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入院雑記

 高熱と呼吸困難で日曜日深夜に救急車を呼び、そのまま木曜まで入院しておりました。だるい、微熱っぽい、食べるとムカムカする、というのは疲労あるあるだと思うのですが、その全てが振り切れて、1日で39℃を超え、食べるどころか水はもちろん唾液を飲んでも吐き、喉は激痛で腫れ上がり口呼吸が出来なくなり、下半身は切り離したいほどの痛みとしびれ。コロナで急変して自宅で亡くなった方のニュースが頭によぎり、119番にかけて気付いたけど、喉が潰れて話せない。一回気が動転して切ってしまったほど驚いた。が、相手はさすがプロ、うー、とか、あー、で答えられるような質問と、こちらが一音一音絞り出すのを待って理解いただき、無事救急車は我が家まで辿り着き、乗り込む事ができたのでした。
 救急搬送されて入院していた病院は耳鼻咽喉科が無かったので、退院した足でCT画像と検査結果と紹介状をもって行った耳鼻科で「喉頭蓋嚢胞」という病気であったと判明しました。喉の一番細い部分に急激に炎症が広がるという事で画像を自分も見てびっくりしたのですが、ほぼ気道が塞がりそうな箇所とかあって、耳鼻科の先生曰く「死ぬところだったよ。救急車呼んだのも、担当の先生の対応も正解。」
 苦しくて苦しくて、自分でも死を意識して救急車を呼んだけど、本当に死ぬところだったと聞かされて、救急隊員さんや入院した病院の巡りあわせで生き延びれたタイミングと運に感謝すると同時に、本当に命って何なん?と思う。
 巨摩(柴犬、享年14歳)の晩年、卵巣癌手術~寛解から心臓病からの失明からの痴ほう症で、何度も何度も、もうダメかを乗り越える姿に獣医さんが「命に縁がある子だねー」って言ってて、本当に巨摩より症状が軽く見えた子が急速に悪化して亡くなったり、体質や治療やかけた金額とか全く関係ないところで命って消えたり続いたりするなーって思ったこととか思い出した。今は世界中が命って何なん状態なので、願わくばすべての生き物に命に縁があってほしい。

 病気になったことや入院した事は今回が初めてではありませんが、今このタイミングと自身の状況から色々考えていたこととシンクロする事が多かったので書き出してみます。

①入院手続きについて
入院申込書に連帯保証人欄があったり、緊急連絡先記入欄が当たり前のように「(氏名)(続柄)」となっていたり、他にも備品、衣料品類の用意などで、「ご家族はいつ来れるか」「ご家族は…」「ご家族は…」苦しい時に呼べば飛んでくる家族がいない身にこれは辛かった。
 ご家族がいない人、いても親交のない人、避けたい人にはハードル高いなこれ、と思いました。また以前入院した別の病院はそういう連絡先や保証人の類が「友人」でも良かったので全部が全部の病院では無いと思いますが、同性パートナーがいざという時に親族から疎外されてしまう問題と同様、一人で生きていく人にも中々難しいなと思いました。18歳未満で独居の場合とかもっと大変だろうな。健康である事が大事なんだけど何があるか分からないから、こういうとこも準備が必要だと思いました。準備というより、もっと緩やかな制度であってほしいというか。お金があったとしても「家族がいないと」となってしまうのは辛い。一人でも誰とでも医療や命が保障されるようにあって欲しい。

②ペットのこと
とりあえず家を出るときに2日分くらいのご飯と水の用意はしたけれど(甘かった)、いざという時に預けられる、または世話を頼める人か団体に繋げておかないといけないなと思いました。
自動給餌器や水やり器も買っておこうとは思いましたが、死んでしまった場合これじゃ解決しない。とりあえず超機嫌は悪かったけど元気にサバイブしてくれた猫2匹に感謝です。

③入国管理局のこと
 先日の名古屋入管でのスリランカ女性が本人も支援者も体調の悪化を訴えていたにも関わらず、適切な対処がされたと思われずそのまま亡くなってしまった事件を思い出しました。(入管による人権侵害・命の軽視で亡くなってしまった方、苦しい状況に置かれてる方は沢山います)
 苦しさを訴え、血を吐き、命の危険を感じていた女性。私も同じ状態にあって、でも私は日本国籍を持つ日本人なので医療に繋がれて、医師にも看護師さんにも気遣ってもらって不調や不快を取り除く努力をしてくれる人に恵まれた。やはりこれはおかしい事だなと思う。私がもしあそこでそのまま部屋で一人で苦しんでどんどん気道が塞がって窒息死していたらと思うと、それを回避出来た筈なのに「しなかった」入管の対応はまた次が出てしまう前に今すぐ変えなきゃいけないほど。相当問題があると思う。色々報道されてるけど最期を思えば思うほどつらい。
 この女性は日本で生活してやりたいことが沢山あった。自分の命が消えていくところを見ながらひとりで亡くなって行った。それが自分たちの税金も運営費に含まれている国の施設で起きたということ。つらい。

