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八幡市立松花堂庭園・美術館の居初つな展

閲覧ありがとうございます。日本絵画一愛好家です。

令和六年能登半島地震の被害状況が徐々に明らかになり、弊方も些少ながら取り急ぎできることを進めさせて頂きました。被害に遭われた皆さま方に心からお見舞いを申し上げさせて頂きます。

本 note の投稿に関して弊方も改めていろいろと考えさせて頂きましたが、通常通りの対応で進めさせて頂きたいと思います。

さて、2023年晩春の過日、京都府八幡市の八幡市立松花堂庭園・美術館「令和5年春季企画展 世界初の女流絵本作家? 居初つな -かわいい(ハートマーク)に恋する-」展(前期展:2023年4月15日~4月30日、後期展:5月2日~5月21日)を拝覧して参りました。

もうすでに8~9ヶ月前の展覧会で、かなり前ですね。申し訳ございません。このころは、まさか note で情報発信させて頂くとは思っておりませんでしたので、今頃になりました。

「居初つな」は「いそめ つな」とお読みするそうです。

本展、旧Twitter現Xで話題になっていたと記憶していたのですが、改めて検索してもあまり確認できませんでした。

八幡市立松花堂庭園・美術館には、弊方何度もお伺いしたことがありました。弊方がごちゃごちゃ申し上げるよりも、同館のウェブサイトのリンクを下記に張らせて頂きますので、ぜひご参照頂ければと思います。

弊方が本展を存じ上げたのは、同館のウェブサイトをチェックさせて頂いた結果でしたが、それに加えて、京都国立近代美術館(MoMAK)にて昨年開催されておりました「甲斐荘楠音の全貌」展(2023年2月11日-4月9日)にお伺いしたときに、本展のチラシ(フライヤー)が配布されておりましたので、おっさんゲットだぜっ! という感じで頂戴させて頂いたことも大きかったです。おぉ、さすが偉大なるMoMAK!!!

ということで、僭越ながら、本展のチラシ(フライヤー)を、弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影したものを下記に掲載させて頂きます。もともと画質が悪いですが、さらに画質を少し落としてあります。

さて、松花堂庭園・美術館というお名前からも明らかなとおり、松花堂庭園と松花堂美術館の複合施設で、それぞれの入園料/入館料は別ですが、もちろん両方入ることができる観覧料の設定もあり、こちらの方がおトクです。

松花堂美術館の受付は地上1階ですが、展示室は地下1階で、エレベータを利用することになると思います。松花堂美術館の規模そのものは、ミュージアムとしては大きいものではないと思います。

本展は、もちろん写真撮影禁止でした。特にフォトスポット的なスペースも開設されておりませんでしたので、展覧会に関する写真としては、見出し画像と入口画像だけになりました。

ということで、写真が少なくて何だか寂しいので、弊方の微妙なガラケー的なガラホで、展示資料リストと観覧券の半券2枚(前期後期のいずれもお伺いしたため)を撮影したものを掲載させて頂きます。

展示資料リストは、A3用紙をA4の2つ折りにした合計4ページで構成されており、写真撮影させて頂いたものは第1ページです。

第2ページから第3ページが具体的な資料リストで、第4ページは、「奈良絵本・絵巻とは」として、本展の展示主体である奈良絵本・奈良絵巻についての簡潔でわかりやすい解説と、「はちかづきちゃん」の画像が掲載されておりました、

・・・「はちかづきちゃん」って誰やねん?! ということで、まずは原典の『鉢かづき』について、インターネット上の安直な検索の結果、弊方が分かりやすいと思いました、兵庫県立歴史博物館ウェブサイトの下記のページ(リンク)を紹介させて頂きたいと思います。

居初つな先生は、この『鉢かづき』の物語を「奈良絵本」として制作され、この作品の中に登場する主人公のお姫さまが「はちかづきちゃん」です。

偉大なる居初つな先生がお描きになった「はちかづきちゃん」は、先ほどの本展のチラシ(フライヤー)にバッチリ掲載されているのですが、ちょっと分かりにくいかと思いますので、「はちかづきちゃん」をトリミングして拡大したものを、僭越ながら下記に掲載させて頂きます。

さらに、本展では「はちかづきちゃん」の絵葉書も販売されており、弊方、購入させて頂きましたので、僭越ながら、絵葉書の「はちかづきちゃん」を弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影した、画質の悪い写真(周囲の一部トリミング)を下記に掲載させて頂きます。

・・・も、萌えキャラや、萌えキャラですやん(弊方私見)!!!

