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2022年振り返り

ここに書いてないことも色々あったけど、ざっくり振り返ります。

1月

・年始に見た夢で舞台のプロットを作る。水に沈んだ学園で鍵を探す話。その公演は一度しか上演されず、終演後劇場を出たらロビーはすでに撤収されていて、ネットにアップしていた情報はすべて削除され、公演ごと夢のように消えてしまう…というアイディアだった。(のちに予算を組んでボツになった)

・中山可穂の「白い薔薇の淵まで」読んでどっぷり嵌る。(今年は中山可穂作品をたくさん読んだ)

・2月のコミティアに向けて小説『Sweet  Cocoon(仮)』を描こうとしていた。が、結局まとまらなかった。「名前のない少女」と「名前のありすぎる女」の話、というコンセプトは気に入っているので、機会があったら形にはしたい。

・ぼんやりと過ごしていたような気がする。去年音声作品を立て続けにリリースしていたこともあってネタに悩んでたこともあり。何か変わるきっかけを欲しがっていたような。(これは通年かもしれないが…)

2月

・執筆したり企画を作ったり収録したりの日々。

・この辺りで「はつこいリターンズ」の企画を進めたり「イルミラージュ・ソーダ」の構想を考えた記憶。

・ヘブバンがリリースされたのでガッツリプレイする。月歌・ユッキー・めぐみんの三角関係妄想が捗る。2章終わり「ユッキーがぐずっている間に、めぐみんが月歌を慰めに行き、部屋の外でめぐみんとユッキーと鉢合わせして…」みたいな走り書きがあった(業)

・「バーで公演をやってみたいかも」となり「恋が消滅した世界で、恋をしたい人が集うバーの話」を考え始め、打ち合わせしたりした。しかし乗り切れず途中断念。演劇をやるべきかのか悩む日々。朗読公演もやりたかったので、そちらは進むことに。

3月

・「イルミラージュ・ソーダ」の執筆作業に入る。とにかく今までとは違うものを、ということだったので、どう書いたらいいものか…。手探り状態が1ヶ月以上続く。

・平行で朗読公演のネタや他の脚本作業も進める。この辺りから同時に抱えているのが当たり前になる。書き物ばかりでちょっと他のこともしたいという気分にもなる。

・朗読の会場下見したりした。久しぶりに会場巡りしたのは楽しかったな。演目は場所と時代と密接に関わるので、どこで上演されたのかというのは、大事なのだ。

4月

・「仮恋りみっと」と「ユメリリ」発売。1ヶ月で新作が2本リリースされる。どちらも自分にとって大事な作品。価値観を変えられた。

・「仮恋りみっと」
恋人状態から始まるものが通例だった百合体験シリーズに、「恋人(仮)状態」という状況を付加させて、恋人になるまでの関係性の流れを作ろうとした。これによってより恋愛シュミレーション的になり、付き合うまでの情緒という不安定でありながら切なる部分を描きやすくなったと思う。「仮恋」を作ったことで、今年の音声作品へのアプローチが決まったように思う。

高橋花林さんのお芝居がとてもよくてこの巡り合わせも大きい。遊びがふんだんに入っている豊かな声と表現。今年はキャスティングのためにいろんな声を聞いたのだが、高橋さんは声の質でまっさきに気になった人だったので、ご一緒できて嬉しかった。

もっと聞かれて欲しいのでリンクを貼っておく。

・「ユメリリ」
百合観察シリーズと銘打たれた本作。二人の関係性を介入することなく眺めていたいという願望から生まれた作品。ユーザーの方からも望まれていた形だったし、自分たちとしても挑戦してみたかったから作れてよかった。今作では感情を引き出したくて、少しだけドラマを描いてみたけど、ドラマのないものの方が需要があったりするのだろうか。

山根さんと根本さんの声とお芝居から、性格の違いやバックボーンの違いが見えて面白い。幼なじみで恋人だけど、普段つるんでいる友達や一日の時間の流れ方感じ方が違うとか想像できる。互いのことよく知っているけど人間として違うから、もどかしくもあり、そして愛しくもある。

個人的には内容も気に入っているし、熱い感想も頂けて嬉しい。けれども、もう少し売れないと次のシリーズを…というのが見えないのが現状。百合観察をもっと増やしたいし、自分も書きたいのだけど、現実の壁が厚い。

