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"千日手"J1第34節 鹿島(H)vsG大阪(A)マッチレビュー

AXEL SMITH


鹿島 0 ー 0 G大阪

 前節清水戦で8試合ぶりの勝利に沸いた5位鹿島アントラーズ。いよいよリーグ戦最終節をホームで迎えます。相手は今季既に4試合を戦っているガンバ大阪。ガンバには今季4連勝中(リーグ開幕節3-1、ルヴァンHOME4-1、ルヴァンAWAY3-1、天皇杯2-0)で相性の良い相手ではあるものの、それはレネ・ヴァイラー前監督指揮の下でのこと。前節清水戦には勝ったものの内容(特に攻撃面)には課題が残っているので、そこをどう改善し来季へつなげていくのかが注目でした。

スタメンには前節を出場停止で欠場していた広瀬、樋口が復帰&即スタメン。負傷した安西の代わりに和泉が今節はスタートから左SH起用され、常本がベンチという構成に。おそらくここは和泉のフル出場を見込んでいたんじゃなかろうか?と。広瀬が体力的にフルで持たないのは織り込み済みで、実際に58分と比較的早い時間帯で常本が交代出場しています。また、ベンチにFWエヴェラウド、エレケがいません。ここは何かしら事情があるのかどうか・・・・フィニッシュの質問題どころか、交代要員にフィニッシャー不在は個人的に驚きでした。

 対するガンバ大阪は現在プレーオフ圏スレスレの15位。勝ち点1差の背後には16位京都がおり、勝利なら残留が確定。引き分け以下なら他試合の結果次第でプレーオフor降格が決定してしまうという非常にシビアな状況でした。リーグ開幕戦でゴラッソを決めた小野瀬が欠場、レアンドロ・ペレイラも不在。そして何より、ファン・アラーノが先発に名を連ねました(涙

〇前半

ボール保持に目途が立ち、包囲完了

 立ち上がりこそ押し込まれる時間帯もわずかにあったものの、ガンバ大阪が前線ハイプレスを行わなかった(足並みがそろわなかった?)こともあり鹿島がビルドアップを大きな支障なく行うことができた。パトリック、宇佐美というチョイスの時点で流石にハイプレスはなさそうだったが、鹿島のゴールキックに対して2トップを鹿島PA付近まで構えさせておきながら、エリア内でパス交換が始まると即座に撤退とかもあったのでよくわかりまへん(それ却って疲れるだけじゃ・・・?)

 敵陣への押し込み(包囲)までは難なく成功。問題はそこからである。ガンバ守備陣も集中力高く、密度とスライド速度が合わさり非常に堅牢。2CB+三竿でボール保持は問題なく行えたことでサイドチェンジからの揺さぶり自体はかなり機能できていたものの、ボールホルダーに対してSH・インテリオール・時には優磨と手厚いサポートがある代わりに中央のプレゼンスが低下。ガンバにとっては一番怖いCB付近で常に数的優位を作れていたので、押し込まれてはいたものの決して危険な状況だったかと言われると・・・三浦&昌子のコンビにGK東口とあっては流石に火力が足りなさすぎる。城攻めにあたり、曲輪でどんだけ暴れようとも本丸へ踏み込めないんじゃ仕方がない。

カイキの起用も、押し込んだあとに立ち位置を中に入らせて優磨と疑似2トップでも形成すんのかなと思いきやそうでもなさげ(というかむしろ和泉とのサイド攻略に注力気味)。結局優磨が中央でなんとかCBとの駆け引きでギャップを作ろうとするものの、孤立した優磨にクロスやパスが入るわけでもなく。ボール自体は持てたものの、ガンバ大阪の守備ブロックをなぞるようにボールが右往左往する時間帯が多かったのも事実だ。大外に展開→クロスもカットインもできない→後ろに下げてサイドチェンジ→クロスもカットインもできな(以下同文 の同じ手順が繰り返される展開にしびれを切らすサポーターも多かったんじゃなかろうか。

強引な攻めを引っ掛けガンバのカウンター発動

 ガンバの攻め筋としては大まかに3つで、
①SB×SHの縦関係で大外を崩し、中央のパトリックへ(特に食野ドリブルが突破口)
②パトリックを広瀬と競らせてセカンド回収(マジでこれ効果的過ぎて吐きそうだった)
③鹿島の攻めをブロックで引っ掛けてカウンター

とにかく失点はナシで!!という感じで守備から試合に入りつつ、ワンチャンスを仕留めていこうと。特に②は流石に広瀬には荷が重く、セカンド回収役がアラーノなり宇佐美なりと厄介極まりない。③のカウンターも、鹿島が多少強引に攻め込む必要があったので何度か大きなチャンスを掴むことができた。ただどうしてもカウンターのスタート位置が低めなので、鹿島の迎撃に捕まったりファウルで潰されてしまったり、後続が続かなかったり。パトリックがよりカウンターでも強さを発揮できるタイプだったら~なんて思ったけどそんなチートFW、Jにいてはいけません。

戦術兵器としてまたも頼もしい松村

 膠着した状況でやっぱり頼もしいのが個人打開なわけで、清水戦に引き続き松村のドリブル、ラインブレイクは大きな武器に。以前ではゲーム終盤のオプション的な使われ方だったものの、今では鹿島のメインウェポンにまで昇格した松村の突破力は頼もしい限り。大外だけでなく、今日はハーフスペースで広瀬からのスルーパスを引き出そうとするなど突破のバリエーションも増えてきた。しかもドリブル自体も、以前のような直線的で粗削りなドリブルでなくスラロームを駆使して守備ブロックを切り裂くような印象。41分に実際カットインからPA手前まで持ち込めていたので、その状態から打てるようになったら結果の数字が爆上がりしそう。たぶん現状、ドリブル後に強くインパクトできる程足が残ってないんでしょうな。ケガ明けなんすよね彼も。

