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””Football Dream"J1第15節 鹿島(H)vs鳥栖(A)マッチレビュー

鹿島 4 ー 4 鳥栖

 それは確かに悪夢から始まったが、いつしか希望と情熱に満ちたモノへと変貌を遂げ、しかし残酷にも、我々は夢から目が覚めてしまった。

 前節、アウェイ浦和戦を引き分けで終えた鹿島アントラーズ。首位川崎も引き分けたため勝ち点差は変わらず2位。中3日で迎えた今節、スカッドの変更も考えられたものの、レネ・ヴァイラー監督は先発変更なしを選択しました。連戦での消耗は気になるところですが、おそらくレネ監督が最も信頼できるスカッドを揃えたのでしょう。

 対する鳥栖も連戦。前述した川崎が引き分けた相手がこのサガン鳥栖です。0-0のスコアレスドローに持ち込み、鹿島に望みを繋いでくれました(ありがとう、でも垣田は返せよ)。

○前半

苦しみながらも反撃に転じる鳥栖

 立ち上がりから鹿島がチャンスを作り、ハイプレスから相手のミスを誘って二次、三次攻撃へつなげることができた。解説の松原さん的には鳥栖は中盤ダイヤモンド的な立ち位置と話されていましたが、個人的には中盤は藤田をアンカーに、インテリオールが小泉と福田を務めてた気はする。3センターは結構即興で流動的に動くけれども、横のスライドに縦のスプリントで攻撃を加速させるのでボックス・トゥ・ボックス型を揃えてこその設計か。

 鹿島が徐々にゲームを作れているものの、スコアが動かないまま時間が経過。鹿島としては押し切って1点をもぎ取りたかった時間帯ではある。19分に迎えたピトゥカの決定機はぜひ決めてほしかった・・・・

鳥栖もタフに戦い、最後方での制空権をCB田代が取ったことで徐々に反撃開始。鹿島はロングボールの送り先を中央から大外サイド(つまりSH)へ変えざるを得ず、相手WBと競り合えれば起点を作れはしたものの中央3CBを動かせていないので火力が足りない。優磨or上田に当ててSHやピトゥカが拾う当初の設計から生じたズレはあまり埋められなかった印象だ。

鹿島は攻撃時に中盤をダイヤモンドに可変(両SHがハーフスペースまで絞る)するような形でCBからのボールを引き出したものの、そこにはキッチリ人を当ててくる鳥栖。広大なスペースで1on1のマッチアップが常に起こる、割とオープンな状況にもなっていた。

ワンチャンスをモノにした田代

 31分、CKのチャンスを田代がモノにして先制。鹿島としては流れの中からピンチだけはほとんど作らせていなかっただけに手痛い失点だ。38分には、今度は流れの中から宮代がゴール。単独で4人をドリブルで引き剝がした小泉の仕掛けは見事だった・・・・

正直、2失点目から前半終了まで鹿島は完全に統制を失っていたと思う。こんなはずじゃなかった、と誰もが思っていたのだろう。うなだれながらも首を振り続ける優磨の姿は印象的だった。

○後半

鹿島の出鼻を挫く鳥栖の3ゴール目

 チャンスを作られはしたものの、2点リードを取って折り返せたのは鳥栖にとっては上出来だったはず。より得意のカウンターを仕掛けられる場面は増えるだろうし、不安はなかったのかもしれない。46分には飯野のクロスから決定機を作ると、48分には3点目を奪取。自陣での奪取からロングカウンターを突き刺した。小泉の兄貴、左足でのシュートもあったんすね・・・

ただ、この3点リードこそが鳥栖に隙を生ませた気もする。明らかに試合をコントロールしようとインテンシティが下がったし、強引に球際をねじ伏せようとする局面が減った。”悪い意味で落ち着いてしまった”といのが正しいのかもしれない。52分に樋口がリーグ戦初ゴールを奪い反撃の狼煙をあげ、早い時間帯に逆転するための起爆剤を手に入れた鹿島が主導権を握り返した。

耐える鳥栖を鹿島が攻め立て、劇的な試合へ

 1点返したことでスイッチが入った鹿島は攻めに攻め立て、攻撃にALL IN状態。ボールサイドに対して鳥栖は3CHも3CBも寄り、密集からボールを奪いたい姿勢が鳥栖にあった。そのため逆サイドの大外レーン(特にこの試合では右の常本)でフリーの選手を作ることに成功。左で鳥栖全体を寄せて、広い右サイドへの展開からチャンスを作るシーンが増えた。

68分には綺世が2点目を奪取。アシストして優磨の切り返しも見事だったけれど、シュートを打った綺世の位置だって簡単ではなかったはず。よくぞファーサイドを的確に打ち抜いてくれた。さぁ、イケイケタイム開始である。72分には鳥栖サイドも明確にDFラインを5バックに統一してレーン封鎖にかかるも、もはや本能で攻撃している鹿島にとってはお構いなし。92分には土居が、94分には染野と立て続けに途中交代ではいった選手が結果を残して逆転に成功。そして歓喜に包まれたのも束の間、ラストワンプレーの鳥栖CKからまたもや田代に決められて4-4ドローとなった。なんだそりゃ・・・・

終盤が濃密すぎてもはやよくわからなかったんだけれども、鳥栖も流石に一度ギアを緩めてしまうと再加速するのは難しいんだな~と。岩崎のドリブルを武器にカウンターを成立させようとしていたけれども、さすがに守備でも走っている彼に突撃前衛までさせるのは酷でしたか・・・全選手が常にアクションを取るのが鳥栖の良さだと思っていただけに、3点リードしてからは「リアクション」に徹してしまったのは残念だったかもしれない。まぁでもアウェイで3点取ったらそこでもそうなるかも。

あとアラーノ。やっぱ走り回る人が欲しい時間帯にはうってつけなんだなと。スペクタクルのトリガーになるには十分。ポジションがどうとか、というより相手陣内でのプレー時間が確保されているなら脅威になれるっすね。

次節、アウェイFC東京戦へ

 なんだかんだで首位奪還できました(Wow!)。若干モヤモヤ感は残っているものの、川崎がなんと湘南に玉砕したので得失点差で上回り首位に返り咲き。やったぜ。

チャンスを決めきれずに3失点食らったのは大いに反省だったものの、終盤のゲームメイクが課題に思えていた鹿島スカッドにおいてこのゲームを作れたのはグッド!!途中交代で入った選手もしっかり結果に貢献できていたし、染野のリーグ戦初ゴールも素晴らしい限り。これでヒーローインタビューまで持ち込めたら確変入りそうだったんだけれど、残念。

連戦はまだまだ続くし、結果を残した土居や染野がまた出場時間を延ばしてくれることを願いましょう。エヴェラウドも帰国してチームに合流はできているんで、負傷者が戻ってくれば心強い。次節も勝って首位固めましょう!





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