もっともっと聞かれて欲しいのでリンクを貼っておく。


5月

・7月に上演する朗読劇の出演者募集をかける。一週間という短い募集期間だったけど、思った以上に人が集まってくれて嬉しかった。久しぶりにfragment edgeの名前をつけてみた。リーディングキャラバンLagosでやるという話もあったのだけど、fragment edgeという自分に立ち帰りたかったところもあるかな。出演者のほとんどがこの募集で決まり、新しい作品が作れそうだとワクワクした。

・「イルミラージュ・ソーダ」の色々をやる。SE収録を手伝ったりなど。

・このあたりの記憶があまりにもない。イルミラージュの収録も終わっていたので燃え尽きていたのか…(そんなこと書くと怒られそうだけど)

6月

・7月朗読劇「片隅のエピローグ」情報公開とチケット発売スタート。席が少なかったこともあるけど、意外にも好調でとても嬉しかった。おかげさまで早い段階で満席になった。出演者が決まったので組み合わせをみて演目を決めて執筆。久しぶりの掛け合い朗読の執筆に苦戦。

・「イルミラージュ・ソーダ」発売。
構想・シナリオだけでなく、宣伝のスケジュールを組んだり、ライナーノーツを入れたり、ショートCMを作って頂いたり……色々と見せ方までやらせて頂いた作品。企画のあらましは同梱されているライナーノーツを読んで欲しい。

発売前までは不安と自信が半々という感じだった。受け入れられるのかという気持ち、だけど自分が面白いと思うものを割と冷静にやったらこうなってしまったしなあ…という逃れられない部分もあり。発売してから、たくさんのリアクション、レビュー、イラスト、MIXを作って遊んでもらったり、海外からも熱いメッセージを頂いて…。世に出せてよかったと思います。この作品を見つけてくれてありがとう。

サカナに声を宿らせた奥野さん、音で魂を編み上げた北さん、視覚で想像と深さを表現してくれたあおのなちさん。そしてこの企画に乗ってくれたSukeraSonoの皆様。すべてが噛み合って生み出された奇跡的なもの。だから二度と作れない(笑)けど記録音声にしたから、いつでも出会えるね。(よかった)

買って聴かないと何もわからない仕様になっているのだけど、前情報を入れないで聴いて欲しかったので、ハードルは高いけどこの形でよかったと思う。選んだ人にしかわからない世界がある、って言うのもいいかなって。サンプルでもレビューでも雰囲気でも、何かビビッときて、この作品が気になった人に出会って欲しい。(そっち方がきっと双方にとって幸せ)

ちなみにこれは買った人向けに。某信号の解読についての話がネットでチラホラあがっていたのだけど、あれは当初ちゃんと読める形にしていました。ほぼ正解を出していた人もいたかな。でもリリースする直前になって「頭を使って探されるの嫌…ちゃんと聞いて欲しい」と何処からか声が聞こえたので、あの形になりました。

世界的に聞かれて欲しいのでリンクを貼っておく。


7月

・朗読劇「片隅のエピローグ」の上演。久しぶりに公演を行いました。朗読劇を書いて上演までしたのは、2年ぶりだったかな。新作3本書き下ろし。稽古も回数は少なかったけど密にできて、お芝居のクオリティは高かったと思う。スタッフは大井さんと自分のみでやったので、色々ワタワタしたところもあったけど、それでも得られた経験は大きかった。本番音響オペとして参加して、役者のみんなと緊張感を一緒に共有できたのも、嬉しかったな。終演後、どんな形でも何を作っても、自分がやったものはfragment edgeになるんだなとわかって、それが自信になった。またお芝居やれたらいいね。

・「はつこいリターンズ!」を執筆(?)していたのかな。この時期。新シリーズということもあり、どう書いていくのか……ギャルとは……。となっていた。(まだ情報出せない脚本も書いているので記憶がごっちゃになっている気もする)

・BRIAN ENO AMBIENT KYOTOに弾丸で向かった。

8月

・執筆したり企画を作ったり収録したりの日々。

・12月に発売した「澪菜さん」はこの時期に執筆仕切った記憶。発売ベースと執筆ベースがずれているので、振り返りに困っている(白目)

