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AWSEN×ARUN Online Seminar COVID-19禍で新たに動き出す女性社会起業家 Part 1

AWSENメンバーでもある、インドネシアの Azalea Ayuningtyasさんが、2020年にARUN主催のビジネスコンペティションで優勝。Ayuがどんな提案をしたのか?ARUNがAyuを選んだポイントは?などを、ARUN代表の功能さんと一緒にお伺いしました。(5月15日 14:00-15:30)

0.プロフィール

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功能聡子
ARUN合同会社代表で、認定NPO法人ARUN Seed代表理事。民間企業、アジア学院を経て1995年より10年間カンボジアに在住。NGO、JICA、世界銀行などの業務を通して、復興・開発支援に携わる。カンボジア人の社会起業家との出会いからソーシャルファイナンスを知り、その必要性と可能性を確信しARUN(アルン)を設立。日本発のグローバルな社会的投資プラットフォーム構築を目指して活動している。第三回日経ソーシャルイニシアチブ大賞国際部門賞受賞。


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Azalea Ayuningtyas
Du’anyamの共同創始者でありCEO。インドネシアの田舎で暮らす女性の職人とともに働き、文化を広めるため、そして彼女らのエンパワーメントを目的として、彼女らを市場とつなげる活動をしている。AWSENともネットワークをもっており、2019年までに2回、沖縄と東京のサミットに参加。2020年に開催されたARUN主催のCSIチャレンジで優勝。職人と市場をつなげるプラットフォーム「クレアロギ」を開発し、デジタル化、そしてその普及・教育にも従事している。



渡邊)お集まりいただきありがとうございます。AWSENとしてアジア女性社会企業ネットワークを2014年に作って活動しておりますが、その活動にも参加してくれたり、2019年に沖縄と東京でイベントを開催した際も来日して登壇してくれたDu’anyamの代表のAyuさんをお呼びしております。そのDu’anyamが、去年ARUNさんが行っているビジネスコンペティションに参加して優勝しているということもあって、今回、そんな流れでこの二人と私がナレーションをしながら1時間半お話をしていきたいと思います。仙台にいるんですけれども、すごく天気が良くて、初夏の感じ。こんな気持ちいい日にライブやアーカイブで見てくれる人がいたらいいなと思いながらお届けします。

1. Arunの紹介

渡邊)まず聡子さんの方から事業の紹介をお願いします。
功能)
ご紹介ありがとうございます。Ayuも参加してくれてありがとう。簡単にARUNの紹介をまずビデオで行いたいと思います。(ARUN social impact investmentへのリンク https://www.youtube.com/watch?v=XRyxAmkcuRA)

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ちょっとだけプレゼンテーションをさせていただこうかなと思います。私は1995年から十年間カンボジアで仕事していました。開発の仕事をしていて、そこで社会起業家に出会ったのをきっかけに、2009年に彼らへの投資を始めました。ARUNというのはカンボジア語で「夜明け」という意味で、起業家が1日の始まりの希望やエネルギーを感じるような新しい社会を作っていくというのをかけ合わせています。ARUNのビジョンは「地球上のどこに生まれた人もひとり一人の才能を発揮できる社会」です。実際に行っているのは社会的投資の実践と普及、啓発、人材育成です。起業家の発掘、投資を行った後は経営支援をしていきます。その後社会的インパクトの評価を行なっています。これまで、アジアの9個の社会的企業に投資をしてきました。カンボジア、インド、バングラデシュで事業をしている企業が主で、その他にこれからご紹介するCSIチャレンジ(ビジネスコンペ)には、300程度の社会起業家が参加しています。Ayuもその一人です。
CSIチャレンジというのは起業家と投資家、そしてその二者だけではなく、知識や技術を持っているさまざまな組織(大学や企業等)が一緒になって社会課題の解決、新しい社会の創出をサポートしていこうというプラットフォームです。 私たち ARUNのNPO法人の方の活動は、 NPO法人に寄付していただき、それを元にして社会的投資していうというふうになっています。社会課題の解決とそして日本国内でアジアや世界の新興国でこんな起業家がこんな課題に取り組んでいる、私たちがローカルに取り組んでいる課題と同様に、起業家がその地で取り組んでいるところに、我々が共感できるところ、共通するもの、お互いに学び合えるものがあるのではないかと考えて活動しています。
今日のテーマはコロナ禍での起業家の動きですが、1997年にアジア経済危機があって、その後は、貧困は減少傾向にあったんですが、2020年のコロナ禍が起きてまた増えました。多くの人が貧困に陥ったとので、それをなんとかしたいと私たちは考えています。昨年、CSIチャレンジの仕組みを使って、コロナ禍で影響を受けた子どもや女性、難民の人々と事業に取り組んでいる起業家を発掘し、応援していこうというプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトではクラウドファンディングで支援をしていただいて、それと並行してビジネスコンペティションを行い、優勝した企業に投資をして事業を応援していこうという仕組みです。これによって社会的インパクトを創出するビジネスを発掘し、投資をしていく、そしてそのプロセスに、日本の方が中心ですが、より多くの方に参加してもらう場を作っていこうという意図があります。

