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うすらい -あわいに暮らす-

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うすらいとは、春先に溶け残った薄い氷のことです。氷の向こうにおぼろげに見えるすぎゆく季節とちかづく季節のように、身体の中で言葉になりきれていない感覚と思考、そしてまだ感覚にも思考…
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#オランダ

エピローグとプロローグの終わりに

向かいの家の茶トラ白猫がガーデンハウスの向こう側から顔を出している。向かいの家にやってき…

旅立つことを決めたなら

静かな日曜の朝。霧がかかっているのか、窓の外の景色は絵画のようにぼんやりとした光を含んで…

パートナーシップと関係性の構造

ウェブサイトにアップしていなかった数日分の日記を読み返して驚いた。2月1日、私は自分の「死…

現実の中で気づく、因果関係と境界線に関する意識について

20時30分すぎ、久しぶりに書斎で机に向かって日記を書き始めている。「パートナーが体調を崩し…

これまでの自分が死を迎えるとき

あたらしい月がやってきた。 1月はどんな時間だっただろうと考えると「死」という言葉が浮か…

今日が土曜日だから、土曜日から始めよう

久しぶりに真っ白な画面に向かっている。最後に日記を書いたのはいつだろうか。「最後に」とい…

始まりと終わりと愛について

久しぶりに一人の夜を過ごしている。 2021年のはじめ、ロッテルダムで過ごした後、ハーグの家に戻って以来、ずっと二人だった。そんな風に誰かとの時間を過ごしたのはちょうど1年ぶりだ。 お互いに人生で様々な経験をして、自分にとって大切なことを分かっている。駆け引きではなく、日々の暮らしをともに過ごすことを通して、そこに生まれるもの感じるものの質感を味わってみる。そんな風に始めていくことに合意ができる相手と出会えたことはとても幸せなことだったと思う。 人生のステージの違う私を

ひとりでは出会えないシャドウ、「いなかった自分」に出会うとき

「Does your mother have no time for you?」 一緒に暮らしているオランダ人のパートナーにそ…

食べて、笑って、散歩して

久しぶりに、日記を書いている。それがもうどのくらい久しぶりなのかさえ分からない。と言って…

今日の暮らしを生きる

リビングでパソコンを開き、メールのチェックなどをしていると、寝室の扉が開いた。「今日のセ…

何もしない一年のはじまり

8時が近づいているがまだ外は暗い。調べてみると、今日の日の出の時刻は8時50分。どうやら一番…

特別でない、特別なクリスマス

2020年のクリスマスはとても美しい時間だった。 オランダは以前よりも厳しいロックダウンが布…

新しい暮らし

8時すぎ、久しぶりにこの時間に書斎の小さな机に向かっている。ここのところ朝8時台からの打ち…

さよならは静けさの彼方に

コロナがなかったら私たちは一緒にいることができたかな。 何度もそんなことを考えた。 何度も考えたけれど、やっぱり答えは変わらなくて、一緒にいることができないのはコロナのせいじゃなかった。 「変えることのできないものを受け入れる力を、変えるべきものを変える勇気を、そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えてください」 何度もそんな言葉を思い出した。 結局それが、変えることのできないものだったのか、変えるべきものだったのか、どっちらだったのかは分からな