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時計回りに一周 反対回りに一周

ドアを開ける 「ここ引っ越しの時 冷蔵庫運ぶ時に運送の人が 足滑らした階段」とIが言っていた 階段を下りて 右へ行き 階段を上り 右へ行くと「猪がよく出るんよ」と言っていた竹林を通り 突き抜けると 水面が見えてくる 時計とは反対回りで 水面を見ながら歩く 貯水池を一周する この前の日時計回りに一周歩き 住宅街に出て それから うどん屋に寄り戻った その時の歩いた時に見た風景が 本当に何にも残らんような 完璧な散歩だったので 何も無くなってしまったようで 木を見て 水面に映る雲見て 落ち葉を燃やしてる煙が光に混じって届いてくる匂い 来た竹林を戻り 部屋に戻ると 窓が全開に開いていて そんで 珈琲を淹れて 話そうとしてみたものの 「言葉には距離がある」とIが言っていたなと 浮かべながら 珈琲を飲んでから うどん屋に行って 「前来た時も この席やったね」 「ここか?」 「ここ ここ」 「そうか 梅ごぼ天頼んでたよね」 「そやったっけ」 「そうだよ」 うどん屋出て 近くの駅まで送ってもらい 「じゃ また」で 二両編成の電車に乗る 教えてもらった作家の本はまだ 読んでない 景色みたいに過ごすところから 出ても大丈夫な気がしてる さほど 悪いことは起きそうにないよ

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