写真の画質が悪いのでわかりにくいかもしれませんが、誰が何と言おうと、「はちかづきちゃん」は、おっさん的には「萌えキャラ」にしか見えません!!! 飽くまで弊方の私見ですので、ご容赦頂けますようお願いいたします。

それでは、居初つな先生の制作された「奈良絵本」って何やねん? ということですが、弊方も用語としては聞いたことがある程度で、詳しいことは存じ上げておりませんでした。

美術/学術用語としては、「奈良絵本・絵巻」として用いられているようでしたので、インターネット上で安直に検索した結果、弊方が分かりやすいと思いました、国文学研究資料館の下記の解説PDF(リンク)を紹介させて頂きたいと思います。

「デジタル書物学 II 第9回」https://www.nijl.ac.jp/activity/img/20210227seminar9-2.pdf

上記の解説PDFを制作されたお方こそ、本展の監修者でもいらっしゃる偉大なる石川透先生(慶應義塾大学教授)です。先ほどの展示資料リスト写真の「開催によせて」の末尾にも、「展覧会監修者」として石川透先生のお名前がバッチリ掲載されております。

上記のリンク先から念のため引用させて頂きますと、奈良絵本・奈良絵巻とは、「室町時代後期から江戸時代中期(16世紀半ばから18世紀初め)にかけて制作された直筆・手彩色の絵本や絵巻。」(PDF第2スライド第2-3行)とのことでした。

それでは、「奈良絵本・絵巻」作家としての「居初つな」先生とは、どのような方だったのでしょうか?

ここで、本展「世界初の女流絵本作家? 居初つな」展では、図録は作成されておりませんでしたので、何か参考になる文献がないか安直にインターネットで検索したところ、弊方にもわかりやすそうな書籍として、石川透先生の著作である、平凡社選書 237 『奈良絵本・絵巻 中世末から近世前期の文化』(2022年、ISBN978-4-582-84237-1)が発刊されていたことが明らかとなりましたので、購入させて頂き、拝読させて頂きました。

まずは、本展でも解説されておりましたが、「奈良絵本・絵巻」の「常識」について、僭越ながら『奈良絵本・絵巻 中世末から近世前期の文化』から下記の通り引用により紹介させて頂きます。

奈良絵本・絵巻の制作については、一つの常識があった。特に挿絵と本文が完全に分かれている作品は、挿絵も本文もそれぞれの専門職人が制作している、ということである。そして、職人といえば男性、という認識があったのか、両者ともに男性が制作したと考えられていた。

『奈良絵本・絵巻 中世末から近世前期の文化』第45ページ第3-5行

ところが、この「常識」をひっくり返した偉大なる存在こそが、本展の「主役」、偉大なる居初つな先生であったとのことです!!!

この点については、別の書籍、『アメリカに渡った物語絵 絵巻・屏風・絵本』(人間文化研究機構 国文学研究資料館編、株式会社ぺりかん社、2013年、ISBN978-4-8351-1342-7)に収録される論文「源氏絵・奈良絵本にみる王朝文化」から、僭越ながら次のように引用により紹介させて頂きます。本論文の執筆者も偉大なる石川透先生でいらっしゃいます。

(ニューヨーク公共図書館)スペンサー・コレクションには、奈良絵本『源氏物語』五十四帖が蔵されている。奥書や署名はないが、その本文の筆跡や挿絵の描き方から、貞享・元禄年間(一六八四~一七〇三)に往来物作家として活躍した居初つなが、五十四帖の本文と挿絵を全て執筆していることが判明した。これまで、本格的な奈良絵本や絵巻は、男性の書家や絵師が、分業によって制作したと考えられていたが、女性が一人でその両方を制作していたことが明らかになったのである。居初つなは、『源氏物語』以外にも大量の奈良絵本や絵巻を制作していたことが判明しており、日本における最初の女性絵本作家といってよい存在であると思われる。

『アメリカに渡った物語絵 絵巻・屏風・絵本』「源氏絵・奈良絵本にみる王朝文化」石川透
同書第154ページ第9-14行(冒頭の括弧内は引用者による補足)

オーマイガッ! 何ということでしょう!!!

本来ならば分業体制である奈良絵本・絵巻において、偉大なる居初つな先生は、文章も絵もお一人で制作されていたとのことです!!!

しかも、しかもですよ! 居初つな先生がご活躍されていた時期は、貞享・元禄年間とのことですから、居初つな先生は、今から軽く300年以上前の時点で、すでに「萌えキャラ」(弊方私見)をお描きになっていた、ということになるのです!!!

おぉ、偉大なるマルチクリエイター・居初つな先生! 萌えキャラの歴史が17世紀末頃まで遡るとは(弊方私見)!! おっさん激萌え!!!

