見出し画像

#7 ドローンスクール説明会参加 ~ドローン産業のいろは~

前回まで

我が町の自動車学校が、自動車教習以外に、ドローン教習を2年程前から始めていた事を先日たまたま知り、驚くと共に、なんだか嬉しくなり、勢いで無料説明会へ申し込んでみた。

その時の話は、以下の記事をご覧いただきたい。

今回は、その続き。無料説明会へ参加してみたので、学びと所感をまとめる。


自動車学校へ

というわけで、本当は先週参加するはずの無料説明会だったのだが、ワクチン接種の副反応で見事に発熱してしまい、一週延期し、9月11日となった。

下の写真が、わが町の自動車学校。

周りは畑に囲まれ、なんとも昭和の雰囲気が残る、年季の入った学校。

私も、20年近く前、大学に入り、初めての夏休みに帰省した際、自動車免許取得のため、教習を受けに、ここに通った。

改めて思い返し、数字にしてみると、信じられないほど時間が経過しているのだけど、その頃の面影そのままだ。
目的こそ違えど、長い時間を経て、まさかまた来ることになるとは...…人生わからないものだ。

受付に行くと、

「今日は、○○さん(私)ともう1名参加するけん、2名やけんな」

私の耳には心地の良い徳島弁丸出しの教官に、そう言われ、教室の場所を案内された。

「土曜日のこんな時間に説明会に来るなんて、私ぐらいだろう」と思っていたので、少し意外だった。

案内された教室が、こちら。

山田洋次監督の「学校」という映画が昔あったが、その映画の舞台となる夜間学校に通っているような錯覚を覚え、そういうキャラでもないのだけれど、大人げなく、一番前の席に座った。

学生時代さながらの木の机と椅子が、そうさせたのだろう。


ドローン関連団体

時間となり、説明会が始まった。

日本では、ドローンライセンス発行、技術開発や産業応用の研究、その他ドローンに関わる情報発信を行う民間団体「JUIDA(ジュイダ)」が、現在最大手の団体ということだった。

他にも3~4団体ほどあり、各団体が独自にライセンスを発行しており、そのライセンスを取る基準も団体によって様々であることから、日本では法整備やライセンス化については、現状はドローン黎明期にあたるという話であった。

22年度からの正式ライセンス化を目前に控え、来年から政府主導で団体再編の動きが予測されるため、スクールとしては、最大手の団体に加盟していることで、再編にあたっての影響を極力抑えたい、という率直な意見を聞くことができた。

これらの団体とは別軸で、「ジドコン」という日本全国の自動車学校が加盟するドローンコンソーシアムがあり、”『自動運転×ドローン×空飛ぶクルマ=自動車教習所』”をキーワードに、ドローンに関連する法整備や操縦者教育を行っていく社団法人も存在している。

国土交通省の天〇り機関のような雰囲気(いや、多分そう)で、自動車学校から加盟料を徴収しており、利権構造の匂いがなんとも香しい。産業の構造化については、着々と進行中ということで安心した(笑)。

ただ、別視点になるけれど、加盟する側の自動車学校を取り巻く状況として、少子高齢化・人口減の影響で、これまでの自動車教習だけでは採算が取れなくなってきている、というのが事実としてあるのだろう。

時代に乗り遅れないよう、各学校も動いているということだ。

なお、今回説明会でお邪魔した学校は、「四国では3校しか加盟していない学校のうちの1校」ということをアピールしていた...

目下の具体的メリットの説明はフワっとしていたのだけれど、↑ のセリフを言える権利が、加盟料の代価なのかもしれない。


ドローンのライセンス

ドローンのライセンスには、以下の2種類がある。

無人航空機操縦士
安全運行管理者

前者が単純に操縦技能に関するもの、後者が法的知識や安全管理に関するもの。

ドローンスクールでの教習カリキュラムは、この2種類を取得できる内容となっている。教習を終え、学校が発行する修了証書を付けて、先述の団体へライセンス申請を行うと、ライセンスを得ることができる。

↑ の画像の通りなのだが、お分かりいただけただろうか...

