によって自身の言葉を証明してほしいものですね。首位奪還が見えるこのタイミングで、彼の存在を欠くのは余りに大きい。

前半は両軍FWのポストプレーによる前進設計

 今季いまだ1勝と波に乗り切れていないアビスパ福岡。昨季は快勝も惨敗も経験させられた相手だが、ホームということもあり福岡の選手らは立ち上がりから出足良く前線からハイプレス。鹿島の前線、特に中盤の押し上げによるセカンド回収の準備が整う前に蹴っ飛ばさせることで福岡ボランチ陣が難なくボールを回収。立ち上がり10分間はほぼアビスパ福岡ペースで試合が進んだ。

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 単純なハイボールによる前進が困難であると見た鹿島は、前線のプレスに吊られるように前掛かり気味な福岡SBの裏を突いていく。SB前嶋&志知はSHが最前線近くまで行くために単独で鹿島SHに対応せざるを得ず、ボランチやCBによる援護も望み薄。彼らが鹿島SHに食いつけば、その裏に空いたスペースを鈴木優磨を中心に走り込み、起点を作っていった。徐々に鹿島が福岡陣内でプレーできる時間が増えていき、セットプレーの機会も増加。プレースキッカー樋口の右足は今日も冴え渡っており、幾度となくCKやFKでチャンスを創り上げてくれた。

 対するアビスパ福岡も鋭いショートカウンターを見せ、特にFWファンマ・デルガドに一度当て、そこからフリーの選手へボールを展開する流れでスムーズにチャンスを演出。三竿、関川を背負おうとも簡単には負けないファンマのポストプレーは厄介極まりなく、彼を経由して多くのピンチを招いた。ここぞ、という場面で多くの選手が駆けあがってくるアビスパのカウンターは脅威に感じたし、失点せずに済んだ守備陣の奮闘は称えられるべきだろう。

 26分、カイキが関川からのフィードを受けてニアゾーン侵入、優磨そして安西の決定機へと繋がるクロスを供給した。相手SBの裏を巧みに突いたカイキの飛び出しが存分に活きたシーンであり、これ以降はカイキとアラーノはサイドを入れ替えて後半まで戦った。志知も俊足だと思うんだけれどね。

ポストプレーヤー中心に攻める両軍に起こった誤算

 鹿島は鈴木優磨が、福岡はファンマが最前線で体を張り起点を作っていた。それだけ相手とのコンタクトが多い役割を務める彼らが前半に揃って警告を受けてしまったのは、両軍の指揮官にとって大きな誤算だったと思う。ファンマは明らかにイラだっていたし(それでも前半ATまでノーカードだったが)、優磨は早々と警告を受けた上で今村主審に「もう次はないよ?」といったジェスチャーも貰っていた。否が応にも、レネ監督と長谷川監督はプラン修正を余儀なくされたようなものだ。

長谷川監督、攻めの起点を中央から両サイドへ

 ハーフタイムから長谷川監督は2枚代えを決断。FWファンマに代わってFWルキアンを、MF杉本に代わってMF田中達也を投入した。ルキアンの役割はあくまでフィニッシャーであり、崩しのキーマンとして田中達也に白羽の矢が立った。左サイドから果敢なドリブルによって強襲、あの常本ですら手を焼かされた。クルークス、田中らの推進力には本当に苦しまされた・・・

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 鹿島は起点作り担当を優磨からカイキへと完全に移行。右サイドに張ったカイキの機動力を活かし(カイキ過労まったなし)、右でチャンスを作って左で仕留める形が出来上がっていった。カイキのニアゾーン強襲は決定機こそあまり作れなかったものの、左翼アラーノが中央付近まで出張ってきてオーバーロードする左右非対称の形は狙いをよく表していた気がする。というかアラーノは左にいてもボールが来ないので中央に来たんじゃろな。

アビスパ福岡は主に田中達也のドリブルから決定機を作り、鹿島はセットプレー特にCKから決定機を作った。47分には優磨が、68分にはカイキが絶好のチャンスを迎えるもクロスバーとポストに嫌われてしまった。多くの決定機を迎えながらも、失点を許さなかった両軍GKの奮闘もまた素晴らしいもの。ヒリつくグッドゲームを彩ったのは、間違いなく彼らのビッグセーブあってのものだ。スンテと村上もまた試合の主役だったと思う。

Hello, Mr.Unresonable.

  71分、バイタルエリアでこの試合珍しく前を向きフリーになった上田綺世、ほぼノーステップで振り抜いたシュートはDF宮にディフレクションされつつもネットを揺らし先制成功。うーんこの理不尽。アビスパ福岡の守備陣はそれまで綺世にほとんどスペースを与えることもなければ、シュートチャンスに持ち込ませる瞬間すら作らせていなかったと思う。それだけに、うなだれて悔しがる彼らの心情は悔しさに包まれたのだろう。

 その後は福岡の猛攻を凌ぎ、終了間際のスンテ神による超絶セーブもあって逃げ切り成功。キム・ミンテの投入はぶっちゃけ付け焼刃感が半端なかったものの、激闘を制してリーグ5連勝を飾った。

次節、横浜Fマリノス戦へ

 とうとう、鹿島は単独首位の座を掴みましたね。スロースターターとは一体なんだったのか・・・。苦しんだ試合がほとんどなものの、結果だけを観れば今季リーグ戦は6勝1敗。見事にもほどがありますわ。

 「代表で鬱憤の溜まった綺世はエグいよ~」なんて軽口を叩いていたら本当にエグくて若干引いている我ら鹿島サポーターですが、次節は綺世のお得意先マリノスさんですもの。期待しちゃいますわな。マリノスは首位の座を争うライバルでもあるだけに、叩いておきたいところっす。

 試合を経て関川・三竿コンビや和泉のボランチ起用などが安定してきたのも結構大きい気はしますね。レネ監督は各ポジションにおそらく求める役割がハッキリしていて、その特性を持った選手をチョイスしていくんでしょう。カイキ⇔松村の互換性なんかが分かりやすい?それだけに、ピトゥカ不在でチャンスが回りそうに思えた中村や船橋は出番を得られるか微妙そう・・・ミンテのボランチはもうさすがにないよな!?途中立ち位置が完全にCBだったぞ!?!?!?

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