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【映画】めぐり逢わせのお弁当を観ました (71/365)

めぐり逢わせのお弁当というインド映画を観ました。原題は The Lunchbox (お弁当箱)です。

インドには、家族が職場や学校にお弁当を届けるダッバーワーラ―と呼ばれる配達サービスがあります。もう100年以上の歴史があって、すべて人力なのですが、学者の研究によるとなんと、誤配率は脅威の1/600万!

あまりのシステムの合理性に、いまでも世界中から見学者が絶えないのだそうです。映画にも頻繁に配達のシーンが出てきますが、これで1/600万の誤配率とはにわかに信じられないおおらかなものです。

現代風に考えると、お弁当箱にRFタグをつけて、アプリで管理して、配送径路はクラウドで最適計算して、とか考えてしまいますが、案外シンプルでもしっかり設計されたシステムは機能するというよい例かもしれません。

さて、映画の方ですが、正確さを誇るダッバーワーラ―が、あり得ない誤配をしてしまうというちょっとした事件からはじまります。ここから先は一部ネタバレを含みますので、映画まだの方はぜひご覧になってください。

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物語は、娘を授かるも夫との関係が冷え切っている主婦のイラと、妻に先立たれた定年間近のしがないサラリーマン、サージャンが、あり得ないダッバーワーラ―の誤配を通して偶然つながるところから始まります。

素晴らしく美味しいお弁当に少しずつ心を開いていくサージャン。「とても美味しかった」というメモをきっかけに始まる、手紙を通した心の交流。二人の人生は交差していくのだろうか?

美味しいお弁当を介した1日1回の手紙。チャットが主流の現在と比べると、ゆったりとした交流がなんかうらやましいです。短い言葉を一言一言かみしめる感じはインスタントなチャットにはない深さを感じます。

ムンバイの街の日常が、庶民目線で美しく描かれていて、どこか戦後の日本のような懐かしさも感じます。在宅の老々介護や、孤児の問題なども出てきますが、それほど悲壮感はなく、ささやかな幸せを求める人々の小さなドラマに心洗われる思いがします。

インド映画特有の過剰演出や、歌と踊りもないので、そういうのが苦手な方にもお勧めします。

印象に残る台詞があります。

「間違えた電車でも正しい場所に着く」

インドの諺だそうです。ラストシーンは描かれず、余韻を残して映画は終わります。彼らはの行先はブータンなのでしょうか?

今日も最後までお読みいただきありがとうございました。


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