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"流転の攻守”J1 第25節 鹿島(A)vs神戸(H)マッチレビュー

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鹿島 0 - 1 神戸

 18日に両チーム天皇杯を戦い、鹿島は長崎に勝利。対する神戸は名古屋に残念ながら敗戦。鹿島は長崎戦から続くアウェイ戦となり消耗状態であることは間違いありませんが、神戸は同勝ち点で並ぶ5位。勝利を飾って3位の位置を盤石にしたかったのですが・・・。

神戸は合流して間もないFW武藤がベンチ入り。同じく加入した大迫(ぐぬぬ)、ボージャンは流石に出てきませんでしたが、対戦相手として大迫と対峙する日がいつか来るのかと思うと複雑な心境です。あと個人的にボージャン加入は意外でした(笑)。確かに元バルサでカンテラ出身、系譜は踏んでいますが・・・。個人的にはストーク在籍時代でのイマイチ乗り切れないパフォーマンスが印象に残っているので、どんなプレーをするのか非常に気になるところ。WCCFでは非常にお世話になりました!!!

ハイライン採用の鹿島、序盤は勢いづくも・・・

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 鹿島の対神戸コンセプトとしては、

攻撃:神戸3CBの脇にあるスペースで起点づくり。中央突破は山口の脇のスペースを活用

守備:ハイラインで前後圧縮、中盤でボール回収

といったあたりだっただろうか。立ち上がりは狙いがハマり、立ち上がり2分には左サイドで3 on lineを作ってアタッキングサード侵入に成功。奪われてはハイプレスで相手に息をつかせずボール奪回にも繋がった。

 このまま試合をコントロール下に置きたかったものの、そこは流石神戸。鹿島の出方を見極めてから、10分以降は徐々にボールを落ち着かせることに成功していく。鹿島2トップ(エヴェ、荒木)に対する3CB+アンカー山口の数的有利で時間を作り出していった。

 神戸の前線へのフィードは当初ドウグラスのポストプレー狙いだったが、鹿島のCBが付きっ切りでマークしてくることが分かれば方向転換。ドウグラス、佐々木には鹿島CBを引っ張ってもらい、彼らの空けたスペースを活用したり囮として活用してきた。この用兵がハマり、しばしば犬飼、町田は相手と入れ替わるように裏を取られていく。神戸の強かさを感じた一面だ。

中央突破もお手の物、ピトゥカの万能ぶり

 結果として点には繋がらなかったものの、サイドのスペースを活用した攻撃でけでなく見事な中央突破も披露した鹿島。相手の意識を外に向けさせた点も大きかったかもしれないが、それでもスモールの崩しを仕掛けられるピトゥカ、荒木らの存在感が光る。長短問わずどんなレンジでも鋭いパスを通すピトゥカは今節も抜群で、19分にはオシャレなアウトサイドパスでエヴェラウドの決定機を演出。このチャンスがこの試合最も得点に近いシーンだった。

鬼島津もびっくりの敵陣突破をピトゥカやレオも見せてくれるので頼もしい限りなのだが、攻め手に欠けると2人とも高い位置に上がるのでリスク管理が心許ない・・・いやでも攻撃を完結できるならそっちのが優先度高いか。両SBと両ボランチがあがって2CBでコート6割カバーする状況に陥ることだけは少なくしたいっす(笑)。

後半修正を施した神戸、見事

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 神戸は後半開始から動いてきた。FW佐々木→武藤へ交代し、フォーメーションを3-5-2→3-4-3へ変更。アンカー型ではなくダブルボランチへと変えてきたのである。前半ビッグチャンスを呼び込んでいた鹿島の中央突破を警戒し、その起点となっていたアンカー脇のスペースを埋めに来た。