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オンラインで行い、今回初めて中東やアフリカからも応募をいただき、26カ国104社から応募がありました。その中の35%が女性で、これまでと比べると多くなっています。食・農業、環境ジェンダーなど、さまざまな分野で活動している企業が応募してくださりました。選んだ基準は社会的インパクト、持続可能性チーム、イノベーション、ジェンダーの五つで、ファイナリストに残ったのが6社でした。ミャンマー、シエラレオネ、パレスチナ、インドネシアから1社、インドから2社としてファイナリストとして残りました。このあと詳しく説明してくれると思いますが、Ayuが率いるDu’anyamが優勝しました。インドネシアの農村で活躍する女性起業家を応援している、クラフト産業のサプライチェーンの課題に取り組んでいる企業になります。

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笹川平和財団賞というのもあって、これはミャンマーのGreenovatorという企業が受賞しました。農民の人向けのモバイルのアプリを開発し、知識の普及からオンラインのプラットフォームを作っている企業になります。Janitriという企業はインドで、妊婦の健康状態を遠隔診療するための機器を開発している企業です。これによって妊婦の異常を早期発見して、分娩時のリスクを軽減し、母体と胎児を守るというピンポイントで大きな課題に取り組んでいる企業です。
もう一つ、インドで女性の衛生問題に取り組んでいる企業もファイナリストもおりました。日本でも生理の貧困ということが言われていて、女性の衛生問題に以前より注目が集まっていますが、インドでもその問題が深刻で、非常にイノベーティブな製品を開発している企業です。
シエラレオネのMosabiは零細事業者に対しての教育プラットフォームを提供しています。「草の根のMBA」というふうに言っているんですけれども、簡単な経営や経理の仕組みを学べるようなプラットフォームを提供して、それから金融機関と結びつけることで零細事業者が必要な金融のアクセスの課題を解決しようとしている企業です。G Gatewayはパレスチナのガザ地区でITのアウトソーシングを受けるプログラムを行なっていて、若者に教育の機会と、その後のITの仕事を得ていく、そういった機会を提供している企業です。

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キーワードとしては、社会的インパクト、包摂性、ビジネスモデルのイノベーション、デジタル化、平和の5つがあります。今で市場から見放されてきたような女性や難民や子どもやそういった人たちが初めからターゲットになっている企業、ビジネスになっています。また、そういった難しい状況にある人たちにどうやって持続可能な仕組み、彼らのエンパワーメントにつながるビジネスを起こしていくかということからビジネスモデルのイノベーションは大事になってくると思います。その過程でデジタルも有効に使っていると思います。
最後に、今回ファイナリストに残った6社の中で、ミャンマーはクーデターが起こって国中が大変なことになっていて、ファイナリストに残った事業も中断せざるを得ない状況になっていますし、ガザも、空爆が起こっていて大変な状況になっています。我々が一緒に歩んでいきたいと思っている企業が置かれている状況が本当に平和ではないというのを改めて感じ、私たちの活動も平和につながるような活動にしていきたいなと感じています。

