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【クイーン和訳】私の好きな曲「懐かしのラヴァー・ボーイ」3/5〜ヴァレンティーノって誰?美しいセレナーデに乗せて〜

今日は、詩の冒頭を分析します。

"Good Old Fashioned Lover Boy"

Written by Freddie Mercury

I can dim the lights and sing you songs full of sad things
We can do the tango just for two
I can serenade and gently play on your heart strings
Be your Valentino, just for you

Ooh love-Ooh loverboy
What're you doin' tonight, hey boy-
Set my alarm, turn on my charm
That's because I'm a good old fashioned loverboy


(直訳+手直し)

【1節】
私は明かりを暗くして、あなたに悲しいことでいっぱいの歌を歌うことができます、
私たちは2人のためだけにタンゴを踊れます。
私はセレナーデを弾いて(歌って)、あなたのハート(こころ)のストリング(弦、琴線)を優しく演奏することができます、
あなたのためだけに、バレンティーノ(Valentino)になりましょう。

[コーラス]
ああ、愛すべき、(誰かの)恋人の男の子。「今夜は何をしているの?ヘイ、ボーイ」
アラームをセットして、チャーム(魅力)をオンにします。
それは私が懐かしのラヴァー・ボーイだからです。


詩の1番

I can dim the lights and sing you songs full of sad things
We can do the tango just for two
I can serenade and gently play on your heart strings
Be your Valentino, just for you

始まりは前奏無しのいきなり歌いだしで(ボヘミアン・ラプソディのように)、聞こえないような小さい音から徐々にフェード・インするという作り。

dim:暗くする

I can dim the lights and sing you songs full of sad things

は、頭文字Sがたくさん。sing, song, thingsなど~ngをいれまくる。

singとthingsも似ているが、dimも似ている。

毎度のことながら、続けて読むととてもリズミカル。


悲しいことでいっぱいの歌と言えば、ボヘミアン・ラプソディ(以下ボラプ)のバラード部分のよう。ちょうどこの前のアルバムでボラプでイギリスでやっと一位になり、世界でも知名度が上がった。このラバーボーイの収録アルバムはかなりプレッシャーがあった。

そういえば、フレディはデビューアルバムから途中まで、1曲は「悲しいことでいっぱいの曲」を入れている気がする。(ボードビル・タイプは毎回入れていると言ってたがこれも?)

1.マイ・フェアリー・キング
2.ネヴァーモアー(失われるものについての曲、自分自身)
3.谷間の百合(同上)
4.ラブ・オブ・マイ・ライフ(同上)
5.テイク・マイ・ブレス・アウェイ
6.マイ・メランコリー・ブルーズ
7.ジェラシー(失うものについての曲、自分自身)

ピアノ・メインのバラードみたいな曲。

ヒゲになったら明るいサウンドに変わった。

1986年のカインド・オブ・マジックのアルバム(12作目)は特に、フレディ作のいわゆる悲しい曲はもうない。ただし85年のソロ・アルバム(Mr.バッド・ガイ)は最後が悲しいバラードで締められている。

長くなるのでこの話はここで止めておこう。


「悲しいことでいっぱいの曲」はフレディにとって自分を表す大事な曲だったのかもしれない。そして恋人をたらし込む道具?傷ついた心を無意識レベルに癒やす効果もありそうだが。もしかして、恋人じゃなく、ファンやリスナーに向けて言ってる?


We can do the tango just for two

前回のアルバムの大ヒット作「ボラプ」ではオペラセクションで謎の

(Scaramouch x 2 will you) do the fandango

がでてきた。ファンダンゴはスペインかなんかの早い踊りやその演奏。

fantasyにかけてるのかもとも思った。


今回はタンゴ。これもスペインの踊りや演奏で、似たような雰囲気。

ボーン・トゥー・ラブのMVでもタンゴみたいなの踊ってる(首振ってる)。


twoはtangoと頭文字Tの一致かもしれないし、doと韻が同じかもしれない。最後の行のyouとは韻を踏む。


I can serenade and gently play on your heart strings

ここも頭文字Sでてきた。

serenade:セレネイド(ゥ)という読み方の動詞(「セ」にアクセント)。セレナーデをするという意味。

セレナーデとは小夜曲のことで、ロミ・ジュリのように、ロミオがバルコニーの上のジュリエットに地上から愛の歌をうたうこと。またはその演奏をする(play)こと。

・heart stringsは琴線のこと。tugやpullなどの動詞が付くと、心を動かされるという意味。

・play on stringsとは、まさにストリング:弦(ツル・弦楽器)を演奏するということで、ハープとかギターとかを想像させる。因みにピアノは弦のある打楽器。

レイとセレネイドは同じ韻(エイ)。stringsは2行前のthingsと韻を踏む。

上記2つの表現の組み合わせの言葉と思われる。


Be your Valentino, just for you

Valentino:ルドルフ・バレンティーノのことだと言われている。

イタリアとフランスのハーフのハリウッド俳優(サイレント時代)。美貌のダンサーで実は同性愛者だった噂も。1895年~1926年、31歳没。たった5年の俳優生命でレジェンドを残す。ダンスの名手で、ニジンスキー(バレエ・レジェンド)にタンゴを教えた逸話も。バレエダンサーのルドルフ・ヌレエフ(フレディの友達?)もバレンチティーノの伝記映画を演じる。アラブ人の役やロシア、メキシコ、色々演じる。マスコミと戦ったり、離婚を繰り返したり、依存的になったり、中性的で繊細で要領がよく、どこかフレディを思わせる人物。

