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【クイーン和訳】私の好きな曲「懐かしのラヴァー・ボーイ」2/5〜そもそもラバー・ボーイって何?誰のこと?〜
いよいよ歌詞の深掘りです。
確かに今となってはいろいろな妄想が湧きあがる歌詞ではあるものの、このサウンドの作り出す、現代に蘇ったショパンのような、また軽いジャズピアノの優雅な雰囲気を壊さないように注意して分析したいと思います。
(概要)
曲名:懐かしのラヴァー・ボーイ
原題:Good Old Fashioned Lover Boy
作詞者クレジット:フレディ・マーキュリー
収録アルバム:5作目「華麗なるレース(A Day At The Races)」1976年12月、B面の3曲目(8/10)
シングルカットあり(Queen's First E.P.収録、’77年)
「グレイテスト・ヒッツ」収録
時間:2”54’くらい
ライブ演奏あり:メドレーの一部、2番まで、キラー・クイーンの後
アディショナル・ボーカル:マイク・ストーン(エンジニア)
タイトル
まず、タイトル分析から。
Good Old Fashioned Lover Boy
です。
good old は、よく聞く「古き良きアメリカ」などと使ったり、boyがつくと、アメリカに古くからいるフレンドリーで粗野な男の代名詞(特に当時)的にも使われます。good ol'と、語尾のdを省いて発音されたり(グ・ドウル)。
old-fashionedは、「時代遅れの」、または、良い意味で、「古風な」、という意味です。
ミスドなどのドーナツの名前で、オールド・ファッションというと、昔ながらのスタイルのドーナツのことですね。
ただし、ハイフン(ー)はありません(特に歌詞は。タイトルだとついてる時もあり、人を介した間違いなのかもしれません)。
この上記2つの慣用表現のカバン語(ドッキング)だと思われます。
良い意味で古典的な、という意味だと思います。
アンティークや美術作品などの、古くから価値のあるもののことだと思います。
また服が好きなことも関係あるかも。フレディはファッション専攻の時期もあり、縫えたし、売れる前ロジャーさんと、古着屋やってた。
fashion は動詞だと、創るという意味も。
私は、古き良き、作られた(man madeな)ラバー・ボーイ…。
グッドは伸ばすと、ウーとなるので、コーラスが、ウーなのかも。
ラヴァー・ボーイとは何ぞや?
ラバー・ボーイに関しては、lover boyがタイトル表記だが、
歌詞では、空白のない「loverboy」という、造語になる。
そこにどんな意味があるのか?
ラバーloverは、恋人や愛人(または何かのガチな愛好家、ビールとか猫とか)のこと。名詞だ。
本来形容詞ではないが、この曲の感じだと、何か、少年につく、形容詞のような感じがしてしまう。
(誰かの)恋人の男の子とか、愛すべき男の子とか。
コーラスだと、ラ・バ・ボー(ラバブル、lovable, loveable:愛すべき)とも聞こえる。VもBも一致。
Ooh love-Ooh loverboy
ウー、ラー(v)、
ウー、ラー・バー・ボー(ィ)
というコーラスは、
まるで、
ウ・ラ・ラー
Ooh, la la!
みたいに聞こえる。
フランス語っぽい、ユーモアある表現で、驚いたり、変わってたり、マリリン・モンローなどの性的魅力に驚くような表現(おや、色っぽい!)だ。
オー・ラ・ラという香水もある。ゲランだったか。
Ooh(ウー)!