2. Du'anyamの紹介

渡邊)
ありがとうございます。この後のパネルでもっと聞いてみたいと思います。次はAyuの方からプレゼンをよろしくお願いします。
Ayuningtyas) 
初めまして。私の名前はAyuです。よろしくお願いします。私もビデオからスタートしたいと思います。そこから私たちがどのようにインドネシアの田舎の方で暮らす女性の職人たちと働いているかが見られると思います。

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(Du Anyam Profile Video with English Subtitleへのリンク      https://www.youtube.com/watch?v=0kIZ6YU3PHE)
(ビデオ内容翻訳:東ヌサ・トゥンガラ州のフローレスで私たちの物語は展開する。私たちは数百人もの壮大な文化と地域の創造性の中で暮らす、素晴らしい女性たちとともに旅をする。自然が提供してくれるものを大事にすることによってのみ、私たちは有意義なものを作り出し、それと同時にコミュニティの力になることができると信じています。彼らのエンパワーメント、財産の保護、そして家族の健康改善のための大きな存在になることを光栄に思います。成長、学習、そして夢をともに作ることが私たちの全てです。)

Du’anyamはインドネシアで活動する有数のエシカルクラフトブランドであると自負していて、1200人以上の女性の職人と働いており、インドネシアの12の州で彼らとのネットワークを持っています。質が良くて機能的なクラフト製品を扱っており、主に卸売りし、B to Bで従事しています。各国に輸出をしており、350以上の企業やホテルに商品を提供しています。平均して40%、織り手の収入の増加に貢献し、収入を二倍になった織り手もいます。

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2015年にスタートしたので、私たちは7年目に突入します。最初は女性に、経済的に力を与えるためにスタートしました。彼らは収入が不足しており、農業からしか、収入を得られていません。お金がなく、健康にいい食料、医療、教育にアクセスするのも難しい状況にあります。一方、彼らはパートタイムでも仕事をしていて、世代間で受け継がれてきた伝統であるクラフトに従事しています。しかし、そのクラフト技術を使って彼らはその市場に参入することはできませんでした。市場に関連した良い質の製品を設計し、その質をコントールする方法を知りませんでした。彼らはコミュニティの中に存在する資源と技術を使用し、収入を得ることに難しさを感じていました。Du’anyamがやっている基本的なことは、存在する資源と技術を市場と繋げ彼女らの家族や子どもに栄養を与え、医療、教育にアクセスできる経済的な力を与えるために活動しています。また、他の組織と共同し、プラットフォームを提供しています。
私たちはインドネシアを活動拠点としており、最初は、東インドネシアを中心に活動していました。今では全国的にネットワークを広げており、職人たちにトレーニングや他のプログラムを提供しています。
私たちの製品にはホームデコレーション製品やファッションやライフスタイル製品を扱っています。前で述べたように、卸売で、B to Bのビジネスモデルを行なっていて、ASIAN GAMES 2018のようなイベントやホテル、企業に提供しています。
また私たちは、更なる社会的インパクトを提供しています。お客さんは、商品を買って収入を向上させていくだけでなく、その過程で子どもたちに奨学金を与えるといったことを国内外でやってくれています。1500人以上の女性をトレーニングし、彼らの子や孫に300の奨学金を与えており、約5000の栄養のある食事を子どもたちに提供し、眼鏡やランプまた金融リテラシープログラムの提供も行っています。

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私たちはインドネシアで、クラフト業界のキーオピニオンリーダーとして讃えられました。製品がいつも質の良いもの、良いデザインであることを保証しています。そのために自社でデザイン部を設け、また外のデザイナーと共同したりしています。その甲斐もあって、デザインでいくつかの賞をいただいたり、世界中の展示会に招待してもらったりしています。製品が作られたストーリーに感銘を受けて買ってくれるだけでなく、使いやすく、質もデザインのいい商品そのものをみて買ってもらうために尽力しています。
ファッションやホームデコ製品は生活必需品ではないので、コロナ禍になって私たちも影響を受けました。しかし、その中で戦略を考えました。短期的戦略と長期的戦略を考え、短期のものは、他のブランドとコラボし、食べ物や健康志向のアイテムを組み合わせたりしました。オンラインで商品を売り始め、また裁縫士へ仕事と収入を与えるために、布マスクを作って売り、その一部をそれらを得るのが困難な地域に寄付しました。ビジネスがいつも革新的な何かを提供し、生き残るために短期的戦略をいくつかたてて乗り越えました。長期的戦略に関して言えば、コロナが起きる前からもやってはいましたが、より輸出に目を向けました。最も大きな家具小売業者からの商品を扱ったこともあり、2019年から2020年にはそれ以前より二倍以上輸出することができました。

