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"暗中模索"J1第18節 鹿島(H)vs仙台(A)マッチレビュー

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鹿島 1 ー 1 仙台

 16日天皇杯YSCC横浜戦から中3日、とうとうリーグ戦再開となりました。YS横浜戦は8-1と順当に快勝。和泉が長期離脱から復帰したなどポジティブな点が多かった試合でした。対して仙台は天皇杯でJ2磐田に敗戦し、リーグ戦でも18位と苦しんでいる状況。仙台の選手からは”何がなんでも勝ち点を奪う”という強い気持ちを感じました。負傷して欠場したGKスウォビィクに代わり先発したストイシッチ含め、非常に集中してゲームに入れていたと思います。

序盤から続いた鹿島のボール保持

 立ち上がりに良さを出したのはアウェイの仙台。サイドから決定機を作り出し、あわや即失点という状況を作り出されてしまった。仙台の選手は相当モチベーションが高く、集中力を以て試合に入れていたと思う。マイボールを落ち着かせられるまで、鹿島は気持ちの面でも落ち着けなかった。

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 次第に「鹿島のボール保持&仙台のカウンター」という構図で試合が進む。仙台はフラットかつ縦横にコンパクトな4-4-2ブロックを敷いてきた。ライン設定も自陣深め、大外以外のスペースを消してきた。

鹿島としては、大外のSBまでは楽に展開できるものの実は仙台の仕掛けた罠。仙台は大外への展開を契機にSB&SHで挟み込むようにプレッシング発動。ボールを奪うか、下げさせるか、苦し紛れにクロスを上げさせるかに局面を追いやった。プレッシングに合わせた全体のスライド含めて、仙台の守備コンセプトは明確かつ組織的に感じた。左サイドで孤立しやすい永戸がクロスとフリーランでなんとか奮闘した一方で、右サイドの常本は苦戦。対面した石原に縦を塞がれ、良さを消されてしまったか。逆サイドからのクロスがこぼれてシュートを打つシーン等は多かっただけに、今日に限っては攻撃面での課題のが強く印象づいてしまった気がする。

 守備時こそ荒木はトップ下に入るものの、ボール保持攻撃時はボランチ付近まで下りてきてインテリオール化(エヴェラウド、上田が2トップ化しやすく、流石に窮屈か)。レオ、ピトゥカが状況に応じてアンカーに落ちたのだが、この立ち位置自体は雰囲気、流れで自然となっただけか...?少なくとも、仙台ボランチ富田・松下を悩ますには至らなかった。

いつも以上に窮屈な攻めに終始した鹿島だったが、チャンス自体は作れていたので先制できていれば何も問題はなかったはず...。決めるべきチャンスを決めきれなかった、そのツケを後半に払ってしまうのだが。

32分、相馬監督は土居と荒木の立ち位置を変えるよう直接指示を下す。これの狙いも正直よくわからなかった。何かを変えたかったのだろうが...。

采配が的中、仙台先制

 後半は荒木と土居の位置を戻して試合再開。ハーフタイムを挟んでも趨勢は変わらなかったのだが、61分に手倉森監督の采配により試合が動く。

FW赤崎→DFアピアタウィア、MF関口→FWマルティノス、MF富田→MF上原と3人を同時交代。5-3-2へとシステムを変更。特徴としてはマルティノスが右に張り左右非対称化、町田と常にマッチアップしてポジトラの受け口となった点だ。

この交代を見て相馬監督もすぐさま小泉、松村を準備。あとはボールを切れるのを待つだけだったのが_____

アピアタウィアがラフに蹴っ飛ばしたハイボールは鹿島自陣でワンバウンド。GKへ戻そうとした犬飼のヘディングは勢いがなく、背後から西村に攫われる。沖も必死に飛び出したが入れ替わり、西村は無人のゴールへ難なくボールを流し込んだ。

 試合の主導権を握れていたはずが、自陣でのミスから先制点献上。更に攻撃陣に2人の交代が発生したことで、鹿島はここから終盤まで統制を欠いてしまったきらいがあった。

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 システム変更と先制点奪取により、あとは守備と腹を括れた仙台。「手堅く守って、奪ったらマルティノスで前進」が全体的なコンセプトのようだった。対して攻勢を強めなければならない鹿島は混迷を極める。土居・小泉の中盤でどう攻めるのか、松村をどう活かすのかが曖昧(松村へは蹴っ飛ばすだけなんだけどねいつも)。結果論に過ぎないが、白崎投入が早かったら多少変わったかもしれない。

アラーノ・スペクタクル

 最早統制は取れておらず、振り絞った腕力でどうにか仙台をひきずり倒そうとする鹿島。86分、ミスが目立ち警告も受けた犬飼に代えて林を、ピトゥカに代えてアラーノを投入した。

時間の焦りからかとにかく縦へ急ぐ鹿島。手数をかけずに「力こそ正義!」を地で行くパワープレイに走った甲斐もあり、後半アディショナルタイムにCKを連続で獲得。もう何度目のCKなのかもわからない中、97分アラーノが自ら蹴ったCKのクリアボールを拾い、左足で送ったクロスがそのままファーサイドのゴール隅に吸い込まれ同点。いやめちゃくちゃ嬉しくて思わず立ち上がったが、ガッツポーズのまま座ったらちょっと困惑してしまった。いやこんなことある??????

ちなみにアラーノが直接折り返さず、左足で切り返して相手に寄せられたときは思わず天を仰いだのだが、目線を戻したらゴールが決まっていた。なんだそれ。アラーノ、とんだ千両役者である。たしか昨季も土壇場で点取ってたなかった?そろそろ真面目に、アラーノがスペクタクルを起こす発生条件を解析班つくって検証したほうがいいか?

試合終了

次節、23日アウェイ大分戦へ

 課題もあったが負けなかったので結果よし!!と割り切りたい(笑)アディショナルタイム中はスタジアムの時間表示が消えるので得点時間が不明だったのだが、97分だと後から知った。物議を醸しているのは致し方ないと思う。だって鹿島が同じ追いつかれ方したらと思うと...ね?

アラーノが奇跡を起こしてくれたので、今後「彼のファーストタッチが~」とか頓珍漢なことは言わないようにします。ほんと気を付けます。いやでもあそこで逆足に切り返す必要が(殴打)___彼の覚醒条件の1つに”自軍劣勢”、”試合後半”あたりがあることは間違いなさそう。スパロボのイデオンかよ。初見殺しにも程があるでしょ。

エヴェラウドと綺世の同時起用も、現状出せる最大火力であることは疑いようがない。チャンス自体を決めきれていれば、苦労した試合にはならなかった気もする。綺世に関しては相手を背負った状態でのファーストタッチが安定さえすれば....。胸コントロールは抜群なんだけれど。走りながらのタッチはうまいんだけれど。どどど。

相手にスペースを消されたらどうしましょ?問題を相馬監督がどう解決していくのか非常に興味深い。今日はベンチからも外れたカイキ辺りがうまくハマってくれればいいのだが...。

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