という言葉自体が、驚いたり、痛かったりするときに使う表現。
ラバーボーイは耳で聴くと、
・ラバブル(愛すべき)に聞こえたり、
・ラバーがボーイの形容詞みたいに感じたり、
・ウ、ラ、ラーみたいだし、
多重ミーニング。というか多重効果。
耳で聞くと気づかないが、綴りの上ではloverboy(空白なし)というフレディ作の造語だとすると、
恋人関係の2人のうちの一人の男子、という意味に取れそう。しかも愛すべき魅力的人物であるような感じがするということ。
登場人物
コーラス(サビ)の締めくくりにタイトルが入るが、
[Chorus]
Ooh love-Ooh loverboy
What're you doin' tonight, hey boy-
xxxxxxxxxxxxxx, xxxxxxxxxxxxxx
That's because I'm a good old fashioned loverboy
「だって私は〜」
から始まり、自分(主人公)がラバーボーイということだ。
コーラスで、「ウ~、ラバー・ボーイ」や「おい、ボーイ」、と呼びかけて、最後は「だって私は~」となるので、主人公ラバー・ボーイと、
他にその恋人と、ラバー・ボーイとは別の男性が登場人物としてあげられる。
コーラスのハモリ声に別人格を持たせるという手法はよくフレディが使う。
ボラプの「彼を放せ」とか、同アルバムの「サムバディ・トゥ・ラブ(Somebody To Love):愛にすべてを」の「彼は大丈夫」とか。シアーハートアタックアルバムの「神々の業」の時点でやっていた。
これがボードビルということか。セリフの掛け合い。オペラと言えるかもしれない。声質による人物の書き分け。
全編セリフで、コーラスや他の人の声で掛け声が入り、
フレディがすべてのアルバムに入れているというボードビル・タイプの曲と言えると思う(Wikiにはミュージック・ホールとあった)。
コーラス(サビ)部分のみでなく、ブリッジ部分にも「ヘイ、ボーイ」の問いかけ(どこから入手した?どこに行ってた?)が出てくるが、
声質は最初マイク・ストーンさん(エンジニア)のドスの効いた声のコーラスなので、同じく、ラバー・ボーイを茶化している他のナウなヤングたちの役だろう。
この部分はマイクさんとフレディとのツイン・ボーカルだそうだ。
てっきりロジャーさんとブライアンの声かと思ったら違った。出演拒否か?ライブではフレディのみが歌っている気がする。息継ぎ大変。
30歳の人がなぜハイスクール(男子校?)出たてみたいなボーイの歌を?
これはイメージ・ソングかもしれない。
若い自分たちをプロデュース、ファッションド(作られた)ボーイズかもしれない。
僕らは君たちのおもちゃだよ。
君の記憶の中の初恋の相手だよ。
または日本の10代の少女達に贈るプレゼント。
そして、このアルバムでそれを完全に封印した。
サウンドや声は充分魅力的だ。
歌詞の醸し出す雰囲気もロマンチック。
ただし、日本人の多くのファンが昔からそうしたように、あまり歌詞を分析してはいけないかもしれない。
クイーンは好きだけどちょっとHなのよね、という昭和の少女達の声があったらしい。そんなこと言ったらビートルズだって。
しかしフレディのソロ写真はときどきマリリン・モンローのようなものがある。
ビジュアル戦略からしても、クイーン(というかフレディ)はセクシー路線だった。その効果をすでにわかっていた。パンドラの箱かもしれないが。
タイトルはざっとこんな感じ。
誰かの恋人の男の子が主人公で、古風なロマン派だということ。
タイトルの長さについて
しかし、フレディの作で、こんなにタイトルが長いのは珍しいかも。5単語でアルファベット24文字。Oが6つも。すべての単語にある。D終わりは最初の3つ。
good old fashioned lover boy
他に長いのはCrazy Little Thing Called Love(愛という名の欲望、26文字、頭文字CとLが二つ)が思い浮かぶ。グレヒツの一つ、エルビス風の作品だ。
初期はフェリー・フェラーやマーチ・オブ・ザB Qも長いが、どちらも昔話風だから説明的になってもしょうがないし、珍しく冒頭にtheがつく。リロイ・ブラウンもオマージュだし、映画用も長いのはしょうがない(愛こそすべてとか)。
ソロは、「生命の証」が最も長い(8単語29文字、MとTH)が、メッセージ・ソングだし、最後の「明日なき愛」も長い(6単語26文字、LとT)。文章だし、単語は単純。オペラ座アルバムのうつろな日曜日も。
形容詞が多く、名詞なのは、この二つくらいだと思う。
どちらも「愛」がつき、何か真実味を帯びる。
私が言いたいのは、タイトルがたいてい2〜4語で、1語も少なくないシンプル派のフレディが、気合いを入れてるということ。ソロやメッセージ・ソングも然り。
というか、タイトルひとつつけるのもかなり個性的であるということ。
メロディ、詩、タイトル(コピー)だけでなく、アルバムの選曲(メンバーと)、アルバムジャケットのデザイン、写真、ロゴ、レタリング、ビデオ作製、ミキシング、全てに目を光らせていたとか。
まるでブラック・クイーンの様だ。
長くなってしまったが、タイトルはこんな感じで分析し(いつも通りの多重効果、色んな意味が盛り込まれている)、タイトルが現れるコーラスからも、登場人物などを考察した。
次回はいよいよ歌詞の内容に入っていこうと思う。
お読みいただきありがとうございます。
次回もお楽しみに。
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