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CSIチャレンジで最も評価していただいたのは、私たちが、感染症が広がる前からもデジタル化やパートナーシップの向上を進めるという長期的なビジョンがあったということでした。元々ビジョンとしてあって、コロナ禍になってそれが加速した感じがします。それによって、パートナーを増やすことに成功し、私たちのイノベーションの勢いに乗ることができたと思います。6年間クラフト産業に従事してきていて感じたのが、インドネシアではスキルはあるのに大きなグローバルな市場にアクセスする手段がないことが多いです。中小企業としか働いていない職人はサプライチェーンを運営する手段をよく知りません。10個の製品を買うときはいいかもしれませんが、1000個の製品となると配達が遅れることも懸念されまた、質も落ちかねます。
まず、職人たちと協働し、自分たちのテクノロジーを発展させ、それが長期的に見れば、一緒に働いている職人だけでなく、その地域の他の社会的企業や小企業も助けることになります。インドネシアにはクラフトやファッションに携わる中小企業、社会的企業、協同組合を合わせて150万存在し、その50%以上を女性が経営、もしくは従業員が女性になっています。私たちの全ての経験、システムを彼らに共有し、モバイルアプリを使った利益の管理と、デジタルなエコシステムを実現させ、ファイナンシングや市場へのアクセス、トレーニングやデザインの相談、まとめて出荷を可能にしています。

3. アプリ「Krealogi」についての説明

もう少しモバイルアプリについて話させてもらいます。まず、職人たちの中には自分自身の生産コストや注文について書かれた書類を紙で持っている人がいます。私たちはそれをデジタル化しています。彼らの過去のデータを使い、分析し、業績を改善させ、またそれを使うことによって、ファイナンシングへのアクセスを可能にします。成長することに難しさを感じている中小企業の多くは、彼らの独自の財務報告書を持っていないので、信用スコアリングに回せません。さらに、彼らはどこに彼らの製品のニーズがあるかわからないので、在庫やスタッフを増やすべきかどうか判断できません。それらの問題をこのアプリが解決してくれます。生産性と効率を高め、コストを減らし、販売の可能性を上げることができます。
二つ目に、私たちはオンライン市場でも働いています。そうすることによって、中小企業は彼らの製品をそこで展開することができます。また彼らは、Du’anyamの買い手にアクセスできます。私たちの買い手の中にはそのネットワーク外で作られた商品を買いたいという人が多くいます。他の中小企業や社会的企業と協働するとき、サプライチェーンの障壁のせいで難しいときがあります。なので、それをテクノロジーでカバーでき、彼らが私たちの顧客にとっての良いサプライヤーになると信じています。
Du’anyamはこのアプリを2019年に導入しました。紙の書類では時間がかかるし、計算ミスをしてしまうことも多いです。しかし、アプリを使うとリアルタイムで確認でき、それをプリントすることもできますし、そこには計算ミスはみられません。また、去年から80以上のバーチャルでのトレーニングを400人以上の参加者に行ってきました。それと、140,000人以上の人がオンラインに載せた動画にアクセスしています。そしてその満足度も高く、ビジネスへの理解度が上がった人々も多かったです。
私たちは現在、中小企業にデジタル化を有効に活用する方法、「クレアロギ」の使い方を教えるために、政府やCSRパートナー、組織と協力しています。
以上が、私たちがやっていることです。他のセクターである農業や漁業ではたくさんのイノベーションやデジタル化が起きていて、それらはポテンシャルが高いと思いますが、私たちは、女性の働き手を助けていくために、私たちの「クレアロギ」を使っていこうと思います。