④ホームレス状態や貧困から医療に繋がることを躊躇・拒否・敬遠する人のこと
 さて、今回私はたまたま職についていて、支払をするつもりでお財布に現金も多めに入っていたのでそのまま入院する事になったとしても、ま、行けんだろうと思ったのですが、③の場合は自分が不調を自覚し治療を受けたいと訴えているのに相手が放置するという本人以外に問題があることですが、こちらは当人の判断の問題で、もし私が今無職でお金が無かったら救急車を呼んだだろうか?、仕事も家もなくして路上で過ごしていたら体調が悪いと病院に行っただろうか?。
 周りが病院に行こうと言っても拒否する人もいて、そのまま亡くなってしまったりする。お金がない人、保険証がない人でも医療を受けられる病院は少ないけどある。私の答えとしてはもしお金が無くて、相談できる人もいなかったら制度や機関を頼る。使えるものは何でも使う。他人への迷惑をかけること、うしろめたさや負い目、色々あると思うけど、命の前には全部どうでもいいと思う。命は権利と紐づいて人権なのだから、誰も生きて良くて、まずはどんな手段でも命を確保してから悩めばいい。
 と言えるのも私は「知っている」からなんだよね。職についているけど非正規で時給だから今月後半の給料は入らないけど「傷病手当金」を申請すれば全額ではないけど病気で出歩かない分イーブン位の収入は得られる。
もし無職や困窮状態だったら「低額療養所」(下記参照)へ行く。あと知っとくと、やばそうな人を見かけたときに「こんなのあるよ」って言えるし。

⑤女性が一人で生きていくということ、老いていくということ
 入院2日目以降、体調が落ち着いて来て友人や同僚とSNSのやり取りをしていて、皆心配してくれてるのは一緒なのですが、同世代(中年)の女性は押しなべて、これからは落ち着かないと!好きなこともほどほどに!という言葉も。心配から来ているのは分かるけど、落ち着いて好きなこともほどほどに(多分、スナック社会科をやることととか、色んな所に出向くことなどを言っている)して、それで得られるものは何か。健康、長生き、貯金、そんなところかな。好きなことをセーブして何かを残すための生活が悪いとは思わない、子供がいる人はそうなる時期もあるだろうし。
 でも多分、好きなことをセーブすることと、老後の保障や安心って関連がありそうでない気がするんだよね。いま実際、つましく頑張ってきた果てに困窮してる高齢の方が沢山いるわけだし。
で、そういう心配してくれる人は大体が所帯持ちで、余計にあいつは一人でいつまでフラフラしているのか心配に駆られてしまうという、ありがたいことだーと思うんだけど、多分私はこのまま一人で生きていくと思うし、これからどんどん単身世帯は増えていくと思うんだよね。
 それがなぜ心配されるかというと、今回のように何かあった時に大変、老後働けなくなった時に女性一人では生きていくのはハードとかそんな所で、それは自分でも心配しているから良く分かるんだけど、それが世帯を持つことで万事解決するかというと、しない。たまたま今心配が少ない状態であるという事がその人の選んだ生活形態が正解ということにはならない。いつもどんな時も「状態」が断続的に続いているだけで、永遠にずっとは何事にもない。ならば、その時ある「状態」がよりよくあるように、それを明日に渡せるように、小さなことも大きなことも自分で選択し続ける体力みたいなものを絶やさないようにするというのが一番大切なんじゃないかと思ってる。そこを放棄してしまっている年配の人は身内の内外を問わずよく見る。安全圏にいると信じて、不安を見ないことに専念する。そういう人からは心配どころか上から説教されたりする。
 そうではなく、所帯持ちだろうが単身者だろうが、必要な時は声を掛け合って、お互いの位置から見えるものを交換し合って行けたら良いと思う。ブーブー言いながら心配してくれる中年の女友達たちのように。そして、女性が老いて一人で暮らしていても、犯罪に巻き込まれず、最低限の生活は保障され、体がおぼつかなくなっても好きなことをあれやこれや思い浮かべて生きられるような世の中であって欲しい。
このラストシーンが理想。

思ったことを書き連ねて長くなってしまいました。時間はあるし。入院してた病棟が元々は緩和ケア病棟のところで、多分このコロナ禍で発熱病棟になっていると思うんだけど、大半の人が最期を過ごす緩和ケア病棟という所にいたことで考えたことも沢山あったけど、また余力のある時に。

とりあえず、無事生還したので引き続き宜しくお願い致します。
メッセージをくれた皆様ありがとうございました。

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