何者でもない者たちの物語:烈火の魔女と本読むゴブリン#12
#12.追憶と、現実と かつてないほどに魔法の力を使い果たしたポーリンは、ずっと意識を失っていた。長いまどろみの中においてさえ、鉛のように重い身体と、このまま永遠の眠りについても構わないと思うほどの精神の疲弊を感じていた。
暗い深海から、陽光差す浅瀬へと浮き上がった瞬間、何やら外が騒がしいことに気づいていたが、それを気に留める暇もなく再び深海へと飲み込まれていく。彼女は、海流に翻弄される無力な木片も同然であった。
その渦のなかで、ときに夢とも幻ともつかぬ、過去の記憶を