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(クレアロギについてのビデオへのリンク https://www.youtube.com/watch?v=Wc5eJ_YVjAw)
(ビデオ内容翻訳:ジャティさんは困っています。彼のチームは全ての注文に応えるために一生懸命働いているのに、収入が増えません。毎日残業し、入ってくる注文を管理するために励んでいましたが、遅れてくる配達もあり、またそれに対して怒るお客さんもいました。ジャティさんは時間通りに製品を配達できなければ、再び注文することをしなくなり、そのビジネスで利益は得られないことに気がつきました。なので彼はどうすればビジネスは成長し、お客さんを満足させられるのか熟考しました。そんな中、彼の奥さんは彼にクレアロギを紹介しました。あなたはジャティさんと似たような経験をしていませんか。クレアロギについてもう少し学んでみましょう。そのアプリは簡単に収入と費用を計算するのを手伝ってくれ、きちんと受け取った全ての注文を記録してくれ、原料と完成品の生産と在庫の状況を正確にチェックしてくれます。クレアロギを使って、時間通りの配達を保証し、利益の出るビジネスを作りましょう。クレアロギと一緒に、中小企業が彼らのビジネスをデジタル化させましょう。クレアロギはクリエイティブな産業のためのデジタル革新をもたらします。)
話を聞いてくれてありがとうございました。Q&Aセッションでもっと話せることを楽しみにしています。
渡邊)
ありがとうございます。今から聡子さんと Ayuさんに質問をしたいと思います。まず聡子さんに二つ質問をしたいと思っていて、プレゼンテーションでもすでにカバーしてくださっているんですけれども、一つは、コロナ禍の前からCSI(ビジネスコンテスト)を開催されて、去年、対象地域はアジアだけではなくて、グローバルに広げたという変化があったと思うんですが、それによる参加者の変化、地域以外でビジネスモデルにおいてコロナ禍においてこういうビジネスモデルの変化があれば教えて欲しいなと思っているのと、二つ目の質問はDu’anyamを選んだポイントはなんだったのかというのを聞けたらなと思っています。

4.コロナ禍でのCSIコンテスト

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功能)
コロナ禍でいろいろなところで変化があったと思うんですね。おっしゃってくださったように起業家の変化もありますし、我々運営サイドの変化もあって、そして支援者、今回クラウドファンディングでたくさんの方からご支援いただいたんですけれども、支援者側の変化もあったのかなと思っています。ご支援者様のことをいうと、クラウドファンディングの中で社会起業家を応援したいという声はもちろん以前からあるんですけど、特に今回は、コロナ禍でこういう状況だから何かイノベーションが生まれるんじゃないか、それからコロナの拡大が新しい社会を作るきっかけになるのではないかという期待が皆様の中にあるのを感じました。また、日本国内にも課題はあるのにという声もいつも聞くんですけれども、受け身になりがちなときだからこそ、途上国の起業家とあるいは、途上国の課題にも目を開いていくことが大事だって言うような声も結構ありました。なので、支援者様が、コロナ禍に影響を受けつつ、だからこそAyuのような起業家と繋がっていくっていうことの意義を感じてらっしゃるのかなと感じました。一方起業家の方はAyuがすごく話してくれたと思うんですけれども、コロナ禍で、今までも取り込もうとしていたけれども、デジタル化、それからパートナーシップがより加速したのが多くの事業のなかでもみられたんですね。と言うのは、例えば、Ayuの事業でも言っていたと思うんですけれども、クラフトですとか、製品を作って輸出するというようなところ、あるいは、観光に対応して事業をしていたというところも結構あったんですけれども、それが大きく影響を受けてオーダーがストップしてしまった、あるいは観光客が来なくなってしまった、そういった時に、それをどうやって切り抜けていくかっていうところで起業家によっては、オンライン化、デジタル化で凌いでいくあるいは、新しい活動を見出していく、あるいはその期間をもう少し違ったことに使おうとしていた起業家もいましたね。いずれにしてもその対策をクイックにやっていかなければならない、特に教育の場合は、教育がストップしてしまうので、デジタル化を教育の中に取り入れるというのをクイックにやっていかなければならないっていうような声も強く聞こえました。それに今柔軟に対応して行っているんだなというのを感じました。あとこれはビジネスというわけではないんですけれども、どの起業家も従業員の安全を重視していて、それに心砕いて、事業によってはヘルスケアだとか、水とか、いわゆるエッセンシャルワークと言われるような絶対届けなければならないサービスを提供している企業も多く、そういうところは、感染の危険というか、感染の可能性も回避しながら、そこをなるべく少なくしながら事業を継続していく、サービスを届けていくという葛藤の中、取り組んでいるというところもすごく見えました。最後に運営サイドは、本当に大きく変わって、私たちは現場に行く、直接会って対話をするっていうのを大事にしているんですけれども、それが全然できなくなってしまって、あえて、今回もそういった状況の中でもCSIチャレンジをすると決めたので、全行程オンラインになりました。それによってできたこと、できないことというのがあって、できたことは、オンラインなので地域というのをあえて外して、中東やアフリカにも広げることができた、そしてネットワークの力を借りていろんな国の人たちが応募できたというのが本当に感謝だなと思っています。ダウンサイドはフェイストゥフェイスで話したり、直接現場を見たりすれば、絶対に落とさなかったようなところが落ちていたり、いろいろこぼれ話はたくさんあります。

