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KESHIHAN洞 J子インタビュー

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KESHIHAN洞 J子プロフィール

浜田J子の名前でも活動中。
徳島県海部郡牟岐町出身、小松島市在住のアーティスト。
徳島県内を中心に、ポスター、商品パッケージ、ロゴマーク、御朱印、名刺、チラシなどのイラスト・デザインのほか、消しゴムはんこ、ひょうたんフィギュア(ひょうたん人形)の制作などを幅広く手掛けている。
今回、J子さんにひょうたん島SUMMERTAXIのイラストを依頼する時、初めにお願いしたことがあります。

「今回のひょうたん島SUMMER TAXI事業に関わるみんなが盛り上がれるような、みんなの気持ちが鼓舞されるようなイラストにしてほしい」。

ところが、できあがったラフを拝見した時、NPO法人「新町川を守る会」理事長の中村英雄さんがなぜかカモメとして描かれていたことにちょっとした戸惑いを覚えました。

「なぜカモメなのか?」

話を聞いていくと、かわいらしい細部まで繊細に描き込まれた絵の裏側には、彼女のものすごい情熱が込められていたことがわかりました。
こちらの期待に見事に応えていただいたと感じています。

果たしてJ子さんがイラストに込めた情熱とは何だったのでしょうか?

インタビューをどうぞ最後までお楽しみ下さい。


キャッチコピー考案、イラストおよびロゴ・ロゴマーク制作、チラシ制作のディレクターおよび「おつるたん」の原案を考えて下さった、フリーライター・エディターの飛田久美子さんに心より感謝申し上げます。

特定非営利活動法人  阿波農村舞台の会 地域文化コーディネーター 島田

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KESHIHAN J子作 ひょうたん島SUMMER TAXI「全体マップ」

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                           戎谷真一氏撮影

●まずこの話の依頼がきた時、どう思いましたか?

⦅J子⦆
すぐ思ったのは、「ひょうたんつながりでようやくご縁ができた!」ということでした。ひょうたん島クルーズには以前何回か乗ったことがありました。両国橋ボートハウスを中心として、様々な面白いイベントやマルシェなどが開催されていることも知っていました。
私自身、ひょうたんフィギュアをかなり前から作って販売活動などもしていましたので、「なんで私を呼んでくれんのよ〜」という悔しい気持ちがちょっぴりありました笑。


●初めてNPO法人「新町川を守る会」の理事長 中村英雄さんにお会いした時はどう思いましたか?

⦅J子⦆
正直に言うと、第一印象は「おしゃれでかわいらしいお方」です笑。
中村さんが30年以上もかけて新町川をきれいにしてきたことや、いかに徳島のまちづくりに貢献してきたかを聞かされていましたし、たくさんの人たちが所属する「新町川を守る会」を率いるリーダーということで、猛々しい、ごりごりの男の中の男を想像していたのですが、よい意味で裏切られました笑。
お会いするたびに赤、白、青と変わるトレードマークのハンチング帽、おしゃれなカッコいい靴を履いていて(後から中村さんが東新町商店街で靴屋さんを営んでいると知りました)、来ているシャツもおしゃれでスマートだし。
それに加え「若い人に自分たちがやってきたことを引き継いでもらいたい」というようなことをおっしゃっていて、やっぱりスケールの大きな方だと感じました。

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●そうなんですね。でも、なぜ「全体マップ」の中で中村さんを鳥として描いたのですか?

⦅J子⦆
うーん、まず鳥が浮かんだんです。それもかもめですね。
「かもめの中村さん」笑。
新町川や吉野川を自由自在に飛び回るかもめのような人だなと。そこからさらに『かもめのジョナサン』が思い浮かびました。

かもめの中村さんラフ

●なるほど!『かもめのジョナサン』のストーリーを振り返りますと、主人公ジョナサンは、飛行することに魅せられ、ただひたすら速く、高く、自在に飛ぶための訓練を重ねますが、毎日餌を撮るだけの生活を送る仲間たちからは理解されず、群れから追放されます。
ジョナサンはそれでも飛行への情熱が冷めることなく、ある時2羽の輝くかもめによって導かれ、より高次元の仲間たちの中に入り、より高度な飛行技術や瞬間移動さえも習得する。
その後は元の世界に戻って自分と同じようなかもめを探し、教育し、彼の弟子は増えていくが、反対に異質なジョナサンを悪魔のように敵対視するものたちも出てくる・・・といったお話です。
「変わり者」、「狂人」として集団から追い出されたものが、さらに広い世界で様々な出会いと経験をして、天性の才能を開花させ、元いた集団へ戻ってきて、今度は「カリスマ」や「神」のように崇められるようになる。ただし、ジョナサンのような存在は、元の村社会的ルールに染まったものたちからは自分たちの存在を脅かす「悪魔」のように嫌われる・・・。

⦅J子⦆
中村さんが『かもめのジョナサン』のジョナサンであるとは思わないけれど、集団社会の中で「突き抜けた人」ではあると思う。
「川をきれいにしたい」という一心を貫き、行動し続けて、大勢の人の心を動かし、行動を促すところまで行き着けるというのは、ジョナサン的だなあと思いました。


●中村さんから『かもめのジョナサン』を思いつくとは、すごい発想力だと思いました!
イラストでは、かもめの中村さんがクルーズ船のハンドルを左手で握り、右手でななめ前方を指しています。船に乗せている人たちを先導しているようにも見えます。これはどういう意味ですか?