・展示会行ったり映画みたり友達とあったりインプットが多かったのかな。

9月

・「はつこいリターンズ!恥じらうギャルは告白できない」発売。
イルミラージュ・ソーダでとある禁じ手を使ってしまった後の作品で、どうやったらええねん(自業自得)と思ったけど、結果的にはそのエッセンスも貰いつつ、また新しい形に仕上がったと思う。詳しくは下の記事を読んでほしいぞ。

本作の内容を立ち上げるとき、何かを失敗したことがある、何か諦めてしまったことがある人たちへのエールにしたいと思い、「一度失敗してしまったヒロインが、もう一度頑張る」というところからスタートしました。

Ci-enのコラムより

挫折した人、失敗した人に厳しい世の中だと常に感じています。でも人間はそんな綺麗に完璧に生きていけないとも思うんです。どうにもならない、どこかで彷徨っている感情・心が、報われたり救われたらいいなと祈り続けています。音声作品がある種の癒しであるならば、そこに触れられる何かにしたいと思った次第です。

本作のひより編であれば「あなたのことが好きなのに今までの関係性を壊すのが怖い、協調性が高いために周りに合わせて自分を繕ってしまう女の子」という彼女自身を見つめてくれたら、また始まる物語があるかもしれないですね。

立花さんの声とお芝居は、表向きのギャルな感じもよいのですが、その裏側を掬い取ってくれているような気がします。

今聞かないともったいないのでリンクを貼っておく。
(次も出るから予習もぜひ。すでに書き終わって収録も終わってます)


10月 11月

・相変わらず執筆したり企画を作ったりの日々。

・10月と11月がコンディション的に一番ダメだった気がする。何も手がつかない時間が延々と続いた。(だからまとめちゃうけど)不安定だったな……。筆を折ろうとしたみたいなツイートもしてしまった。まあいつも折りたいといえば折りたいんだけど、なんだかぜんぶ投げ出してしまってもいい気がした。

・そんな状況下で、人生の夢が叶う瞬間があった。面白い企画を一緒にやろうと言われてワクワクしてしまった。まだやれることがあるなら、やりたい。長くやれるかわからない以上、面白がれるものに飛びついていこうと思った。

12月

・来年の新作に向けての準備。大きいのから小さいのまで。4本はあるよ。全部世に出るといいなあ。

・「澪菜さんは甘やかしたい」発売。
今年最後の百合音声作品。個人的なテーマは原点回帰。百合体験シリーズの基本形を意識して作ってみました。タイトルの付け方や看病など含めてオーソドックスなものをやるという試みでした。今年は「かわいい」や「すき」を多用してきてしまったので、なるべくその表現を使わないように心地の良い関係性を描けたらなあと思って執筆に入りました。設定的にも関係性を明示しなかったのは、言葉や立場によって規定される何かではなく「ただ二人が二人でいるから良いよね」というものにしたかったから。個人的に「澪菜さん」にとっての手の意味を「私」が変えてくれたところが気に入っています。

澪菜さんを演じてくれた安齋さんは、前から百合作品が好きだと知っていて、いつかご一緒できたらいいなと思っていました。安齋さんはSukeraSono作品を個人的に聴いてくれていて(!)作品で表現したいナチュラルさの理解度が高かったし、声も看病ものという本作にマッチしていて、とてもよい出会いでした。あらためて「好き」であることは力になると感じたので、安齋さんの百合作品がもっと見たいと思いました。

さらに聞かれて欲しいのでリンクを貼っておく。

おわりに

簡単に振り返るつもりだったのに、結構な量になってしまった…!(誤字脱字見つけたら、ちょこちょこ修正します)

今年はどちらかと言うと暗闇の中にいたけど、諦めずに作り続けていたから見えた光もあった。

不安定な状況はまだまだ続くけど…。いつ作れなくなるかわからないので、将来的に誰かが掘り出せるように、形に残しておきたい。刹那的に消えてしまうもの、ルーティン…そういうのじゃない。びっくり箱のような驚きがあるもの、こんなことやっちゃうんだ…!ってワクワクするもの、化学反応が起きて予想外の景色に繋がっちゃうもの、そんな楽しい未来をやっていきたい。

今年で作家としての性質や癖の自覚が出てきたので、出来ないことは無理をせず、出来ること・求められていることを伸ばしていきたいと思ってます。

それでは良いお年を!来年もよろしくお願いします。

淡乃晶


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