ライセンス申請料がそれぞれ20,000円前後、有効期間は2年(2年に1回更新)、そしてJUIDAへの年会費5,000円。

また、2021年現在、こちらは国家資格ではなく、団体の認定資格であるため、来年からの動きで国家資格化された際は、また何らかの試験は受けなくてはいけないだろうという話だった。

なんという搾取.......いきなり、や〇ざっぽい内容に見えてきた(笑)。

ただ、国家資格化された際に、今のうちにこのライセンスを取得しておくことで、試験の一部免除や優遇は必ずあり、無駄にはならないだろうと、教官はフォローしていた......

実際、当事者としても今後の動きがはっきり見えないこと、今のうちから教習ビジネスとして成立させたいという思いが混ざっての発言だと思われるので、そこはツッコむのも野暮だと思い、スルーした。


ドローンに関する航空法

2021年9月現在、まだ法整備の真っ只中ではあるが、現時点では以下の航空法が適用される。

要するに、何の申請もなくドローンを飛ばそうとすると、そのエリアは、人口が密集していない場所かつ上空150mまでとなる。

また、夜間飛行や危険物の輸送、搭載物の投下を行うには申請が必要。

つまり、ドローンを利用した都市部での物流利用や人物捜索などを行おうとすると申請が必要になり、国土交通省や警察署の審査が行われる。

ただ、この際、ライセンス保持者が申請する場合、申請手続きの簡略化や承認確率のアップがメリットとしてあるらしい。(ライセンス保持者であっても、内容如何によっては、特別なエリアや用途での飛行申請を100%承認されるわけではない)

おそらく、ビジネスとして継続的にドローンを利用する場合は、認可制になるのだろうと思う。(食品衛生法と同じようなものなのかな)


ドローンスクールへの入学状況とその目的

「今まで累計何人ぐらいの方が入学しとんですか?」という質問をしてみた。

それに対して、2年で50名弱という返答だった。

流石に、まだ自動車教習に取って代わるほど収益化はできていないようだけれど、大体1ヶ月あたりに2名ほどは入学していることになる。

この田舎で、また、ドローン教習が定着していない今を考えると、上出来なのではないかと思った。

入学者の年齢層は、30代~40代が最も多く、県警職員や土木・測量会社の社員で、職場命令で来ているらしい。

県警では人の捜索や災害範囲の把握、土木・測量会社では電柱の配線切れの定期チェック業務などで、ドローンを利用するケースが増えてきているため、有資格人材の確保が必要なのだそうだ。

50~60代の入学者も割合少なくないけれど、その目的は農業利用ではなく、ラジコン趣味の延長が多いらしい......

かく言う、今、私も入学するとすれば、趣味目的になるだろう。

ちなみに、農薬散布用のドローンは、市販のドローンとは異なり、大型ドローンとなり、販売価格は100万円ほどらしい。

トラクター、田植え機、コンバインといった農機具を一ヶ月間リースした場合の料金とそう変わらない......

教習や機体価格を考えれば、個人でドローンを導入するのを躊躇う農家も多そうだ。だからこそ、ドローンでの農薬散布代行業はビジネスチャンスになるだろう。

なお、こちらのドローンスクールでは、通常のカリキュラムの追加教習として、農薬散布教習を受けることができる。(農薬散布教習の詳細:教習日数は1日、教習費用は80,000円程度)

「1日追加で取れるなら、取った方が便利で楽しいよな」というのは、学校の思う壺だろうか...


カリキュラムとスケジュール、そして今後の動き

基本的には、JUIDAが定めた内容を必要時間習熟し、試験を受けることになるとのことだった。

筆記試験は100点満点中80点以上で合格、実技試験は70点以上で合格。

4日間(毎日午前9時~午後5時まで)のスケジュールで、一期間中の最大参加人数は4名までとなっているらしい。

教官の人数、貸し出せるドローン数、カリキュラム受講者の習熟時間確保、実技を行う場所の確保が、少人数制の理由とのことだった。

また、あまり日数を空けなければ、連続4日間で消化する必要はないようで、現状、その期間で一番最初に申し込みがあった方の都合に合わせて、スケジュールを組んでいるらしい.........なんと入学者に優しんだ。

来年以降、法や制度が厳格化すると、スケジュールも学校側で定めるという流れになる可能性があるため、「今ならお得」ということが言いたかったのだろう。

混沌とした部分はあるけれど、世の中の流れに先んじて、この田舎の中で、”優先搭乗”しておくのは悪くない。

今年10月下旬~11月上旬入学予定で進んでいこうと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?