・・・あかん、興奮して血圧と血糖値とγ-GPTと見えない方の片目の眼圧が上昇してしまいそうです。 おっさんになるとイヤですね。

本展の展示資料の大半は「個人蔵」で、ごく一部が松花堂美術館(No. 18,30)または奈良県立美術館(No. 22)の所蔵資料でした。明確な言及はありませんでしたが、個人蔵の大半が石川透先生の所蔵ではなかったか、と弊方は妄想しております。

なお、『アメリカに渡った物語絵 絵巻・屏風・絵本』は、2013年発行なので10年前の書籍ですが、比較的最近に購入して拝読したはずなのですが、愚かにも居初つな先生に関して全く気付いておりませんでした。弊方ボケてますね。

さて、先ほどの通り、本展には図録がないとのことでしたので、弊方、展示解説の要部をエンピツ舐め舐めしながら(例えです。実際には舐め舐めしておりません。)書き写し(メモ)させて頂きました。

当初は書き写しを再録していたのですが、軽く10,000字を超えましたので、展示室隣接の回廊(廊下?)のパネル展示などステキだったのですが、控えさせて頂きました。

貞享・元禄年間(1684~1703)には、木版印刷によりさまざまな書籍が発行されていたそうですが、当該書籍の文字を担当する「筆耕」のお名前は一定しなかったり記載されていなかったりすることが多々あったようでした。それを石川透先生は、筆跡鑑定から居初つな先生の著作であると鑑定または推測されていたとのことです。

展示資料の中では、例えば、資料No. 2『女実語教 女童子教』、資料No. 6『女今川』、資料No. 8『歌林金葉抄』、資料No. 9『西行四季物語』などの出版物が該当するようです。

特に、『女実語教 女童子教』については、女子用の手習い手本を男性が作成することが多いにも関わらず、本書は女性である居初つな先生が執筆して出版されたことは特筆される、とありました。改題本などの形で出版が繰り返されたとのことで、居初つな先生の著作は広く支持された模様です。

また、資料No. 10『西行物語』宝永2(1705)年本は、明治の頃まで版を重ね最も流布した書籍だそうですが、近年、居初つな先生の筆耕本とする見方が示されているとのことでした。

さらに、木版印刷ではなく直筆の書作品として、資料No. 14『平家物語』(写本)、資料No. 15『沙石集』(写本)、資料No. 27『奈良絵本 伊勢物語』(挿絵は別の絵師による筆)、資料No. 29『伊勢物語』などが展示されておりました。

さらにまた、書だけでなく書画の作品として、資料No. 16『女三十六歌仙』、資料No. 17『女百人一首』、資料No. 22『雛形絵巻』、資料No. 23『女房十二歌仙絵巻』、資料No. 28『奈良絵本 伊勢物語』、資料No. 33『奈良絵本 徒然草』などが展示されておりました。

弊方的な珍品として、資料No. 24『徒然草 抜書』という、上下2冊からなる豆本も展示されておりました。「徒然草」から書き写した文章を1面6行で記載したもので、挿画も含まれておりました。居初つな先生の豆本は、他にも「源氏物語」が存在するらしいとのことでした。

さらにさらに、展示作品リストには掲載されていないのですが、後期展示において「追加展示」された居初つな先生の作品として、『徒然草』上下2冊(写本、挿絵なし)と『消息(しょうそく)手本巻(てほんかん)』が展示されておりました。

特に後者の『消息手本巻』は、10通ほどの肉筆の消息文を1つの巻子にまとめたお手本集のようなものだそうで、非常に珍しく、オーダーメイドのお手本ではないか、との見解が示されておりました。

さて弊方、個人的に、衝撃というか激萌えであったのが、資料No. 21『百人一首かるた』でした。

この『百人一首かるた』は、読み札と取り札の各100枚が帙に収められ、さらに木箱に収められているという重厚な作品で、第100首目の順徳院の下の句を書した取り札の裏面に、「居初氏廉女書画」と署名が記載されているそうです。

前期展・後期展のそれぞれで、覗き展示ケースに読み札と取り札の46対が展示され、行灯展示ケースに4対の読み札と取り札と、さらに帙および木箱が展示されておりました。おそらく前期後期で全100枚が全て展示された模様でした。

読み札と取り札をそれぞれ取り合わせると、「散らし書きが呼応し、優雅な雰囲気を作る」と評されておりました。有難いことに、第17首目の在原業平さまの読み札および取り札と、第59首目の赤染衛門さまの読み札および取り札が絵葉書になっておりましたので、おっさんゲット(購入)させて頂きました。僭越ながら、弊方の微妙なガラケー的なガラホで撮影させて頂いた画質の悪い写真を掲載させて頂きます。

如何でしょうか。偉大なる居初つな先生による優雅な雰囲気を少しでもご実感頂けたでしょうか。

絵葉書となっている在原業平さまは、言うても美形の男前で歴史的に著名な方でいらっしゃいます。例えば、偉大なる灰原薬先生の『応天の門』においても、業平さまはダンディー男前として描写されております。

しかしながら、しかしながらですよ、偉大なる居初つな先生の制作による、このステキ『百人一首』では、男性陣が全てイケメンだったのす(弊方私見)!!!

