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雑詩:『とき・かけら』

朝露のような涙

たしかに見ていたはずの夢 思い出せないけど夢の中にいたことは覚えている

朝の光 微睡む街をやさしく溶かす

シェアしない密やかなお守りがあっていい

誰もさわれないから踊れる

詩的になれない夜 灯すように叫んで

寒さや痛みを忘れるくらい包まれて

いつも揺られてばかりで飽きないね

1000年先のこと指切りした

月の裏側で待ってて こっそり落ち合おうね

いつか果てになって あなた 消えゆく感情だとしても

あの日の言葉を信じたいから生き続けている

何も増えず何も減らずおだやかに

さみしさの輪郭は骨張って背後で寝ている

慰め尽きた傷には透明な血と赤い涙で

めでる もぐる くぐる

意味を帯びる前に呼吸する

鏡になったあなたの瞳は何処へ行ってしまったの?

そっと重ねた手のひらから流れゆく夜の静寂

底にいるなら待ってるよ

涙の痕を指でなぞって そのまま離さないで

美しい張子を回遊する生き易さは落ち着かないぬくもり

猫が庭先で微睡む姿に自分を重ねたい午前中

触れたような気がしていた もう思い出せない

きみが置き去りにした眼差し  澄んだ冬の風と曖昧で懐かしい香り

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