イニエスタを1列上げて左ウイング(正しくは攻撃時のフリーマン?)にすることで中盤は2(山口・郷家)対3(荒木・ピトゥカ・レオ)の数的不利になるものの、守備時は受け重視でボランチの機動力でカバーする方針。まずはスペース埋めて、相手と正対した状態に持ち込むと。ただ前線からのプレスはほぼ無くなったので、鹿島がボール保持 / 神戸がカウンター という構図も徐々に出来上がる。前半はボールを持ってその色を出していただけに、ちょっと神戸への印象が変わった戦い方にも感じた。試合通して、攻勢・守勢が時間帯ごとに代わる面白い内容だった。

 攻撃面においてもこの変更は優位に働く。ボール奪取後、イニエスタに預けて最前線へパス供給という流れが明確に繋がった。特に武藤が常時マーカーの町田の背後を狙い駆け引きを続けていたことからも、神戸攻撃陣の意識がハイラインを敷く鹿島DFの裏にあることは感じ取れた。イニエスタが自陣の守備に追われる時間を減らせたことも、彼がフル出場できた要因になったかもしれない。攻撃の形としては極めてシンプル。リーグ屈指のクラックとFWが揃えば、多少は粗削りでも形になるのがこのユニットの強みだ。

 とはいうものの、やはり中盤での数的不利は如何ともしがたいもの。鹿島は前半パスの出し手として徹していたボランチ陣がシュートレンジに入れるようになる。山口、郷家も2人で幅広いエリアをカバーして無理が利いていたが・・・。ボランチを塞ごうと前進すればバイタルエリアの広域化に繋がり、後ろに下がれば打たれるジレンマを彼らはよく耐えきった。

 54分に上田と安西で縦方向の攻撃面における上方修正を狙い、69分には遠藤とカイキを入れるなど手は打った相馬監督。手は打ちチャンスも得ただけに、その采配に間違いはなかったと思いたい。

タレントで刺して逃げ切り神戸

 60分には神戸が再度布陣を変更し、DF初瀬→中坂への交代を契機に4-4-2を採用。右SH武藤・左SHを中坂とし、右SB酒井・左SB小林とした。武藤は守備時こそ右翼を担うものの、攻撃時は最前線ドウグラスの横まで前進して従来の役割(対町田)を担った。79分、最終ラインから抜け出した武藤に中坂からパスが入り、中央へ折り返しゴール前の混戦を山口が制しゴールGET。山口の手前で潰れたドウグラスも見事ながら、立ち位置を変えながらも攻守の役割を全うした武藤には敬意を前半から多くのタスクを課されながらもゴール前までスプリントしてきた山口もまた天晴としか言いようがない。

 先制後は神戸は統制を高めクロージングを図る。勿論鹿島が反撃に転じ、多少粗くとも攻撃の圧を強めたので、いかに守備をマネジメントするかが神戸にとって勝ち点3に繋がるポイントとなった。86分にDF山川を、88分にMF井上を入れて守備強度をテコ入れ。流石に疲労が見え始めていた2選手を入れ替えた三浦監督の決断は正しかっただろう。そのまま神戸が試合をモノにした。

 個人的に神戸の選手で印象に残ったのが郷家。ここまでポリバレントな選手だとは・・・・印象ではアタッカー寄りなイメージだったので、IHとボランチをここまでこなせるとは驚き。前半はドウグラス・佐々木らのハードワークでこぼれたボールを拾うなどサポート意識も感じたので、案外色んな役割をこなせる貴重なタイプなのか・・・・

次節、25日清水戦

 残念ながら上位を互いに狙うライバルクラブに負けてしまった。最低でも引き分けは望みたかっただけに残念このうえない。が、まだまだAWAYの連戦が続く(笑)。25日に清水AWAY、28日にマリノスAWAYとじっくり日本を横断する日程は鬼だなと・・・・・

更に次節は犬飼が出場停止。なんかハイライン敷くと犬飼の出場停止に繋がっているのは最早どうしようもないので受け入れるしかないっす。おそらく先発するであろう林の奮闘に期待。清水には開幕戦で手痛い敗戦もくらっているのでね・・・。

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