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雑日記:『スーツを買いに』

友達の結婚式に出るために、スーツを買いにいった。おそらく9、下手したら10年ぶりくらいに。仕事柄スーツを着る機会があまりなかったのだが、たまに所用で着ると肩まわりがパツパツになっていることが気になっていたので、いい機会だと思った。

前のスーツを買った時は役者をやっていて、身体も筋肉質だったし体重も今より15キロ以上痩せていた。書き物が中心の生活になってから体型が変わったので、「今後何かあってもおそらくインドア系の仕事につくから、しばらく身体が変化することはなさそう…」ということを見越しての購入。たとえ急に筋トレに目覚めても、自分は元々筋肉がつきにくいので、そこまで太くならないだろうし。(腹だけはマジで気を付けていきたい、腹だけは)

対応してくれた店員さんがノリノリで、服が好きなのが伝わってくる熱量で接客してくれたので、なんだかんだ楽しく購入できた。自分も普段着ないので、どんな状態がベストなのか知れてよかったな。鏡越しでみた自分は、昔よりスーツが似合っているような気がした。店員さん曰く「肩幅があって男らしい体格」だそうだ。男らしい、なんて言葉ひさしぶりに聞いたような気がした。そして、それが自分に向けられるとは。でも自分でも身体つきがなんだか男だなと思う機会が増えたので、納得した。

自分の心は性別という概念で規定されていなくて、「男だな」と思う時も「女だな」と思う時もある。しかしながら、この心が入っているボディの属性は「男」と認識している。ポケモンのタイプとかモンハンの武器とか、そんなイメージ。ボディタイプ、という認識だから、特性や習性は理解している。しかしそれと中身は別。中身は性別なんてカテゴリーで捉えられないでしょうよ。人の心って複雑だもの。そういう考え方で、生きている。

ちょっと前までは、ボディに対して違和感があった。なんでこんな身体なんやろ。でかいし、かわいくないし、特に魅力も感じなかった。というか、興味がなかったのかな。ただ周りからの評価が良い自分でありたいために、見た目に執着していた時期もあったけど。それも通り過ぎてしまって(見た目の競争から降りることによって)実際冷静に見つめた自分は、ほんと、宇宙人みたいだった。

けどコロナ禍、服を調べることにハマって、いつもよりちょっと良いものを買うようになってから、服のために、自分のボディと向き合うようになった。そして、ようやく自分の形を捉えられた感じ。いや、捉えられたというより、受け止められた、かもね。

店員さんから言われた男らしいって言葉は、嫌な気持ちはしなかった。自分の認識と世界の認識が符合したようで、ちょっとすっきりした。

スーツは、昔好きだった人に「似合ってない」と何気なく言われた言葉が残っていて、絶対着ない仕事をしようと思うほど、距離を置いておきたいものだった。年月を経て、体格が変わり、そして意識が変わり。スーツが似合うかも、と思うまでになったんだな。そんな話を殴り書きしてみた。

…というか友達、結婚するのかよ。みんな結婚していくな!おめでとう!この数年の間にもいろんな友達が結婚したけど、自分の好きな友達たちを選ぶなんて、相手はみんなお目が高いよ、ほんと。ずっと笑っていてくれ、友達たちよ。


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