弊方、いろんなイケメン作品を拝見してきましたが、イケメンの蝉丸さまは初めて拝見いたしました!!! (残念ながら写真はございません。)

なお、本展解説によれば、居初つな先生の百人一首かるたは、展示作品以外にも存在するそうで、居初つな先生は、依頼を受けてハンドメイド百人一首を制作されていたのではないか、とのことでした。

本展、ヲタクのおっさん的には激萌えでしたので、ぜひ再び居初つな先生の展覧会/企画展を開催して頂きたいと強く希望いたしております。

なお、昨年2023年10月4日-10日の短期間ですが、東京の丸善・丸の内本店4階ギャラリーにて、慶應義塾図書館主催で「へびをかぶったお姫さま ー奈良絵本・絵巻の中の異類・異形ー」という企画展が開催されており、そこでも居初つな先生の作品が展示され、石川先生のギャラリートークも催されたそうです。また開催されそうですかね?!

それにしても、本来、分業体制で進めるお仕事を、お一人で実現されるなどというマルチなクリエイターは、現代でもなかなかいらっしゃらないのではないか、と思います。そもそも、分業の一つの仕事ですら、プロフェッショナルのレベルで実現すること自体が難しそうです。

現代において、そのような分業体制をお一人で実現される方として、どのような方が知られているのでしょうか。

いろんな方がいらっしゃるのかもしれませんが、弊方がすぐに思いついた偉大なるマルチクリエイターとは、偉大なる次のお方でした。


(チャンネルにリンクさせて頂いております。)

そう! バーチャル埼玉県民にしてリアル埼玉観光大使をお務めになっておられる!! かの偉大なるバーチャルユーチューバー、すなわちVTuverの春日部つくし先生です!!!

VOICEVOX(略称ボイボ)の第2期生であらせられる、いとこの春日部つむぎちゃんでも知られているかと思います。

愛称「つっく」! お好きな食べ物が「カレーと彩果の宝石」! ファンネームは「バッ埼(バーチャル埼玉県民)」! 人呼んで「好感度の鬼」(by 冥鳴ひまり先生)!!!

さらに、つくし先生の「マスコットフラワー?」が次に引用させて頂く「あーしの花」です。

おぉ、禍々しくも愛らしい、まるでオディロン・ルドン(Odilon Redon)先生の作品を彷彿とさせる斬新なデザイン!!!

一般的に、VTuberの方々は、キャラクターデザイン、2Dまたは3Dモデリング、お声の担当がそれぞれ分業体制になっていることが多いようです。

しかしながら、偉大なる春日部つくし先生は、全てお一人でご担当され、さらにはプロデュースもご自身で行われているという、たいへんなマルチな才能を発揮されておられます。まさに、令和における「居初つな」先生のような偉大なる存在!!!

ということで、弊方、偉大なる春日部つくし先生に対して、「令和のデジタル居初つな」という一方的な私設「名誉称号」を一方的に奉って一方的に尊敬申し上げたいと思います。

居初つな先生のことを存じ上げなければ、何か全くわけがわからないと思われますし、たいそうご迷惑かと思われますが、なにとぞご容赦頂ければと思います。

なお、春日部つくし先生におかれましては、さまざまなグッズを企画して販売されているのですが、日本絵画一愛好家として、ぜひ春日部つくし先生の「グラビア写真集」(すなわち「画集」)を企画して頂きたいと強く妄想いたしております。

YouTube のライブ配信のサムネイルだけでも、つくし先生の「グラビア写真集」(すなわち「画集」)を十分に制作できるほどではないかと弊方考えております。

ひとつ懸念があるとすれば、活動初期頃における、麗しくも刺激的なセクシーばんそうこうのご衣裳をお召しになったお姿をどうするのかという点が挙げられるかと思いますが、弊方思いつきました。おっさん週刊誌御用達の「袋とじ」で対応して頂くというのはいかがでしょうか?! 発想がおっさん過ぎてダメですか、そうですか、そうですね。申し訳ございません。

居初つな先生と春日部つくし先生に激萌えして、調子にのって10,000字を超えてしまったので、なんとか8,000字を下回るように収めました。アホで申し訳ございません。


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