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⦅J子⦆
ここでも中村さんの「若い人たちに自分たちがやってきたことを引き継いでもらいたい」という言葉が私の中で鳴り響いていて。
このクルーズ船は、さまざまな人たちを乗せて、みんなの夢や未来に向かって進む乗り物であってほしいという思いを込めました。


●クルーズ船には、子ども、大人、お年寄り、男性、女性がそれぞれ乗っていますよね。これに関してはこちらのリクエストを聞いていただきました。老若男女、誰も取りこぼさないで乗せてほしい。今回のプロジェクトの公共的なスタンスを出してほしかった。

⦅J子⦆
そのスタンスはよくわかりました。


●また「全体マップ」の囲いの部分は版画のようにみえますが。

⦅J子⦆
これは手画きのイラストです。全部新町川に生息している魚類です。新町川・阿波製紙水際公園内の「満ち潮水族館」の写真を参考にしました。


●一つ一つ丁寧に描かれていて、とても味わい深いなあと思いました。やっぱりKESHIHAN洞J子独特の世界が出ていると思います。

⦅J子⦆
ありがとうございます。


「おつるたん」の制作について

●J子ちゃんはなぜひょうたんフィギュアを作るようになったんですか?

⦅J子⦆
今から10年前、あるマルシェでひょうたんが売られていたんです。
人形じゃなくて、生のひょうたんが笑。
それが形もすごく良くて、手にとってみた時、パアアとインスピレーションが降りてきて、人形を作ってみたい!と思ったんです。


●ひょうたんは日本では昔から魔よけなど「縁起物」とされており、民芸品のモチーフにもされてきました。外国でも人形やランプの素材に使われているようですね。

⦅J子⦆
以前、メキシコに行った時、博物館でまさにひょうたんで作ったひょうたん人形が展示されていたんです。それがとってもステキで、私のひょうたんフィギュア制作にも刺激を受けました。


●では、今回のように「傾城阿波の鳴門」の「おつるちゃん」のように誰か対象を設定して作ったことはなかったんですか?

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⦅J子⦆
何度かはありましたが、ほとんどありません。
実は「傾城阿波の鳴門」巡礼歌の段は、今まで北川農村舞台(徳島県那賀郡那賀町木頭北川  八幡神社)で2回観たことがありました。
その後出産して、今3歳の子どもがいるんですけど、子どもをもってから改めてこの場面を見たら・・・「おゆみさん(おつるの母)、一体何してんの?!」って、「母の視点」で見てしまいました。もうおつるちゃんが不憫で不憫で・・・。
それで、ひょうたんフィギュアの依頼を受けた時、「おつるちゃんが作りたい!せめて私が作るおつるちゃんは、子どもらしい、のんきで幸せそうな子にしてあげよう!」と強く思ったんです。

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●そうだったんだ・・・。「おつるたん」には、母性に突き動かされたJ子の強い創作意欲が秘められていたのですね。「おつるたん」の制作にはどのぐらいの日数がかかりましたか?

⦅J子⦆
1体あたり1週間ぐらいですね。造形自体は2時間ぐらいなのですが、色を塗って乾かすのにけっこう時間がかかるんです。顔や表情も気に入るものになるまで、何度も修正を加えました。


●「おつるたん」の色は何でつけているのですか?
髪型や頭は木偶(デコ)人形のおつるに比較すると、かなり強烈にデフォルメされていると思うのですが、どんな風に作っているのですか?

⦅J子⦆
アクリル絵の具を使用して色付けしています。「おつるたん」の髪型は、紙粘土とモデリングペースト(アクリル絵の具などの上から塗ると立体的なテクスチャーが作れる画材)を使って形作っています。


●そうなんですね〜。頭がとってつけたようにでっかくて、独特の足の形と大きさといい、全体で面白いバランスになっていますよね。表情といい、J子の世界観ならではの、何ともいえないかわいさがあります。

⦅J子⦆
自然のひょうたんを使っているので、写真の「おつるたん」は世界に一つしかない「おつるたん」なんです。1体、1体が世界に一つしかないものになっています。


●また別の「おつるたん」も見てみたいなあ。
今後、阿波十郎兵衛屋敷の徳島じょうるりショップでは「おつるたん」が販売される予定です!

⦅J子⦆
今回のSNS投稿キャンペーンに当選できなかった方は、ぜひ阿波十郎兵衛屋敷の徳島じょうるりショップで「おつるたん」を購入していただきたいです笑。

SNSキャンペーンチラシ(修正版)

ひょうたん島SUMMER TAXIに乗って、
SNS投稿キャンペーン「川から徳島のみりょくみぃつけた」に応募すると、抽選で2名に「おつるたん」が当たります!

●今日はお話をどうもありがとうございました。

⦅J子⦆
ありがとうございました!


徳島県内を中心に消しゴム版画、イラスト、ひょうたんフィギュア制作など、様々な顔で活躍を続けるJ子さん。

これからも独特の世界観で私たちを魅了し続けていただきたいです。




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