5.Du'anyamをチャンピオンとして選んだポイント

渡邊)ありがとうございます。Du’anyamをチャンピオンとして選んだポイントはどこだったんですか?素晴らしい事業家がファイナルに残っているなと先ほどご紹介いただいた中で思ったんですけど、何が決定打だったとかあるんですか?
功能)プレゼン聞いていてどこが良かったなとかありましたか?
渡邊)私はクレアロギ、新しく作っているものは、今まで確かに、クラフトの業界の中で一番多くの起業家が悩んでいたポイント、解決するソリューションだと思うのでそこが一番大きかったんだろうなとは思います。どれぐらいサービスが広がっているかはまださっきのプレゼンだけだとわからなかったんですけど、これが本当に広がってインドネシア国内とか、それ以外の地域にも広がると地域の中だけで、止まっていた起業家たちが、少しずつ活路を見出していくんだろうなとも思いましたし、ファイナンスの事業をもしやろうと思ったら、データを持っているから強いなとか、いろいろな次のステップの可能性もあるなとは思ったのですが、他の企業家も素晴らしい人が多かったんじゃないのかなって、迷われたんじゃないかなと思って今の質問をしました。

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功能)本当に6社とも素晴らしい企業だったので、接戦でしたし、審査もすごく大変でした。まず一つは、Ayuが起業家として素晴らしいというのが一番目かなというふうに思っています。Ayuも7年間やってきて、経験を積んでいる企業ではあるんですけれども、とはいえ全体にスタートアップのフェーズにある企業になるので、起業家がすごく大事だと思っています。とあとチームですね。 Ayuのチーム、Ayu自身は優れていたなと感じています。それは何かって言うと、Du’anyamが目指しているビジョン、社会、成し遂げたいということに対してブレがないと言うところ、それをビジネスとして持続的に継続していくために、あるいは、成長していくために、何をしたらいいかっていうのを常に考えていて、クラフトのセールスを伸ばしていくことだけではなくて、クレアロギと言うものに新しくチャレンジしてそこに、ある程度のリソースがつき始めている、そこから発展させていこうというところですね。そのクレアロギは、単にプラットフォームというだけではなくて、経営者自身の経営計画とか、そういう部分をエンパワーメントしていく。それから生産したものをマーケットに繋いでいくためのロジスティックスとか、事業が発展していくためのファイナンス、これらはこれからなんですけれども、そういうところを視野に入れて拡大していくという可能性というところにすごく注目しています。また、女性起業家の方に今回投資をしていきたいなと思っていたので彼女たちの経営陣がみんな女性で、そこも大きなポイントではありました。

Part 2へ続く...

(Part 2へのリンク https://note.com/awsen/n/na3451ab941ba

記事執筆:渡口翔平、曽根原千夏
インタビュー・編集:渡邉さやか
写真:ARUN合同会社、Du'anyam提供のものに加えて、FacebookでシェアOKになっているものから引用させて頂いています。なお、Facebookの引用元については状況を鑑みて、詳細は掲載しないこととしました。

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