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終わらない「『プラットフォーム資本主義を解読する』を解読する

  最近、ヤニス・バルファキスの著書「テクノ封建主義〜何が資本主義を殺したか」が話題です。邦訳は出ていないので、あちこちで本人が語っている記事や日本メディアの連載を読んでみると、プラ解と同じような危惧と認知資本主義で書かれていたような、旧来の資本主義の終わりついて書かれているようです。

上記記事は会員記事であるものの、無料会員登録で読めるので是非。昨日、こちらからの引用をMastodonに投稿したので転載します。

 わかりやすい例を挙げるなら、「アマゾン」のアレクサだ。アレクサが何のポータルなのかといえば、それは人々の好みの形成や充足を担う、全体主義的で、完全に中央集権化されたシステムへの入口なのだ。
 まず、私たちは、アレクサに導かれながら、どうすれば自分たちの欲望を操れるようになるのかを、ひとつひとつアレクサに教え込んでいく。次に、アレクサは私たちが欲しがっているものを直接、売りつけてくる。そのとき実世界の市場は、完全にすっ飛ばされる。
 なお、私たちの行動を操るこの巨大なマシーンを成り立たせているのは、私たちの無償労働だ。私たちが無償でレビューを投稿し、商品を評価しているのだ。

https://courrier.jp/news/archives/341814/#paywall_anchor_341814

 先日の、#プラ解 イベントでもお話させていただいたアレクサ。
プラ解の「chapter10 プラットフォーム資本主義の光景と新封建主義の傾向」の章にある『ユーザーは「消費者」「資源」「労働者」「製品」になる(p142)』と同じことを言っていますね。
またこの章を書かれた水嶋一憲先生とバルファキスは表現は違いますが同じ未来を見ている気がします。

 私の議論の中心には皮肉がある。それは資本主義が資本によって殺されたという皮肉だ。ただし、資本主義を死に追いやったのは、産業革命以降、すっかりお馴染みになっていた旧来型の資本ではない。資本主義を死に追いやったのは、新しいタイプの資本、ここ20年で登場した変異バージョンだ。

 これが旧来型より圧倒的に強力だったので、まるで過剰に増殖するウイルスのように、宿主を殺してしまったわけだ。このクラウド資本という変異バージョンの資本のせいで、「市場」と「利潤」という資本主義の二本柱が破壊されている。

 もちろん、いまも市場や利潤のふたつはあちこちに残っているが(それは昔の封建時代も同じだ)、現在の経済・社会システムの中心から周縁へ追いやられ、別のものに取って代わられている。

https://courrier.jp/news/archives/341814/#paywall_anchor_341814

 この「すっかりお馴染みになっていた旧来型の資本」から「ここ20年で登場した変異バージョン」の間に、認知資本主義が入るかな、と思いますよね。先日のイベントでも話に出た「HIPHOP誕生50年」「ミヒャエル・エンデのモモが出版されて50年」そして山本先生から出た「チリ・クーデター(新自由主義の誕生)から50年」と50年前の旧来の資本主義の終わりの始まりの話をしましたが、今ここから先の50年も、もう始まっているのだなあと、改めて思いました。このバルファキスの本も邦訳が待たれるところですが(ナカニシヤ出版から出ればいいのに!)、待ってる間に改めて認知資本主義から読み返すのもありだなと思いました。

バルファキスのテクノ封建主義とプラ解と認知資本主義、そしてAI監視社会などと絡めて気になる所を書いておきたいなあと思っていたのですが、イスラエルとハマスの紛争が深刻な状況になり、これもまた繋がるところもあるなあと思っていたら頭の中が収集つかなくなってきたので、とりあえずここまで。プラ解イベントは終わりましたが、本書をツールとする生活はまだまだ終わりそうにありません。ではまた。

※10/23追記
プラ解、chapter10の水嶋先生の章にそもそも、バルファキスが引用されていたのですね。見落としていました。

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