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シリコンバレーは終わってない (102/365)

ここ数年、イノベーション集積地としてのシリコンバレーは終わった、これからはテキサスが、シアトルが、テルアビブが、深圳が、という論調をよく見かけますね。

シリコンバレーは終わってませんよ。

というか、シリコンバレーってどこのことですか?シリコンバレーが終わるってどこのなにが終わるんですか?

フェアチャイルド、インテル、アップル、HP、マイクロソフト、Google。この地の半世紀のイノベーションは、半導体⇒コンピュータ⇒ITサービスと進化してきました。原点である「半導体」にちなんで後にシリコンバレーと呼ばれるようになったのでしょう。

特に特定の場所を指しているわけではありませんし、施設や学校の名前に一部見られますが、「シリコンバレーを何とかしよう」という機運も、そもそもシリコンバレー振興財団とか見たことありません(もしあったら教えてください)。

一方、よく日本では、「〇〇のシリコンバレー」というキャッチフレーズの地域振興活動をよく見かけますよね。なんか違和感があります。だってシリコンバレーは、むしろオープンな考え方や挑戦の文化から語られるべきであって、無理やり地域活動に名前をつけるようなメンタリティはむしろ対極だと思うからです。

2000年初頭、リチャード・フロリダの「クリエイティブ資本論」が注目されました。「クリエイティブ・クラス」という新しい階級の人々はオープンなコミュニティとの緩いつながりを好み、環境のよい地域に集積する。その代表がシリコンバレーであったと言えます。

『よいプロジェクトをよい同僚とよい場所のよい空間でやりたい』

シリコンバレー「クリエイティブ・クラス」が集積したのはもちろん
、資本が集中していたなどの要因もありますが、実は単に、

気候がよかったから

かも知れません。きっかけなんて意外とそういうものです。ちなみに、本書は2012年に改訂版が出ていたようですね。今度読みなおすことにします。

「クリエイティブ・クラス」の台頭はアメリカにおいては、1990年代の大企業の大リストラがきっかけになっているという説があります。能力ある人々が会社に隷属する生き方に決別しこぞって起業に挑戦したといいます。

その後30年間にこの地で生まれたGAFAに代表されるキラ星のような企業をみなさんもよく知っているでしょう。そしていまシリコンバレーは、再びリストラ(レイオフ)の嵐に巻き込まれています。

これは私に二つのことを想起させます。1つめは、GAFAはもはや巨大企業であるという事実。2つめは、シリコンバレーが再び新陳代謝の段階に入ったと言うこと。30年前は、大企業で育った人々が野に出て現在のシリコンバレーのスタートアップ生態系を創りました。

今度は、スタートアップで育った人々がスタートアップ・ネイティブとして野に出て変革を起こすのではないでしょうか?シリコンバレーの次の章が始まると感じています。それは、「Generative AIだ!」というような表層的な変革ではありません。

予測もつきませんが、楽しみでなりません。そしてそんなムーブメントに少しでも関わりたいと思います。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。


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