つまりラバーボーイはバレンティノの可能性もある。追悼ということ。

前作のアルバムのシーサイド・ランデブーにも、

I'll be your Valentino

という言葉が出てくる。他に出てくるbe my Valentine(バレンタイン)は私の恋人になってという意味。

最初の方に出てくるbe my Clementineの、クレメンタインを調べたら、19世紀のゴールド・ラッシュの曲「愛しのクレメンタイン(My Darling Clementine:日本の雪山賛歌らしい)」が出てきて、さらにそれを1989年にカバーしたフレディ・クインQuinnなる人物が出てきた。1931年生まれでご存命。オーストリア人シンガーで俳優。ドイツ語圏で活躍し、アイルランド系で英語を含め、数か国語を話し歌う。ペルソナ(性格)は放浪者。フレディは知っていたのだろうか?フレディ・キングというジャズの有名人はいたが。


とにかく、バレンティノは大きく影響しており、1984年かなんかのインタビューでもその名を出している。バレエやオペラとともに、彼の素晴らしさと儚さも讃えていたのかもしれない。のちにニジンスキーやドビュッシーの牧神の昼下がり?が女装MV「ブレイク・フリー」で披露されるが、その前からこれらの作品が好きだと言っていた。

また、この曲(ラバー)はジャンルで言うと、イギリスのミュージック・ホールとWikiにあったが、自身ではこれは「ラグ・タイム」と言っていたという。

シーサイド・ランデブーでもそうだが、1920年くらいのラグ・タイムというジャズの一種を好んでいたようだ。シンコペーションという右と左のピアノのリズムが違うのが特徴らしい。「懐かしの」とは1920年代アメリカのことなのかもしれない。ジャズの全盛期という。


先に進もう。

Be your Valentino, just for you

Valentino(バレンティーノゥ)は、2行前のtango(タンゴゥ)と韻を踏む。

ボラプでも、ファンダンゴのほか、ガリレ・フィガ・マニフィなど、オゥで終わる、イタリア語やスペイン語っぽいオペラ風表現に満ちていた(シルエットゥとかわざとフランス語にしたり。そして怒涛のgo,noにつながっていく)。

beティーノゥも踏むかもしれない。

youは前述したが、2行前のtwoと踏む。


これで詩の1番を終えたい。

いかに、教養があるかが分かった。

ぜぇ、はぁ。


コーラス(サビ)

Ooh love-Ooh loverboy
What're you doin' tonight, hey boy-
Set my alarm, turn on my charm
That's because I'm a good old fashioned loverboy

コーラスはすでにタイトルのところでもやっているので補足程度にしたい。

What're you doin' tonight, hey boy-

(ワッデドゥィン、トゥ・ナィ)

「ウ」が多めで、ドゥやトゥなど似たような言葉が続く。

コーラスの「ウー」も関係しそう。


Set my alarm, turn on my charm

前のコーラスで、「夜に何をするのか」を聞かれた答え。

時間表現。アラームを何時に向けてセットするのかは後で出てくる。

明かりはdim the lights(暗く)できると言ったが、チャーム(魅力)はつける(turn on)。

懐かしのラバー少年は、自身の魅力をよく理解しており、スイッチの様につけるようだ。色男決定だ。


この部分は2番と3番のコーラスでは内容が変わる。

ライブのメドレー内では

ラッパッパッパ、

というスキャットに変えられる。

恥ずかしいからなのか?

トップオブザポップス(TV出演)では恥ずかしい様子はなかった(口パクとは言え)。

セリフが複雑で間違わないようにするためか?

どうせアラームの伏線を歌っても、詩の3番はメドレーでは省略されるからか。


That's because I'm a good old fashioned loverboy

理由の説明。タイトルの連呼。主人公がこのラバー少年ということがここでわかる。

とってつけた感もするが。

ここは、1番と3番のコーラスの締めくくり。


まとめ

詩の1番と、コーラス(サビ)を分析した。

分析してみてわかったのは、ラバーボーイとは、ルドルフ・バレンティーノがまずモチーフではないかということ。

彼の短くも光り輝く人生と映画に残る姿を追悼している可能性がある。

なぜ悲しい曲で、なぜタンゴなのか。

フレディの素晴らしいピアノで追悼しているのかもしれない。

コーラスでも讃えているのかも。


その死にかなり同情しているのかもしれない。

すでにその前のアルバムのボラプで死や引退を予言し、デビュー・アルバムから44歳の死を予言(グレイト・キング、ラット)しており、

エルビスやジミヘンなど、有名人達の早すぎる死を追悼するエピソードも残っている。

アーティストは生前大衆に評価されないことを肌感で掴んでいたのかもしれない。

アーティスト達の不安定な人生も。

だからこそ美しいのかもしれないが。


魅力スイッチをオンして観客にアピールし、

だって自分はラバーボーイだから、

とシレッと言うのだ。


ここら辺のテーマは、ボラプ、メイド・イン・ヘブン、Mr.バッド・ガイなど一貫してる気がする。

伝説のチャンピオンとか。

最後の歌はブライアンが詩を書いたショーマスト・ゴーオン。


常に観客を意識した人生。

これが定め、運命。


フレディが美男子かどうかは主観的な問題だが、

(ちなみに私はちょっと前までどう考えても美男子に見えなかったが、今は見える、他のファンと同じびょうきにかかった。彼の愛人のようなものだ。)

常に人目に晒され、評価される人生だということ。


楽しまなければやっていかれない。

老いを非常に嫌っていたという。サムバディにも表れている。44歳でoldとは早すぎる。


とにかく、音楽作品のため、犠牲を払ってでも、自分の道を追求した。

それは今でも人々を癒したり、勇気を与えたり、感動を与える。

電力のある限り。

または口移しで。

ピアノの演奏で。

ライブで。


次回はいよいよ問題の箇所だらけの部分に迫ります。

サラッとかわしたいところですが、どうなるでしょうか?

お楽しみに。

いつも、ありがとうございます😊


次回はこちら














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