投資と身体:「腕組みの法則」の話。
投資に関する俗話の一つに、「腕組みの法則」というものがあります。
「企業のウェブサイトで社長が腕組みしていると株価が下がる」という法則で、ご存じの方も多いと思います。
根拠のない話とされていることも多いですが、私自身はこの話を初めて聞いた時に、面白い話だなあと思いました。
というのも、腕組みが習慣化している人の身体には、ある共通した特徴があるからです。
腕組みが習慣化している人=体幹部の緊張が強い
本来人間は、楽な姿勢を取ろうとすると、腕は自然と下げたくなるものです。腕って重いですから。
でも時として、腕を自然に下げると、かえって身体が窮屈さを感じてしまうこともあります。それが、体幹部の緊張が強くなっている時。
これはボディーワークを通じて学んだことなのですが、人は、お腹周りが緊張している場合は、お腹の高さよりも手が下に来るあたりから窮屈さを感じ、胸周りが緊張している場合は、胸やみぞおちよりも下に手が来るあたりから窮屈さを感じるようになっています。
腕組みも、こうした人間の身体感覚の特徴が生み出す現象の一つ。
体幹部の緊張が強い → 腕を胸やみぞおちよりも下げるとかえって窮屈に感じる → 腕組みをすることで身体が落ち着く
という因果関係が、無意識的・習慣的に行われる腕組みの背景にあることは非常に多いです。
ですので、腕組みが習慣になっている人というのは、体幹部の緊張が強くなっている可能性が高いです。
(厳密に見ようと思ったら、もちろんその人の全身を観察したほうが良いですが、腕組みの有無というのは一つの指標とはなり得ます)
体幹部の緊張が推察させるもの
体幹部の緊張が推察させるものは様々なものがありますが、経営・投資に関わるところでは、以下のようなものが挙げられます。
■ ストレスが蓄積している可能性
日常生活や仕事で感じている潜在的・顕在的ストレスが強いほど、体幹部の緊張は強くなります。
経営者がストレスで体幹を固くしている、というのは、投資対象を選ぶ上ではマイナス材料でしょう。
■ 判断・意思決定のセンスが落ちている
人間の判断や、意思決定というのは、非常に身体的な営みです。
論理的な整合性だけでなく、身体で感じる感覚や違和感を頼りに「なんだか変だ」「こうしたほうが腑に落ちる・スッキリする」などの判断をしていくことも非常に重要であることは、普段から重要な判断・意思決定をする立場にある方なら、肌感覚として理解されているのではないかと思います。
このような身体感覚による判断を行うセンスは、身体の緊張が高まると有意に鈍ります。そして、そのセンスが鈍ったことにより、日々の判断がおかしくなっていく経営者って、珍しくないのです。
ですので、経営者の身体が緊張しているというのは、企業の今後を占う上では、それなりのマイナス材料と言うことができます。
経営者の写真が示す「身体のありよう」は、投資判断の材料となる。
ここまで、
・腕組みは、体幹部が緊張していることの現れであることが多い。
・体幹部が緊張している人は、ストレスが蓄積していたり、判断・意思決定のセンスが鈍っていることが多い
ということを書いてきましたが、これらから導き出せるのは、
経営者が、体幹部を緊張させて腕組みをしている企業への投資には、少なくとも慎重になるべきである
ということです。もっとざっくり、
経営者の身体が緊張しているのは、投資判断におけるマイナス材料である
と言ってもいいでしょう。
そういう意味で、企業のホームページに掲載されている経営者の写真は、その人の身体のありようを示してくれるものであり、そこから得られる情報は、投資判断の材料として使えるものだと言えます。
また、それを腕組みの有無で判断しようとした「腕組みの法則」というのは、誰でもざっくりとした判断を行うための指標としてはキャッチ―で分かりやすいな、、、と思いました。
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