〇後半

趨勢変わらず陣形変更。4-5-1変化。

 前半をスコアレスで折り返し、両軍共にハーフタイムでの選手交代はなし。ガンバは前線にボールを蹴っ飛ばしても即座にラインを上げるわけではなく、ボランチの押し上げも消極的。やはり失点しないことが大前提であり、カオスな打ち合いなんて望んでいないんすよね。鹿島は割と野戦の打ち合いに引きずり込みたいのだけれど、ガンバは籠城戦で一向にかまいません。なんなら真田丸こさえよか? 47分には浅めのDFラインとの駆け引きを制して優磨がニアゾーンに抜け出し、GK東口をも躱すも左足で折り返せず。この日一番、ガンバを焦らせたシーンだったかもしれない。

 58分には岩政監督が動き、2人交代(広瀬out→常本in、樋口out→荒木in)。広瀬⇔常本の交代はともかく、プレースキッカーとしてもクロッサーとしても計算の立つ樋口に代えて荒木の起用は思い切ったなと。もはやガンバ大阪PA内での制空権を取るのは望み薄なので、クロス配球からの爆撃よりも地上戦でなんとかしよう!的な。三竿とピトゥカの2ボランチに荒木のトップ下を用いて、ガンガン中央にも切り込んでいく姿勢が見えた。単純に仕掛けの手数を増やしたいってのもあるだろうけれども・・・

打破できず膠着、和泉負傷で更に足枷が

 千載一遇のスルーパスが清水主審に当たってしまうなどの悲しいトラブルもありつつ、なかなか決定打に持ち込めずに時間だけが過ぎていく。そんな中72分にトラブル発生。左SB和泉が左足のケガのため自らスネ当てを外して交代を要求。前半から運動量豊富に動き回っており、大外の仕掛け役とネガトラのカウンタープレス役を兼任する重労働っぷりだったので仕方ないのかな・・・(それを実際ずっとやっていた安西はそれだけタフだってことで)。

苦しいのが本職SBの常本は既に広瀬と交代して右に入っていたこと。スクランブルでSB起用だった和泉に代わり、更にスクランブル起用で舩橋が入る(確かに以前も何度か緊急時に務めていたけど)。ただドリブルで運べる・仕掛けられる枚数が更に減ったことは事実であり、左サイドの突破にブレーキがかかってしまった印象は拭えない。てかそもそも舩橋に和泉役をそのまま任せるのはお門違いじゃしの・・・

80分にはカイキに代えて仲間を、松村に代えて名古を投入。交代選手と同サイドには入らず、仲間が右・名古が左を務める。となると、左サイドはより”攻撃を作る”色が強くなった。左サイドは「作り担当」、機動力のある右サイドは「崩し担当」みたいなテーマだったんすかね岩政監督は。ただ、さすがに自陣にひきこもるには充分な残り時間となったガンバにとってはそこまで苦ではなかったか、決定機を作るまでには至らなかった。

シュート数こそ12本と打ったもののゴールまでは届かずスコアレスで試合終了。ガンバにも決定機は作らせなかったが(宇佐美のシュートはヒヤっとしたけど)、鹿島も攻撃面で閉塞感を打破するには至らず。モヤモヤの残るホーム最終戦であったことは拭えない。ガンバは他会場の結果により、残留が確定した(おめでとうございます)。

今季リーグ戦4位で終了。来季の構想はいかに。

 優勝を狙いにいって、結果としてACL出場権すら取れずに4位に終わったこと自体は「失敗」というべきでしょう。期待値の高いシーズンだっただけに、無冠で終わったことは本当に残念でしかない。たぶん鹿島サポーターみんなが「もし上田綺世が海外移籍していなかったら?」という世界線を考えたことでしょう。しょうがないんだけどね、考えちゃうよ人間だもの。

 主砲移籍&コンディション的にも厳しい夏ごろから勝ち切れない試合が出始め、マリノス・広島に連敗を喫してレネ・ヴァイラーと両者合意の下契約解除。優磨がインタビューとかで語っている感じだと、この時期かなりチームの雰囲気が良くなかったそうで。そんな折、「いつかは」と期待されていた岩政大樹政権が早期実現(いくらなんでも早すぎるんだよなぁ)。監督代理と正監督じゃやはりプレッシャーが違うことでしょう。サポーターと衝突しながらもよくやってくれたと思いますし、鹿島を変えるという意志はひしひしと伝わった。願わくば結果もついてきてほしかったですけど。

個人的には、綺世の理不尽ゴールで消していた弱みで勝っていた序盤の鹿島だっただけに、結果無冠で終わったのは仕方ないかなと。レネ・ヴァイラーにも、岩政大樹にもどうしようもなかった気はする。途中加入のエレケばかりに責任を負わせるのもフェアじゃない(そもそもレネ政権でプレーしてないし)。岩政監督の続投は正式発表されておらず、吉岡FDの不穏な発言もあって新監督の可能性もあるのでオフシーズンも穏やかではないでしょうな。契約満了もでるでしょうし。しばらくはW杯でそれどころじゃねえけど!!

私自身は岩政監督の続投を期待しています。おそらく誰よりも鹿島を理解し、鹿島を愛し、鹿島を変えようと思っている監督としては申し分ないと思うので。過程は見えてきたし、あとは結果だけ。合否の判定を出すのはまだ時期尚早に感じますわ。コーチ陣も多彩な面々が揃っているので、オフのトレーニングでどうチームを根本からデザインしていくのかも期待しちゃいますもん。幸か不幸か、鹿島からW杯選手が出ませんでしたからね。しっかり準備できるってもんすよ・・・・綺世ェ・・・・頼んだゾ・・・

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