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”一意専心”J1第11節 鹿島(A)vs札幌(H)マッチレビュー


鹿島 1 ー 0 札幌

 前節ガンバ戦を4-0で快勝し、約半年ぶりのホーム勝利に沸いた我らが鹿島アントラーズ。順位も中位までアップし、苦しみながらも上位進出へのチャンスはまだまだあります。垣田と優磨の2トップが機能性をみせはじめ、優磨自身も3試合連続ゴール中。ゴール前で仕事ができるFWであることを、改めて示してくれていますね。

 対するホームのコンサドーレ札幌。今季も攻撃性能の高さは折り紙つきで、ここまでリーグ2位の20ゴールを叩き込んでいます。とはいえ失点の多さも札幌らしいと言えばらしいのですが、魅力的な攻撃サッカーを展開しながらも勝ち点に繋ぎ切れていないもどかしさがありそうです。

〇前半

 前半立ち上がりから試合終盤まで、ほとんどの時間において札幌がボールを握った試合展開に。大きな要因としては、
①鹿島2トップ含めた前線プレスがほぼ機能しない
②ボールを奪っても前線が孤立、時間を作れない

あたりが影響強かったかなと。決して2トップだけのせいではないものの、札幌が守備時はマンツーでガシガシ人を当ててくるので後方で落ち着くことがあまりできなかった。となれば蹴るしかなく、岡村大八を中心に跳ね返されることで鹿島得意の形に持ち込めなかった。

守備のギャップを突いてくる青木のセンス

 札幌MF青木は鹿島守備における悩みの種の1つであり、小柏と浅野で鹿島2CBをピン留めしつつ空けたスペースを巧みに利用してきた。前半2度ほど決定機を作ったのも彼の動き出しからで、惜しくもシュートこそ外れたが攻撃を牽引した1人といっていいだろう。シュートシーンまで最高なのが青木の良さでもあるんだけれどね…..

 GKも積極的にビルドアップに参加し、ボランチと3CBの立ち位置を頻繁に変えながら相手プレスをいなす札幌の、というよりペトロヴィッチ監督の手腕は流石。ビルドアップに対して無理に守備側がつっかければWBへの展開で一気呵成に攻めかかることもできる。菅、金子の切れ味は鋭く、特にリーグ屈指のドリブルスタッツを誇る金子を常本はよく対応できていたと思う。単純な縦スピードでは負けていなかったし、難しい場面をノーファウルでキル抜ける守備センスは流石だ。

うまくいっていたはずの札幌、痛恨のミスから失点

 鹿島が劣勢に立たされていたのは事実。うまくいっていることの方が少ない内容であり、計算が立っていたのは植田・関川のCBコンビが制空権を取れていたことくらい。札幌陣内でのプレー時間すら計算の立たない中、21分に望外の先制点が鹿島に生まれる。

シュートすら放てない状況が続く中、札幌DF中村のクリアミス(味方につなごうとした?)を優磨が掻っ攫ってダイレクトシュート。緩いパスを抜け目なく奪ったシュートはゴールに吸い込まれ、1-0とリードを奪うことに成功した。鹿島にとっては望外な、札幌にとっても予想外な展開へとなった。

思わぬリードを奪われた札幌だったが更にアクシデント。攻撃を牽引していた1人の青木が左足ハムストリングを負傷したか交代、宮澤が入った。宮澤は福森とボランチを形成し、駒井がシャドーの位置に上がる布陣に。青木の交代も、鹿島が守備を安定させるのに大きな影響はあったと思う。

〇後半

 ハーフタイムで岩政監督は垣田に代えて知念を投入。垣田はポストプレーで時間を作れず、シュートチャンスも決めきれずと悔しい前半だっただろう。垣田のここ最近のパフォーマンスを見ていると、周りに味方さえいればダイレクトでボールを落としたりできていたので、今日のように単独で複数の相手マーカーと対峙しないといけない局面は苦手なのかも?

じゃあ知念なら単独で時間を作れるのか?というと、そうとは言い切れない。たぶんこの交代は、そもそも前線2トップにロングボールを収めさせたいというよりも、後半も同じような展開になることは受け入れてカウンターの鋭さを重要視したいのかなと。後半45分間をまるまる自陣に引き籠るつもりはなかったと思うが…

鹿島は右SHを大外に下ろして5-3-2ブロックを形成

 「リードを奪えている」という最大のメリットを活かすためか、鹿島は守備時(特に自陣守備)に5バックに構える時間が増えた。札幌の攻撃陣は各々スピードに強みがあり、スペースがあってこそ活きるメンツ。ギャップを突いてきた青木がいなくなったこともあり、構えてさえいればある程度守備強度は計算できる状況だったと思う(アンデルソン・ロペスとかいなくて良かったぜ)

単独で打開が見込める札幌のWBに対して常に睨みを利かし、常に前向きで守備をすることで安定して跳ね返せるように。ここは植田と関川が本当によく頑張ってくれた。

 趨勢は後半も大きく変わらず札幌がボールを動かし、鹿島がそれを迎え撃つ展開に。肉を切られようとも骨を断たせず失点しなかった鹿島が逃げ切り、アウェイでのウノゼロ勝利となった。

次節、AWAYセレッソ戦へ

 試合全体の出来としては全く満足できるものではない(笑) ただ、そんなゲームで勝ち点3を得たことは非常に大満足。ここ数年の鹿島は内容の伴わない試合でも勝ち点を拾うことが課題の1つでしたしね。

リーグ屈指の攻撃力相手に、正対した守備で凌ぎ切ったのもグッド。佐野海舟の不在以降、中盤でボールを奪える率がグッと下がってしまったのは否めないものの、彼もそろそろ帰ってくる。ひさびさのリーグ3連勝、次のセレッソ戦も勝って4連勝といきたいっすね!

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