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帰化選手獲得・申請の手引き①(帰化申請中の選手獲得について)


2022年より帰化の許可基準が変更となり、大幅に厳しくなりました。

「帰化申請中の選手獲得を検討している。すぐに帰化許可がおりると説明を受けたが本当か?」について解説したいと思います。

結論は次の通りです。

「すぐに許可がおりる事はありません。」
「むしろ、移籍により帰化許可まで時間を要する事になります。」
「帰化申請不許可の要因が発生します。」

すなわち、帰化申請中の選手の移籍については、選手にとっても受け入れ側のクラブにとっても、デメリットが発生しますので慎重な判断が必要です。

〖デメリットとなる理由について〗

デメリット①

帰化申請受理=帰化許可ではありません。

帰化申請受理というのは、帰化申請を法務局に受理されただけであり、帰化が許可される事を保証するものではありません。

申請後に不許可になる事例や、申請を取り下げるよう法務局より指導される事例は山ほどあります。

帰化申請は届出制ではなく許可制です。

プロバスケ選手の場合、最も不許可となる要因として考えられるのが日本語能力です。

2022年4月より、帰化許可の審査基準が見直されており、許可基準が厳しくなっています。

もし、リスクを承知の上で獲得を検討されるのであれば、最低限「日本語の会話能力」は確認しておいた方がよろしいかと思われます。

試合後のインタビューなどで、通訳なしで受け答えができる日本語会話能力があれば、日本語会話能力についてはクリアできる、ある程度の目安になると思います。

もし獲得を検討されるのであれば、せめて選手と直接会話をして日本語で意思疎通できるか、確認をした方がよいかと思われます。

デメリット②

法務局へ提出した資料の一部を、提出し直さなければならない。



帰化申請受理中の選手が移籍した場合、申請時に就労していたクラブが変更となる為、法務局へ一部申請書類や資料の出し直しが必要となります。

出し直した資料を元に改めて審査をする為、審査期間は通常より2~3ヶ月は長くなります。

再提出が必要となる資料(抜粋)
・選手統一契約書(移籍先クラブの契約書)
・履歴書(その1)
・生計の概要
・自宅付近の略図
・勤務先附近の略図
・住民票
・在留カード(表・裏)の写し
・移籍先クラブの給与明細書
etc…

これらの資料を移籍後に再度提出して、改めて審査となります。
就業先の変更に伴い、収入要件などについて法務局は改めて審査をする事となります。

住居移転に伴い、新住居地に法務局担当者が自宅訪問をする場合もあります。

その為、審査は確実に長くなります!

デメリット③

法務局から前クラブに、契約解除理由のヒアリングが入る可能性があります。

デメリット④

ビザの在留期間の問題。

2022年4月以降申請分より、就労ビザ(興行)の場合、在留期間(ビザの有効期間)は原則、3年が求められるとされています。

3年のビザで帰化申請受理後にクラブを移籍したが為に、帰化審査中にビザの更新許可申請をして、在留期間が3年から1年に下がる事は十分にあり得ます。

デメリット⑤

審査をする管轄法務局の問題。

帰化申請の時期によっては、申請を一度取り下げて、移籍先クラブの住居地の法務局で、改めて申請を指導される場合があります。

例えば、千葉県の法務局で帰化申請をして受理⇒その後、東京のクラブへ移籍⇒千葉県の法務局での申請を一度、取り下げて東京の法務局で改めて申請になるケースです。

こうなると、移籍後に最初から審査という事になる為、移籍後1シーズン以内に許可がおりる可能性はかなり低くなります。

千葉県の法務局で審査が殆ど完了しているような場合は、そのまま取り下げせずに審査をしますが、上述した②のように資料の出し直しが必要となりますので、審査期間は確実に長期化します。

また、帰化申請中の選手だから、シーズン中には許可がおりるだろうと見込み選手と契約した場合、シーズン中に帰化許可がおりないといった事態も考えられますので、チーム編成にも大きな影響が発生します。

法務局は帰化許可の時期については教えてくれません。
まれに、審査が完了している場合に、選手に連絡が入る場合がありますがレアケースです。

また、このような審査後半で移籍した場合でも、②の一部資料の提出が発生しますので、直ぐに許可がおりる事はありません。

第二回に続きます。

帰化申請についてのご相談はこちら。

バスケットボール選手専門 帰化申請サポートチーム (basketball-kika.com)


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